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Sunday

黒く固い箱に何を入れよう/ Vintage Metal Cash Box

 英国ヴィンテージ、金属製キャッシュボックス。


















英国のアンティークマーケットで手に入れた、黒い金属製の小箱。


販売していたディーラーによれば「Cash Box」であるとのこと。確かに、3つに分かれたスペース、真ん中だけばね式の抑えがついており、左右に硬貨、中心にお札をいれるのにぴったりです。時代的には1970年代頃のものとのこと。




ちなみに現在の英国のお札の大きさは以下の通り


5ポンド札 125×65mm

10ポンド札 132×69mm

20ポンド札 139×73mm

50ポンド札 146×77mm


参考:Bank of England Current banknotes

https://www.bankofengland.co.uk/banknotes/current-banknotes


この箱のひとつの仕切りの内寸は約7.4(もしくは8.8)×13.9cmですので、現行の20ポンド札がなんとか入る、という感じです。



ただ、上記のサイズは現行のお札。


日本と同じように、英国でもしばしばお札が新しくなります。近年では 2016年から2020年の間に紙の紙幣からポリマーの紙幣に変わりました。日本と異なるのは、ある時期を過ぎると旧札は使うことができなくなってしまう、ということ。(イングランド銀行でのみ両替が可能という説もあり)日本は基本的にずっと使えますが、ひょっとしてそれが珍しいことなのかもしれません。


また、2024年からはチャールズ王のお札が出始めておりますが、エリザベス女王のポリマー紙幣も引き続き使うことができるようです(今のところは)




英国の紙幣の歴史を少しだけ紐解けば、単発的にいろいろなお札はあったようですが、現在でも馴染みのある額面が揃いだしたのは1970年代から始まる「シリーズD」からと思われます。(さすがに1ポンド札はもう発行されていませんが)



1978年 1ポンド札 (135×67mm)

表:エリザベス2世女王

裏:サー・アイザック・ニュートン


1971年 5ポンド札 (145×77mm)

表:エリザベス2世女王

裏:初代ウェリントン公爵(アーサー・ウェルズリー)


1975年 10ポンド札 (151×85mm)

表:エリザベス2世女王

裏:フローレンス・ナイチンゲール


1981年 50ポンド札 (169×95mm)

表:エリザベス2世女王

裏:サー・クリストファー・レン(建築家・天文学者)



これをみると、昔のお札は大きかったことがわかります。


1970年代は5ポンド札と1ポンド札が流通していたようです。想像ではありますが、金庫ではなく簡易なキャッシュボックスを使っている小さなお店ではせいぜい1ポンド札が入ればよい、という感じだったのかもしれません。


ちなみに現行の日本のお札は、縦は76mm共通、1万円札は横160mm、5千円札は横156mm、2千円札は横154mm、千円札は横150mmとなっておりますので、このキャッシュボックスではたたまないと入らないようです。






色々と長くなってしまいましたが、がっしりとしたつくりで、開け閉めもストレスなく可能な金属製の小箱は、様々な用途にご使用いただけそう。


たたむ手間を厭わなければマルシェのキャッシュボックスとして。

自宅での小銭入れやレシートの一時保管として。

もちろん工具やパーツ入れなど小物用にもご使用いただけるかと思います。




是非実用にお使いいただきたい、英国ヴィンテージの小箱はいかがでしょうか。




◆England

◆推定製造年代:c.1970年代頃

◆素材:金属

◆サイズ:幅約24.8cm 奥行約14.5cm 厚み約4cm

◆重量:595g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色、塗装の剥がれ等がみられます。

*内部の抑えのばねはしっかりと効いています。

*逆さにすれば蓋は開きます。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。 





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。




Todd Lowrey Antiques

by d+A


2世紀前、セントポール大聖堂を臨む丘より/ Antique Book"THE ENGLISH THEATRE"Vol.1

 英国アンティーク、古い本。




















英国のアンティークフェアで手に入れた古い本。


ごくこぶりのサイズながらも、深い緑色の革製高級装丁で、表紙や背表紙には金の箔押しが施されています。



タイトルは「The English Theatre: Operas, farces, &C」。



ちなみに「&c.」は、ラテン語の「et cetera/エトセトラ=その他」の略記となりますので「英国の劇作品:オペラ、茶番劇、その他」という意味となります。



全五巻のうちの一巻目であり、出版社はD.S.MAURICE, Fenchurch Street、販売は T.HUGHES, LUDGATE STREET(AND BY ALL BOOKSELLERS)となっています。タイトルがあまりにも普遍的なのでなかなか出版時期の特定が難しく、出版社、販売者のほうから絞り込んでみることにしました。



