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Friday

エリザベス1世の襞襟を知っていますか? / Antique Victorian Goffering Iron

英国アンティーク、ヴィクトリア時代のひだ飾り用アイロン台。
















変ったものを見つけました。


イングランド北部の街、ホテルで行われたアンティーク・フェア。

土砂降りの日、入場前からホテルの廊下に並んだメンバーはざっとみれば英国人9割、外国人1割。入場料は1ポンド、開場少し前に小学生くらいの男の子が列をまわり、入場料を集めているような、のんびりしたフェアでした。

ごくごく普通のホテル、その宴会場で行われたものでしたが、小規模ながらもなかなか凝ったディーラーが集っており、入った瞬間から「これはなにかありそう」という予感に満ちていました。

そこで見つけたのが、これ。

売り手は白髪に眼鏡のおばあ様。

「これは・・・何ですか?」
「これは、アイロン。古い、ヴィクトリア時代のもの。襟や袖の、フリルあるでしょう?」
ここで手をふりふり、首周りにやってみせてくれます。
「そのフリルをきれいにつくるために、メイドがこれでアイロンしてたの」


ああ・・・。
納得しました。

有名なところではエリザベス1世(1558-1603)。
彼女の肖像画でみかける、襞襟(ラッフル)のことです。


The Ermine Portrait of Elizabeth I of England circa 1585


彼女のような大きな襞襟は、16世紀半ば~17世紀前半のヨーロッパ諸国において、王侯貴族や富裕な市民の間でとても流行しました。
その後は大きな襞襟はそれほど流行らなくなりますが、少し形を変えながら、ヴィクトリア時代においても上手にアイロンをかけられた美しいひだ飾りの襟元や袖口を好む人々は多かったようですし、赤ちゃんのボンネット(帽子)にもひだ飾りを付けることが好まれたそうです。


私が白髪のおばあ様から買い付けたのは、そんなひだ飾りを整えるための「Goffering Iron/ゴッファリングアイロン」。これは「Poking-stick/ポーキングスティック」とペアで使用します。「ポーキングスティック」とは、細長い棒状のもので、先端に紡錘形の鉄の塊がついているもの。





まずゴッファリングアイロンをストーブの上、もしくは暖炉などで熱します。
十分に熱したのち、取り出して、そこにポーキングスティックを差し込みます。

ポーキングスティックが温まったら、とりだして紡錘形の部分を襞襟に差し込み、形を整えます。
時々またゴッファリングアイロンに差し込み、温めながら、襞襟のひだ部分、1個1個すべてをポーキングスティックを差し込み、整えていくのです。

・・・なんて手のかかる!
きっと裕福な家で雇われたメイドが、こつこつと奥様のために作業していたのではないでしょうか。


そんな風に使用されていたゴッファリングアイロン。

今回手に入れたのはゴッファリングアイロンのみではありますが、これだけでもものすごい存在感。

ポーキングスティックを差し込んでおけるように、ごく微妙な角度がついています。
なので、ペンスタンドなどにいかがでしょう。

ペンを差し込んでおけば、絶妙なセッティングで取り出しやすくキープしておくことができます。鉄製でずっしりと重いので、安定感も抜群。

例えばデスクやカウンターなど、ぱっとペンが必要な場所においてみたり。

安定感がありますので、ディスプレイ用としても最適。
レースなどを掛けて飾ってみるのも素敵です。
「これは、なに?」と気づいた人がいれば、そこから始まるエリザベス1世の襟の話。

思いがけないストーリーに、引き込まれるかどうなのか。
隠れたアンティーク好きを見分ける試金石のひとつとなってくれるかもしれません。


ヴィクトリアンの英国から来た、まさに用の美を体現したような、貴重な一品です。


◆England
◆推定製造年代:19世紀後半
◆素材:鉄
◆サイズ:土台直径約9.3cm 高さ約15.5cm 円筒形部分長さ約11cm
◆重量:434g
◆在庫数:1点のみ


【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色や錆、材のカケ等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。




アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
こちらのバナーからご来店いただけます。

http://toddlowrey.com/?pid=136224991


Todd Lowrey Antiques
by d+A