Search This Blog

Monday

良い手を見つけたらもっと良い手を探しなさい / Vintage German Staunton Chessmen with Box

 ドイツ・ヴィンテージ、木箱入り木製チェス駒セット。




















端正な木箱に入ったこぶりのチェス駒セットのご紹介です。





チェス駒のデザインには色々な種類があります。


代表的なのはスタントン式。

第1回ロンドン国際大会・1851年から使われているもので、当時世界最強プレイヤーといわれていた英国人Howard Staunton/ハワード・スタントン(1810-1874)が、大会で使用する駒をこの形に決めたといわれています。


また、英国でよくみかけるのがセントジョージスタイル。ロンドンのセントジョージ・チェスクラブで1840年頃から使われていた駒のデザインであったことから名づけられたと言われています。


1800年代初頭、チェスゲームで人気があったパリのカフェ・デ・ラ・リージェンス/Cafe de la Regenceにちなんで名づけられたといわれているリージェンシースタイルもございます。

リージェンシースタイルとセントジョージスタイルは一見似ているのですが、よく見ると確かに異なり、それぞれのこだわりを感じます。



さらにブンデスフォルムというスタントン式に似たドイツのスタイルもあり、これは1934年ドイツ人のチェスプレイヤー、アルフレッドM.エールハルト・ポストによって発表されたといわれています。




さて、今回ご紹介するチェス駒。

手に入れたのは英国ですが、おそらくドイツのものであろう、とは販売していたディーラーの言葉。


箱に入っている説明書をみると、片面は英語、もう片面はドイツ語となっていました。

確かに、英国製で英国で販売していたのならば英語だけでよいはず。おそらく、ドイツで作られてドイツと英国(及び他の国)に向けて販売していた、ということなのでしょう。


スタイルとしては前述のスタントン式に似ていますが、僅かにフォルムが異なります。

キングやクィーンはスタントン式をベースに若干ターニングが大きめ。そしてビショップやルークは前述のブンデスフォルムに似ております。


今のところ、私はこのフォルムの正式名称に確証をもてませんが、多くの海外サイトにおいて「ジャーマン・スタントン式」として紹介されておりましたので、ここではその名称とさせていただきます。



セットされていた木箱はきちんと留め具がついており、木組みでつくられた誠実なお品物。

何故か蓋上面だけ塗装されており、他の部分は木地のままです。

チェス駒用の箱は木地のままのものが多いのですが、これは少しだけ他とは差をつけたかったのかもしれません。



全体的にとてもよい状態で、駒としてはあまり使われてこなかったような状態です。

ただ、箱の留め金具には錆がみられますし、説明書きの紙も変色しておりますので、年月はそれなりに経っているように思います。

おそらく1970-1980年代くらいのお品物なのではないかと推測いたしました。





最後に、往年の名チェスプレイヤーの名言をひとつ。



"When you see a good move, look for a better one" 

良い手を見つけたら、もっと良い手を探しなさい。



by エマーヌエール・ラスカー/Emanuel Lasker(ユダヤ系ドイツ人の数学者・チェスプレイヤー/1868-1941)



激動の時代を生きたチェスプレーヤーであり、第二代チェス世界チャンピオンであったラスカー。彼は心理戦に長け、不利な局面でも消して諦めず、チェスを指したと言われています。


彼の言葉はチェスだけでなく、人生においてもその通りかもしれないと思うのですが・・・いかがでしょうか。




◆Germany

◆推定製造年代:c.1970-1980年代頃

◆素材:木

◆外箱サイズ:幅約14.2cm 奥行き約9.4cm 高さ約5.7cm

◆キング:高さ約5.5cm 直径約2.1cm ポーン:高さ約2.6cm 直径約1.6cm

◆総重量:263g(箱と駒合わせて)

◆在庫数:1セットのみ


【NOTE】

*チェス駒はとてもよい状態ですが、一か所ポーンのベース部分に欠けがございます。画像にてご確認ください。

*付属の説明書には変色や折れがみられます。

*外箱には金具の錆や染料のトビなどがみられます。詳細は画像にてご確認ください。

*外箱の金具はしっかり動作し、きちんと留まります。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。

Todd Lowrey Antiques

by d+A


葉陰で眠るヤマネを愛でる / Vintage Adam Binder Editions "Leaf Well Alone"2003

 イングランドのアーティスト、アダム・バインダー作の傑作フィギュア。



















もともとは「ハーモニーキングダム」の造形アーティストの一人だったアダム・バインダー/Adam Binder。


2001年に独立し、イングランド・コッツウォルズで自分の工房を立ち上げ、「Adam Binder Editions」として彼独特のこだわりに満ちた作品をつくってきました。

基本的には限定生産で、追加の生産はないことから、彼の作品は世界中でコレクターズ・アイテムとなっています。


素材は大理石の粉と樹脂をまぜた独特のもので、しっとり、ずっしりとした質感と巧みな発色が作品の魅力をさらに高めています。




今回ご紹介する逸品は小さく凝った球体の逸品。



一見は葉っぱで覆いつくされた球体。

よくよくみれば、なかには小さな「Dormouse/ヤマネ」が一匹、体を丸めて眠りこけています。

そして、更なる驚きはここから。球体はぽこりと外すことが出来、中から球体状のヤマネを取り出すことができるのです。葉っぱやヤマネのリアルかつ効果的にデフォルメされた形状。葉っぱの陰にひっそりとカタツムリがいるのもたまりません。



この作品のタイトルは「Leaf Well Alone」。

アダム・バインダーの「エデン・シリーズ」の中の一体です。




エデン・シリーズは全て「球体+中のもの」という構造となっていて、亀の中の海月、蛇の中の梟、オタマジャクシの中の蛙、リンゴの木の中の蛇、梨の木の中の鳩、等々全部で9種類。それぞれの組み合わせの意味を考えながら眺めるとまた格別の趣があります。



ちなみに英語の「leave well alone」とは「現状でよしとしておく」という意味。

今回のタイトルは「leaf」ですので、本来の意味に掛けながら「葉陰で満足」というイメージなのかもしれません。

世界限定1000体のうち194体めの一品。




実は2013年から彼はブロンズ彫刻を主体とする活動をしており、小さな作品はほとんど作らなくなりました。


ブロンズ彫刻はとてもとても素晴らしいものですが、それはまさに「芸術」としての存在となっているため、

彼独特の造形センスが活かされた小さな作品を多く揃える悦びは、年々難しくなっていくのは間違いありません。



ディスプレイ方法は、外した半球を反対の半球に重ね、その上にヤマネを飾るのが英国のディーラーのおすすめ。

球体をつくり、その上にヤマネを配してもきちんと自立します。

この「Leaf Well Alone」は、葉っぱの球体に穴が大きく開いている箇所があり、そこからヤマネの状態をみることができるので、球体にヤマネを納めたまま飾るのもおすすめ。

色々な角度でヤマネを入れてみて、悦にひたるのもまた楽しいひとときとなるでしょう。




アダム・バインダーの希少な傑作小品は、手に入れるともう手放せなくなる、蠱惑的な魅力を秘めています。


今もし貴方が手に入れることが出来るなら、手に入れておくべきひとしなです。




◆England

◆製造年代:2003年

◆素材:石材・樹脂等

◆サイズ(球体になったとき):直径約5cm 

◆専用箱サイズ:15.5×9.5×7.8cm

◆本体重量:55g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*新品ではございませんが、とても良いコンディションです。

*専用箱が付属しています。

*箱には保存時についたと思われる若干の擦れやつぶれがみられます。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。

Todd Lowrey Antiques

by d+A


瑞鳥唐草をもつヴィクトリアンの佳品 / Antique Victorian Brass Table Bell

 英国アンティーク、テーブルベル。














ヨーロッパのアンティークアイテムの定番の一つ、テーブルベル。


機能的にはシンプルで、自ら振って鳴らすもの、もしくは置き型でハンマーを弾いたり摘まみを回したりして鳴らしたりするものに分かれます。


鳴る、という要件さえ満たせばよいので、デザインは様々。

シンプルなもの、人の形をしているもの、街のお土産品のように紋章をかたどったもの・・・。

機能のある嗜好品として贅を尽くしたものがあることも頷けます。




今回ご紹介する英国で手に入れたテーブルベルは、「贅を尽くした」お品物であるといえます。



まず、作られた時代は古く、19世紀後半ヴィクトリアンと推測いたします。

高さ約13cm強とテーブルベルとしては標準の大きさ。ハンドルは木製で、上部はふっくらと膨らみ、下部はきりりと締まったきれいなターニング(挽物細工)です。黒に近い塗装が施されており、部分的に剥げてきているところがよい味わいとなっています。トップには真鍮金物が取り付けられており、全体をバランスよくまとめています。


そして最大の特徴は鐘本体(キャスティング)に浮き彫りされた唐草文様。

くるくるとどこまでも続き絡まる蔦の中に鳥が配されているのがポイント。真鍮でできておりますので、真鍮ならではの緑青が凹み部分に現れてきており、それがまた唯一無二の背景となって唐草文様を引き立てています。



唐草文様とは古代ギリシアに端を発し、メソポタミアやエジプトから各地に伝播した文様と考えられています。

ヨーロッパのみならず世界中、中国や日本でもみられる文様で、特に唐草に鳥(瑞鳥/鳳凰)を配した柄は「瑞鳥唐草(ずいちょうからくさ)」とよばれ、日本では飛鳥時代から慶事にふさわしい文様とされてきました。

唐草文様は東西を繋いで紡がれ続け、特に英国においては、19世紀後半にアーツ&クラフツ運動を提唱したウィリアム・モリス(1834-1896)が、壁紙などの図案に唐草文様を多用したことで有名です。



そんな唐草文様が施されたテーブルベル。

振ればきれいな音色が響きますが、鐘本体(キャスティング)が若干平たい形をしているため、クラッパー(鳴子)を本体に当てるためにしっかりと振る必要があります。


動画をアップいたしましたので、よろしければご確認ください。



デスクトップやカウンターに置けばそれだけで絵になる存在感を持っています。

揺らして鳴らせば、モリスの時代からの音が聞こえてくるような、英国アンティークの逸品。

貴方のお手元で、更なる時を刻ませてみてはいかがでしょうか。



◆England

◆推定製造年代:c.1850-1890年代頃

◆素材:真鍮、木

◆サイズ:直径約8.7cm 高さ約13.2cm

◆重量:237g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色等がみられます。

*ハンドルの木部分、付け根には欠けたような跡があります。一見は目立たず、機能に支障はございません。詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。

Todd Lowrey Antiques

by d+A