まず「Fenchurch Street/フェンチャーチ・ストリート」は現在もロンドン・シティにある大通り。「D.S.MAURICE/D.S.モーリス社」は19世紀にそこで出版業をしていた記録が残っています。


また 「T.HUGHES」があった「Ludgate Street/ラドゲート・ストリート」はかつてロンドン、セントポール大聖堂の西側にあった通り名ですが、現在は「Ludgate Hill/ラドゲートヒル」とう名称に変更されており、通り名としては現存していません。いつごろ名前が変わったのかは不明ですが、既にヴィクトリア時代にはラドゲートヒルという名称が使われていることが多いように思えますので、変わったのはジョージアンもしくはヴィクトリア時代の初めころかと推測いたします。ちなみにラドゲートヒルはロンドン中心部にある三つの丘の一つとされており、ヴィクトリア時代にはここからセントポール大聖堂の壮大な西側ファサードをよく見ることができたようです。



そして「publisher/printer」であった「T.HUGHES」の活動時期が1812-1828年とブリティッシュミュージアムのサイトにあることをみつけました。厳密には出版社と販売者の違いはありますが、そのあたりはあまり区別がなかったようなので、この本の発刊時期は1810-1820年代頃としてご紹介させていただきます。



参考:ブリティッシュミュージアム T Hughesの頁

https://www.britishmuseum.org/collection/term/BIOG163433



なお、表紙を開いたところに書き込みがあり「1849」のような数字があります。持ち主が手に入れた年か、誰かに贈った年なのかもしれません。



内容は前述のとおり劇作品、戯曲のようで、6作品が納められています。大きさからして携帯用で、外出の際などに持ち歩いて読んだのではないでしょうか。


2世紀を超えてきたであろう小さな本は、深い緑色と金彩がもつ品格と、歳月が加えた侘びた重厚さを確かに持っています。


貴方の書棚のマスコットとして、コレクションに加えてみてはいかがでしょうか。




◆England

◆推定製造年代:c.1810-1820年代頃

◆素材:革、紙、糸など

◆サイズ:約7.7×12.2cm 厚み約2cm

◆重量:119g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、傷みや変色、書き込み等がみられます。

*ページは一部とれています。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。 





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

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Todd Lowrey Antiques

by d+A


絵になるケトル / Antique Victorian Oval Shaped Copper Kettle

 英国アンティーク、コッパーケトル。
















銅は熱伝導性や加工性が良く、鍋類に最適の材とされてきました。


そして一般的に銅の鍋類は、内面がメッキ仕上げとなっているのが一般的。メッキは錫が多く、最近はステンレスのものもあるようです。


これは、過去に銅の錆「緑青」が毒であるとされていた時期があり、それを避けるために作られたと考えられています。実は緑青は毒ではないのですが、それがわかってからも、引き続きメッキは行われてきました。


それは調理後にそのまま放置すると、酢や塩分がついたことによって銅そのものが変色したり、銅成分の影響で入れたままの食材が黒っぽくなることがあったり、変色だけでなく、長く入れたままの食材を口にして「銅の過剰摂取」による吐き気を催す症例もあったことから、引き続き「一般家庭用の銅鍋類は内側をコーティングする」ということになっているようです。


ただ、プロ用のてんぷら鍋は銅製でコーティング無しのものもあります。昔からコーティングに使われていた錫は高温に弱いので、100度以上の高温になる油用や、シロップを煮詰める鍋などにはコーティング無しの純銅のものがあるようです。






前段が長くなりました。


今回ご紹介するのは、その銅の鍋・・・ではなくケトル、やかんとなります。




手に入れたのは英国中部の小さなアンティークセンター。ナビのマップとはすこしずれた場所にひっそりとあったため、そのあたりを数回ゆきすぎた末にたどり着いた場所です。渋いおじさまと優し気なおばさまがお店番の小さなところで、二階のすみのほうから発掘いたしました。



フォルムとしては断面が楕円形となるオーバルシェイプ。ハンドルは凹凸のある木製で、熱くても持ちやすい工夫がされています。ハンドル部分のフォルムや本体への止め方など、ジョージアンの頃からみられた英国伝統のスタイルとなっており、この物自体は19世紀ヴィクトリア時代のものかと思われます。




内面はおそらく錫のメッキ加工と思われます。それなりに歳月を経た感じですので、飲料用としてではなく、ディスプレイや植物への水差しとしてご使用いただくことをおすすめいたします。





英国ヴィクトリアンの家庭で、オーブンの上に置かれていたであろうコッパーケトル。美しい形とどこか懐かしさを感じる質感は、絵になるフォルムで貴方のお部屋によい景色をつくりだしてくれます。



貴方の日々の暮らしを彩るアンティークアイテムはいかがでしょうか。






◆England

◆推定製造年代:c.19世紀

◆素材:銅(内面はおそらく錫メッキ)、木

◆サイズ:高さ約21cm 幅約22.8cm 厚み約13cm

◆重量:680g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色、歪み等がみられます。

*水漏れはいたしません。飲料用としては販売しておりません。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。 





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

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Todd Lowrey Antiques

by d+A


時を経た革の質感に酔う / Antique Leather Small Attache Case with the initials C.J.B.

 英国アンティーク、レザー製の小型アタッシュケース。





















もともと荷物を運ぶ箱は木で出来ていて、革などで張られた「Trunk/トランク」でした。でもこれは紳士が自分で運ぶのではなく、ポーターや従僕が運ぶべきものでした。



自分で「手にもって運ぶ」ための、荷物を入れる鞄の代表的なものは、初めは1826年にフランスのゴディロというメーカーが作り出した「カーペットバッグ」だと考えられています。文字通りカーペット(もしくはそれに近い素材)で作られた、柔らかい本体と金属製の開口部のある鞄で、英国でも使用されるようになり、ヴィクトリア時代にかなり広がったものです。例えばアーサー・コナン・ドイルによるシャーロック・ホームズ、例えばアガサ・クリスティによるミス・マープルが使用していることをご存じの方も多いかもしれません。



次に英国では似たフォルムで革製のグラッドストーンバッグが開発されます。これは丈夫で手ごろなサイズだったため、医師に人気となりドクターズバッグという名称で進化を始めます。


また、1850年頃には英国の革職人ジェレミー・ステニングが箱のようなケースを開発したといわれており、これがアタッシュケースの原型という説があります。特徴は蓋を開くとケース全体を見渡すことができ、例えば膝に乗せて簡単なデスクのように使うことも可能であるというもの。


ちなみにアタッシュケースの語源はフランスから。本来の発音は「アタッシェ」であり、「アタッシェ/attache」は、大使館員や大使館付駐在武官・書記官のことで、彼らが使用していたことから「アタッシェケース」と呼ばれるようになったといわれています。日本では「アタッシュケース」と呼ぶことがほとんどですが、はっきりした間違いという訳ではなく、英語でも「アタッシュケース」発音されることがありますし、日本へはアメリカ経由で入ってきたと言われていますので、特に気にすることはないと思います。


それにしても英国人が開発したものをフランス人が名前をつけてアメリカ経由で日本に入ってくる・・・世界は繋がっているなあ、と実感いたします。





前段が長くなりました。


今回ご紹介するのは、そんなアタッシュケースです。



シックなブラウンレザーで出来ており、外寸で幅約23cmの大きさは、アタッシュケースとしてはかなりこぶりな部類といえます。小さいせいか、留め金具は1か所。「ENGLISH  TRADE MARK LEVER」の文字が刻まれています。


多くのアンティークアタッシュケースは既に鍵が失われており、このお品物も例外ではございません。ただ、中のバネは比較的良い状態で、丸い金物をスライドさせればパチン、と勢いよく抑えの金具が飛び上がります。閉めるときは両手が必要であり、また少々ハンドルが邪魔ではございますが、そのあたりは何卒ご容赦ください。


開閉動画をアップしましたので、よろしければご確認ください。






全体の作りから、製作年代は1900年代から1930年代くらいと推測いたします。



若干の傷みがございますので、あまり重い物を入れず、負荷を掛けないようにしながらであれば、少しばかりの外出のお供はさせて頂けるのではないかと思います。内面が傷む可能性もありますので、中のものはポーチや風呂敷などにお包み頂くのもよろしいかもしれません。もちろん、コレクションの収納やディスプレイにも、とてもおすすめです。



なによりも時を経た革のシックな質感が素晴らしい小さなアタッシュケース。

閉じ込められた1世紀の英国の薫りと共に、貴方の暮らしに深みを添えて頂けたら幸いです。





◆England

◆推定製造年代:c.1900-1930年代頃

◆素材:革、金属、他

◆サイズ(外寸):幅約23m 奥行き約7cm 高さ約18(+取手)cm

◆サイズ(内寸):約21×16.8cm 深さ約6.2cm

◆重量:543g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、アタリや凹み、変色等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。

*一部革の縫い目のホツレなどもみられます。

*現在のところ開閉には問題はみあたりません。

*立てた時の底面は平らではなく、蓋の開閉跡で少し出っ張りがあります。そっと立てればなんとか自立します。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。






アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

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Todd Lowrey Antiques

by d+A