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全ては水平を知ることから始まる / Antique Brass & Mahogany Spirit Level by J.Rabone & Sons

 英国アンティーク、水平器。
















今回は古い歴史を持つ器具・・・水平器のご紹介です。


水平器(水準器)の歴史は古く、アルファベットのAに似た木枠の頂点から、錘を糸で吊り下げて水平を見る「A水準器」などが、古代から19世紀まで使われていたほど、あらゆる建造物、建築物は、水平であることなくしては為し得なかったと言えます。


ガラス円筒に液体と気泡を入れた密閉ガラス管を用いた水平器は1661年に発明され、初めは望遠鏡、後に測量で使用されましたが、19世紀半ばに工場製モデルが導入されるまで、大工の道具として普及しませんでした。


当初、液体として水やアルコールが選択されましたが、水は粘度や表面張力、凝固点の問題から使用が困難なので、アルコールや油などが使用されるようになり、今日では、ミネラルスピリッツやエタノールなどの代替液体を使用し、さらにフルオレセインなどの着色剤を添加して、気泡の視認性が高められています。


1800年代後半から、アメリカのスタンレーや、欧州の多くのメーカーが製造し、英国やスコットランド、フランスなどでは、黒檀や象牙、真鍮やシルバーなどを使用した派手で高性能なレベル(水平器)が製造され、レベル作りを新たな高みに引き上げたと言われています。




そんな水平器。


アンティーク市場には様々な水平器がありますが、今回ご紹介するのは木と真鍮のコンビネーションが美しいひとしなです。本体部分の木はマホガニー材と思われ、使い込まれた味わい深い表情をしています。


真鍮部分には WARRANTED CORRECT の刻印がみられます。これは古い水平器や計測機器などでしばしば見かける表示であり、「WARRANT」とは「保証」の意味ですので、「正確性を保証する」という意味かと思います。


また、他には「HOCKLEY ABBEY」「MADE IN ENGLAND」の刻印も見られます。 トレードマークとして描かれた3つの三角形は、1770年にバーミンガムに建てられた「ホックリー修道院/HOCKLEY ABBEY」の「スリー・トライアングル」を表し、Rabone社(J.Rabone & Sons)が19世紀末から20世紀初め頃に商標として使っていたものです。


RABONE とは、イングランドの老舗ツール・メーカー。歴史は古く、1784年に定規などのツールの製造会社をバーミンガムで設立して以来、定規の他、巻尺や水平器、温度計などを製造し、他社へも製品を供給していました。19世紀には多くのパテントを取得、イングランドでも屈指のメーカーとなっていきます。このころの屋号は「John Rabone & Sons」。1943年に法人化しますが、1963年に Rabone社はシェフィールドの James Chesterman and Co と合併し、その後の表記は「Rabone Chesterman」となります。




実用性も兼ね備えた、英国アンティーク工具。

ゆらゆら揺れる気泡を眺めつつ思索に浸ることができる、デスクトップマスコットとしておすすめのひとしなです。




◆England

◆推定製造年代:c.1900~1910年代頃

◆素材:ガラス、真鍮、木(マホガニー)

◆サイズ:全長約20.2cm 幅約2.1cm 高さ約1.9cm

◆重量:93g

◆在庫数:1点のみ


【NOTE】

*古いお品物ですので、小傷や汚れ、金属部の経年変化などがございます。

*水平器内部にも劣化がみられますが、気泡は確認できますので、水平を測る能力に問題は無いと思います。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。




Todd Lowrey Antiques

by d+A


ボックスウッドと真鍮と/ Antique Brass & Boxwood Folding Ruler by J.Rabone & Sons

 英国アンティーク、木製折りたたみ式定規。






















機能がそのまま形となった精緻な定規は、英国アンティークの道具類の中でも格別に美しいものと思います。



今回はスタンダードで実用に足る渋いひとしなをご紹介いたしましょう。


まず、折りたたまれた状態では、木部分が約6インチ(15.244cm)ほど。これをぱたぱたと全て拡げると、24インチ(60.96cm)の長さまで測ることができます。


天然木の定規に合わせて真鍮製の蝶番やエンドキャップが組み合わされており、それらはとても繊細で機能的。指の腹で触ってみても天然木と金属パーツのコンビネーションとは思えぬほどです。異なる動きを見せる2種類の蝶番は、何度稼働させてもその動きに変化はなく、敢えてゆったり動く様は信頼性の証しといえるでしょう。さらに、折りたたまれた状態で、ひねりやずれなどの力が加わっても蝶番に負担がかからぬよう、ピンで噛み合わせるなど、とても心憎い配慮が施されています。


定規の材には「ボックスウッド/Boxwood」が用いられています。ツゲの仲間で、緻密な杢目と安定性から、伸縮しにくく折れにくい材料として、古くからチェスの駒や定規類によく使われています。定規の両面にインチの目盛りが表示されており、寸法の目盛りや数字以外に、TRADE MARK HOCKLEY ABBEY」「WARRANTED BOXWOOD」「MADE IN ENGLAND の文字が刻まれています。


このトレードマークとして描かれた3つの三角形は、1770年にバーミンガムに建てられた ホックリー修道院/HOCKLEY ABBEY の「スリー・トライアングル」を表し、Rabone社(J.Rabone & Sons)が19世紀末から20世紀初め頃に商標として使っていたものです。


RABONE とは、イングランドの老舗ツール・メーカー。歴史は古く、1784年に定規などのツールの製造会社をバーミンガムで設立して以来、定規の他、巻尺や水平器、温度計などを製造し、他社へも製品を供給していました。19世紀には多くのパテントを取得、イングランドでも屈指のメーカーとなっていきます。このころの屋号は「John Rabone & Sons」。1943年に法人化しますが、1963年に Rabone社はシェフィールドの James Chesterman and Co と合併し、その後の表記は「Rabone Chesterman」となります。



長い年月を経て使い込まれ、細かい傷や多少の汚れ、わずかな反りなどがみなれますが、まだまだ現役としてご使用いただけるお品物だと思います。



インチスケールを使う必要のある方に是非。もちろん文房具好きな方にもおすすめな、英国アンティークの実用的なひとしなです。




◆England

◆推定製造年代:c.1900~1910年代頃

◆素材:真鍮、ボックスウッド

◆サイズ:(たたんだ状態)幅約2.5cm 長さ約16.1㎝ 厚さ約0.8cm

◆サイズ:(拡げた状態)全長24inch(60.96cm) 厚さ約0.4cm+金具

◆重量:42g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、金属部の経年変化などがみられます。

*木部にわずかに反りがみられます。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。



アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

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Todd Lowrey Antiques

by d+A



英国工具開発合戦/ Antique Small Plane by Ibbotson Brothers & Co.

 英国アンティーク、小さな平カンナ。















英国の芝生の広場で行われるフレアマーケット。


アンティークマーケットとは異なり、野菜から靴、衣類までなんでもあり。もちろん家の不用品を持ってきている家族も多く、誰もが参加できる気軽なマーケットです。


私たちがよくいくマーケットは大きなアンティークセンターが近いせいか、プロのアンティークディーラーもぽつぽつと参加していて、玉石混合のなかからお宝を探し出す楽しみが満喫できる場所です(ただし要体力)。



そんなマーケットには、工具を売っているストールが少なくありません。現代のもの、少し使った中古品、そしてもっと古いもの。私の経験値からすると、古いものを扱う店主ほど、年齢が上になり癖の強さが増しているのは間違いのないところです。


今回のマーケットでもそんな癖の強い親爺殿から、いくつかの古い工具を買い付けました。彼はどうやら蘊蓄が止まらないタイプの御仁で、小さなカンナを私たちが眺めているとこんな話をしてくれました。


「それはイボットソンのカンナ。1910年代頃だね。このタイプはそれまでなくて、これをイボットソンが発売したらMOOR & WRIGHT(ムーア&ライト)が真似たんだよ。そのあとその改良品をムーア&ライトがだしたら、それを今度はイボットソンが真似たんだ!ははっ!」


20世紀初頭の小型カンナ開発合戦の一幕を楽し気に語ってくれました。


ムーア&ライトの工具類は当店でも扱っていましたのでとても興味深く、小さなカンナもとても素敵だったので手に入れてしまいました。


1809年からの歴史を持つ「Ibbotson Brothers & Co./イボットソン・ブラザーズ・アンド・カンパニー(以下イボットソン社)」。1819年にエア・イボットソン・アンド・ヘンゼル社が倒産した後、1821年にイボットソンズ・アンド・ローバック社(イボットソン・ブラザーズの前身)が、シェフィールド、ケルハム島(島と言っても運河沿いの一地帯の名称です)近郊のバウアー・スプリングにあるバーバー・アンド・ジェン社の旧工場で、鋸、ストーブの格子、フェンダー、鎌、鋼材を扱う商人兼製造業者として登記簿に登録されたという記録があります。その後イボットソン社は1824年にケルハム島でグローブワークスを開設。運河沿いの大規模統合工場として、開業当初は鋼材を生産し、その後、様々な刃物や関連製品の製造がおこなわれました。


その後1970年代までに、シェフィールドの刃物産業と鉄鋼産業は急速に衰退。1978年にグローブ・ワークスは閉鎖されましたが、その後再開発され、現在はテナントオフィスが入る歴史的建造物として運営されています。



参考:グローブワークス オフィシャルサイトより

歴史の頁

https://globe-works.co.uk/the-history



今回ご紹介する平カンナは、特に刻印などはございませんが、前述の話の通りイボットソンのものとしてご紹介させていただきます。ネジで羽の出方を調整できるようになっており、必要最低限の構造でできたシンプルで美しい形をしています。



ちなみに平カンナは英語で「plane/プレーン」。この語源は、ラテン語の「planus」に由来しており、「平坦な」「滑らかな」という意味を持ちます。つまり「平らにする」ということで、平カンナは「plane」・・・。なんてシンプルなことでしょう。ちなみに飛行機も「plane」であることは、興味深いことでありますが、そこまで掘ると長くなってしまいますのでここでは避けることといたします。



小さいながらもズシリと重く、英国工具の歴史を存分に感じさせてくれる小粋な工具。

貴方の工具箱の片隅にいかがでしょうか。




◆England

◆推定製造年代:c.1910年代頃

◆素材:金属

◆サイズ:全長約9.8cm 幅約2.5cm 高さ約5.2cm

◆重量:208g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色がみられます。

*用途として鋭いパーツがございます。お取り扱いには十分ご注意ください。

*ご使用においては刃を研ぐ必要があるかもしれませんのでご了承ください。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。 




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Todd Lowrey Antiques

by d+A


ベースボールは子供の遊びからうまれた?/ Vintage Royal Doulton "HOME RUN BUNNYKINS"

 ロイヤルドルトン社製、バニキンズ・シリーズよりホームラン・バニキンズ。













黄色いキャップを被り、バットを構えたバニキンズ。目を瞑ってしまっているのは、ちょっとボールが怖いからでしょうか。頑張るスポーツウサギをいきいきと表現したフィギュアのご紹介です。



製作は1815年設立の「Royal Doulton/ロイヤルドルトン」。創業者は「ジョン・ドルトン/John Doulton」のほか、「マーサ・ジョーンズ/Martha Jones」と「ジョン・ワッツ/John Watts」の3人でしたが、1853年に社名は「Doulton」となります。


はじめはストーン・ウェアを生産する小さな工場でしたが、2代目の「Henry Doulton/ヘンリー・ドルトン」の代に蒸気機関を取り入れるなど積極的に事業を拡大、大成功をおさめます。


その後1882年にスタッフォードシャー、ストークオントレントの「Burslem/バースレム」を生産拠点と定め、ここが現在も続くロイヤル・ドルトンの本社となっています。またヘンリー・ドルトンは陶磁器業界で初となる「ナイト」の称号を与えられ、1901年にはエドワード7世から王室御用達の栄誉を受け、ここで「ロイヤル・ドルトン」と名乗ることを許されたのです。


ロイヤルドルトンの特徴は、滑らかな肌のボーン・チャイナと、意匠の芸術性。実際に使われる食器はもちろん、装飾的でコレクタブルな食器、人形などのフィギュアも美しく完成度の高いものが多く、さすが世界的に有名な、英国を代表する陶磁器メーカーであるといえるでしょう。


また、「Bunnykins/バニキンズ」とは、1930年代から続いているロイヤル・ドルトンのうさぎキャラクターのこと。現在では子供向けの食器がメインで、バニキンズ・シリーズとしてお皿やマグカップが販売されています。ただ、フィギュア(陶器製人形)は、現在はロイヤルドルトンからは製造・販売はされていないようです。



バニキンズのもともとの始まりは1934年、テーブルウェアから始まりました。陶器製の人形の始まりは1939年。きっと、テーブルウェアの評判がよかったからだと思われます。


英国の絵本作家、Mary Barbara Baileyによるウサギのイラストをモデルに、Charles John Nokeが立体としてモデリングしたのが、初代、6デザインのバニキンズ・・・陶器製のウサギの人形でした。(ちなみにこの6デザインのバニキンズは、現在市場に出ると驚くほどの高額で取引されています)



その後、世界は第二次大戦へ突入し、ロイヤルドルトンは陶器製人形の生産を中止。1969年にBeswick Pottery を買収後、1972年から再度シリーズとして製造を始めたのです。


クリケットをしているチームだったり、ロビン・フッドだったり、チューダー朝のコスチュームを着ていたりと、テーマは様々ですが、すべて「ウサギ」。基本的にある一定期間しか製造・販売していないため、販売終了となれば市場にでたものを探すしかありません。また、ファンクラブ限定商品であったり、特定の団体や組織などのために製作されたものもあり、レア度も様々。それによって価格も異なります。





今回のバニキンズの底面には、ロイヤルドルトンのバックスタンプの他に以下の文字がみられます。



HOME RUN BUNNYKINS

DB43


ROYAL DOULTON(UK)1985




デザイナーはHarry Sales、モデラーはDavid Lyttleton。「DB43」からわかるように、初期に近いモデルで、1986年から発売され、1993年まで販売されていました。




さて、英国と言えばクリケットで、野球はあまり人気がないことはご存じの方が多いはず。でも、野球の起源が英国の子供の遊びであった「Rounders/ラウンダーズ」であるという説はご存じでしょうか。

ラウンダーズはテューダー朝(1485-1603)の頃から英国にあった遊びで、「John Newbery/ジョン・ニューベリー(1713-1767)」による1744年発刊の「A Little Pretty Pocket-Book」において「Base-Ball」として紹介されています。

遊び方はフィールドに5個のベースを置き、中央のフィーダーの場所から本塁にいる攻撃側の選手にボールを投げ、それを打って塁を回る・・・というゲームで、細かい点の相違はありますが、基本的には野球と非常によく似ていると言えます。

1826年に英国で出版されたた「The Boy's Own Book」にはすでに「ラウンダーズ」として掲載されておりますので、それ以前にアメリカに渡った可能性が高いと思われます。


クリケットは一見野球と似ているように見えますが、塁はなく、バッターはウィケットと呼ばれる3本の棒が倒さらないように守る立場でもあるので、野球のルールとはかなり異なります。

つまり野球は「アメリカで独自に考案されたもの」ではなく「英国の子供の遊びがアメリカに渡り、スポーツへと発展したもの」という説が有力のようです。





いろいろと長くなりましたが、つまりこのバニキンズは何となくまだこどもで、少年野球を頑張っているのかな、などと推測いたします。



ちょっとずんぐりな体形や短めのバット、必死に目を閉じているところなどが可愛らしい野球ウサギ。

「ホームラン」というタイトルは、これから果たしてホームランが打てるのか、はたまたホームランを夢見ているだけなのかが難しいところです・・・。


ベースボールの歴史へと想いを馳せながら、野球ウサギを眺めるのもまた一興。ロイヤルドルトンならではの造形が光る、野球好きな方へおすすめのひとしなです。




◆England

◆推定製造年代:c.1986-1993年

◆素材:陶器

◆サイズ:高さ約10.3cm

◆重量:70g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですが、欠けやヒビは見当たりません。

*底面にわずかに汚れがございます。詳細は画像にてご確認ください。

*箱は付属しません。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。




アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

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Todd Lowrey Antiques

by d+A