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Friday

闘いを超えてきた泰然とした機能美 / Vintage World War 2 German Military Marching Compass

 ドイツヴィンテージ、マーチングコンパス。

























アンティークのコンパスは世界中にコレクターが多く、特にミリタリー/アーミーコンパスは人気で、リプロダクションでもその完成度は高く本格的ですが、やはりオリジナルは別格です。

今回ご紹介するのは、ドイツ国防軍(Wehrmacht)が第二次世界大戦終結まで使用していたマーチングコンパス。

実は当店では似たタイプを以前ご紹介したことがありました。そのときのものは比較的後期のもので、ケースがアルミでしたが、このお品物は初期の真鍮製ケースであるのが特徴です。


歴史としては、当初はこの品物のようにケース・蓋ともに真鍮で作られていましたが、第二次世界大戦中の材料不足のために、ケース、蓋はそれぞれニッケル、アルミニウムに変更となり、少しばかり大きくなり、裏面にある折りたたみ定規は55㎜から60㎜へと更新されたようです。


ミリタリーコンパスには、蓋の裏側がミラーになっているタイプもありますが、このモデルは独立したミラーが特徴のひとつです。'Signal and Sighting Mirror'と呼ばれるこのミラーは、光を反射させて合図を送るなどの使い方以外に、方位を確認する用途があります。


その使い方は、まず、蓋を180°まで目一杯開き、リングのある反対側から見て、シグナルミラーに方位磁針が映るよう、45°前後に角度を調整し、シグナルミラーの根本にあるトンネル形状の開口越しに、ガンサイト(gun sight)さながらリング根本のV溝(v-notch)と蓋の先の突起を合わせつつ、その先の目標物に照準を合わせて、方向や行先を定めます。


ベゼルリングは回転式になっているので(rotating bezel ring)、ベゼルリングのギザギザに2本の指を添えて容易に回すことができ、中の方位や数字の書かれた目盛り部分のみを回転させ、地図上の南北ラインに合わせるなどして活用します。


コンパス底部には折りたたみ式の5.5cmまで測れる定規がついており、地図を読む時に利用していたと思われます。


特に銘はないのですが、製造は、F. W. Breithaupt & Sohnと思われます。1762年創業のブレイトハウプトは、産業界や軍隊に多くのコンパスタイプを提供してきた長い伝統をもつ、ドイツ最古の精密測定機器メーカーで、1945年までドイツ国防軍へマーチングコンパスを納入していました。


ややこぶりですが、ずっしりと持ち重りがするのは真鍮製の特徴。蓋は「かちり」と音がするほどきちんと閉じられ、下部の定規も戻すときには「ぱちん」と音をたてて安定します。



重い歴史を背負いながらも、泰然とした機能美を放つのはやはり本物の証。しっとりと手になじむ真鍮の味わいをもつ貴重なひとしなを、貴方のコレクションに加えてください。



◆Germany

◆推定製造年:c.1939-1944年頃(おそらく1942年頃まで)

◆素材:ガラス・真鍮(ケース・定規)・アルミニウム(ミラー)・合金(リング)

◆サイズ:直径約5.1cm 長さ約6.8㎝+丸環 厚さ約1.5cm

◆重量:118g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に微細な傷、汚れ、変色、塗装の剥げ等がみられますが、ガラス部分に目立つ傷はなく、動作も正常です。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。




アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

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Todd Lowrey Antiques

by d+A


猫と魚と、魚と猫と/ Vintage Adam Binder Editions "CAUGHT FISHING" 2003

 イングランドのアーティスト、アダム・バインダー作の傑作フィギュア。



















くるんと球体に丸まった猫。しっぽを体に巻き付け、耳は頭にぺたんとつけて、よくみれば腕に魚を抱え込んでおります。

みっちりと集まった魚でできた球体は二分割が可能。その中に猫をすっぽり入れたり、上に乗せたりしてお楽しみいただけるフィギュアです。


こちらは、当店で何度かご紹介しているイングランドのアーティスト、アダム・バインダーの作品。


もともとは「ハーモニーキングダム」の造形アーティストの一人だったアダム・バインダー/Adam Binder。2001年に独立し、イングランド・コッツウォルズで自分の工房を立ち上げ、「Adam Binder Editions」として彼独特のこだわりに満ちた作品をつくってきました。基本的には限定生産で、追加の生産はないことから、彼の作品は世界中でコレクターズ・アイテムとなっています。素材は大理石の粉と樹脂をまぜた独特のもので、しっとり、ずっしりとした質感と巧みな発色が作品の魅力をさらに高めています。


この作品のタイトルは「CAUGHT FISHING」。アダム・バインダーの「エデン・シリーズ」の中の一体です。世界限定1000体のうち679体めの一品。

エデン・シリーズは全て「球体+中のもの」という構造となっていて、亀の中の海月、蛇の中の梟、オタマジャクシの中の蛙、リンