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Wednesday

真珠貝に刻まれた方位 / Antique Verners Pattern VI Prismatic Compasses by H.HUGHES & SON 1910

英国アンティーク、1910年製のプリズムコンパス。



















イングランドの大きなアンティーク・フェア。

全体が大きな芝生のショーグラウンドですが、その中に数軒体育館のような建物があり、その中にはアンティークディーラーがみっちりとストールを並べています。
屋外にももちろん沢山のディーラーがいるので、屋外をみるか屋内をみるか、バイヤーはそれぞれの得意分野とみあわせながら、作戦を練るとことなります。

さて、今回私たちは屋内のクオリティ高めのディーラーをまわってみました。
その中で見つけたのは望遠鏡やコンパス等を専門に扱っている眼鏡の英国人のお兄さん。

ちょっとおタク風の外見そのままに、質問を受けるや否や熱いトークで品物の説明が始まります。


そんな彼から買い付けたのが、今回ご紹介するコンパス。

「これは第一次大戦前のオリジナル。盤はマザーオブパールだし状態もいいし、絶対おすすめ!」

・・・実は、他にも沢山説明をしていたのですが、正直覚えきれておりません。



英国のアンティークコンパスは世界的に人気で、人気モデルの復刻版=リプロダクションが多く流通しております。
リプロダクションでもなかなかよくできた物も多いのですが、やはりオリジナルは別格。

気が付けば手に入れておりました。
(数本の望遠鏡とともに・・・です。望遠鏡はいずれご紹介いたします)



まず、タイプとしてはプリズム(プリスマティック)コンパスです。
蓋を開け、サイティングスリットを倒し、ヘアラインを対象物に合わせ、プリズムを覗きながら操作すれば
対象物までの距離や、対象物の大きさなどを測ることができるという機能をもっています。



また、コンパス表面には以下の文字がみられます。

VERNERS PATTERN

これは、Willoughby Verner/ウィロビー・バーナー(1852-1922)によって開発されたコンパスの名前。
英国の兵士、作家、鳥類学者でもあった彼が1895年に開発したものです。
初期のものはプリズムはついていませんでしたが、その後改良を重ね、プリズムが組み込まれるようになってゆきました。


そして、裏面にある「H.HUGHES & SON LTD」とは、「Henry Hughes and Son Limited」のこと。
1828年測定機器等を製造するメーカーとしてロンドンにて創業したヘンリーヒューズ&ソン社。
海軍のコンパスなどを手掛けていましたが、第一次大戦中からは航空機のコンパスも手掛けるようになります。
1947年にはKelvin, Bottomley and Baird社と合併。Kelvin and Hughes社としてナビゲーションおよび監視システムの設計と製造を専門とする企業となりました。
ただ、残念ながらこのKelvin and Hughes社も2017年には他社に売却されているようです。
少なくても100年以上にわたり、コンパスから始まって測定機器、ナビゲーションシステムまで作ってきた英国の老舗企業といえると思います。


さらにもう一つの特徴、矢印のマーク。

これは「ブロードアロー/Broad Arrow」とよばれるマークです。
もともとはヨーロッパにおいて紋章としてつかわれていた「pheon/小槍」などが元といわれており、17世紀末頃から英国の官有物にマークとしてつけられるようになりました。
主として軍用でしたが、他の用途にも使われることがあったようです。
植民地時代のアメリカやオーストラリアにおいても使われており、軍や官庁などのサーベイマーカーとしての使用がみられます。
英国において、機器や備品関係などでこのブロードアローがついているものであれば、まずは英国軍のものであった可能性が高いといえるでしょう。


このコンパスにおいてブロードアローの右側についている「VI」は、このコンパスが「VERNERS PATTERN VI」であることを示すもの。
「VERNERS PATTERN VI」は1909から1910年に作られたもので、このコンパスは1910年のものです。


歳月を経て変色した真鍮。
ゆらりと煌めく盤のマザーオブパール(真珠貝)。
小さくても持ち重りのする存在感は、さすがオリジナルの風格です。


英国軍人の手の中で、第一次大戦(1914-1918)をくぐりぬけてきたであろう小さな英雄はどんな風景を見てきたのでしょうか。
貴方のお手元においたとき、時代の小さな証人として語りかけてくるものがきっとある・・・ような気がいたします。



参考サイト
バーナーズパターン・コンパスについての海外コレクターのサイト(英語版)
「Verners Pattern Prismatic Compasses」
http://www.compasscollector.com/article_page_5.htm


参考サイト
「H.HUGHES & SON」についてのサイト(英語版)
Grace's Guide to British Industrial History
https://www.gracesguide.co.uk/Henry_Hughes_and_Son



◆England
◆推定製造年代:c.1910年
◆素材:真鍮・金属・ガラス・真珠貝・他
◆サイズ:全長約8.5cm コンパス本体直径約5.5cm 厚み約2.2cm
◆重量:163g
◆在庫数:1点のみ


【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆や変色等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*現在のところ磁針はほぼ正確ですが、古いお品物のため今後の保証の限りではございません。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。




アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
こちらのバナーからご来店いただけます。



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緑青を纏う小さな卓上の剣 / Vintage Brass Small Letter Opener

英国ヴィンテージ、小さな真鍮製のレターオープナー。










今回ご紹介するレターオープナーの特徴は、まず「小さい」こと。
全長わずか12cmあまり。これ以上小さいと使いづらいでしょうから、限界に近い小ささといえるのではないでしょうか。


そして、先端のモチーフの美しさ。
由来は定かではありませんが、どこかの紋章のような左右対称の透かし彫りモチーフが先端に施されております。
何故か緑青がこの部分だけ多いのも不思議なところ。

さて、このレターオープナーの材である「真鍮」とは銅と亜鉛との合金であり、特に亜鉛が20%以上のものをいいます。
最も一般的なものは銅65%、亜鉛35%のもの。

緑青は銅にでる錆びですので、この先端のモチーフは銅の配合が高いものなのかもしれません。



様々な文具の中で、レターオープナーは「手紙の封を切る」ための道具として、なかなかに贅沢な品物。
ただ、鋭いカッターナイフで封を開ければ、鋭いがゆえにしばしば違う方向に紙を切ってしまうのは、皆様も経験されたことがあるのではないでしょうか。
レターオープナーは鋭くないがゆえに、折れ曲がったところを柔らかく破り、心地よい開封のお手伝いをしてくれる、アナログな道具と言えるでしょう。


小さなレターオープナーは、限られた卓上のスペースにおいて効率的におさまり、なおかつ贅沢な文具としての華やかさを存分に備えています。

手に持って、紙を破り、書を手にする。
これもまた贅沢な行為といえる時代なのかもしれません。



◆England
◆推定製造年代:c.1950-1970年代頃
◆素材:真鍮
◆サイズ:幅約3cm 長さ約12.2cm 厚み約0.6cm
◆重量:46g
◆在庫数:1点のみ


【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*「剣」と表現しましたが刃物ではございません。ただ、オープナーの機能として鋭い形状をしています。お取り扱いには十分ご注意ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。




アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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重なるメッシュの向こう側 / Antique Victorian Brass Mesh Letter Rack

英国アンティーク、真鍮メッシュのレターラック。














趣あふれるレターラックは、イングランドの大きなアンティークフェアで手に入れました。

ベースは英国伝統の家具材、オーク。
しっかりとシルバーグレイン(虎斑)が浮き出た材が使用されており、雰囲気あふれる仕上がりです。

そのオークをベースとして、真鍮の丸い4つの足がが全体を支えます。
上部には3つのアーチが立ち上がり、それぞれに真鍮ワイヤで編んだメッシュが張られております。
メッシュの角度は内側と外側と異なり、複雑で趣ある表情をだしています。


底面には「S.HALL」の刻印がみられます。「S.HALL」とはメーカーズマークであると思われますが、所在地などは不明。
ただ、このようなオークにブラスメッシュのレターラックで「S.HALL」のものが、ヴィクトリアン期のものとして英国アンティーク市場に散見されますので、今回ご紹介するレターラックも1890年代頃とさせていただきました。

郵便全盛時代の英国ヴィクトリア期。
このようなレターラックは大いに必要とされ、沢山の手紙やポストカードを支えてきたに違いありません。


今までの100年、そしてこれからの100年。
このままのフォルムで、歳月を重ねていくであろうオークと真鍮のレターラック。


変わらないことの安心感を与えてくれる、英国アンティークの王道ともいえる佳品を、貴方にお届けいたします。



◆England
◆推定製造年代:c.1890年代頃
◆素材:真鍮・オーク材
◆サイズ:幅約17.5cm 奥行き約8.5cm 高さ約14.8cm
◆重量:376g
◆在庫数:1点のみ


【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、歪み、材の欠けや変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*オークの台座端部には欠けがみられます。
*真鍮の曲線は若干歪んでおります。
*真鍮メッシュの留め部分はワイヤーや金具になっています。外側に鋭い部分はでておりませんが、内部にはワイヤ端部がでておりますので、内部に手を差し込むこと等はご注意ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。




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アン女王のスタイルをミニチュアで / Vintage Queen Anne Style Dining Set Doll House Scale

英国ヴィンテージ、クィーンアン様式のミニチュアダイニングセット。













クイーンアン様式とはイングランド-スコットランド-グレートブリテン王となったアン女王(在位1702-1714)時代に生じた装飾美術のこと。
それまでの重厚な様式から、家具でいえば曲線を生かした軽やかなもの・・・例えば貫のないカブリオレレッグ(俗にいう猫足)が生まれた時代であります。


今回ご紹介するミニチュアのダイニングセットは、そのクイーンアン様式のもの。


テーブルは「直径約8.3cm 高さ約6.3cm」ですので、12倍すれば「直径約100cmに高さ約75.6cm」。
実際の家具もこのフォルムバランスだとそのくらいが妥当だと思いますので、1/12のドールハウススケールといえるでしょう。

正直、職人のテスト制作や貴族の持ち物のミニチュアのような、高級クオリティではございません。
おそらくは子供用のおもちゃとして制作され、どちらかといえば素朴なつくり。
チェアの座などは、よいジャガード生地を使ってはおリますが、手作業の感じが残ります。

それでも、クィーンアン様式ならではのカブリオレレッグ、つぼ型のバックスプラット(背柱)などが一生懸命に再現されており、微笑ましく眺めることができます。



英国家具史のひとつのエポックメイキングであり、そしていまなお愛され続けるクィーンアン様式の家具。
優雅な曲線をもつ美しい家具を、ぜひデスクトップでご堪能ください。



◆England
◆推定製造年代:c.1970年代頃
◆素材:木・布
◆テーブルサイズ:直径約8.3cm 高さ約6.3cm
◆アームチェアサイズ:幅約4.8cm 奥行約3.8cm 高さ約10cm 座高約4.5cm
◆重量:84g(3点の合計)
◆在庫数:1セットのみ


【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色や塗装の塗りむらがみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。




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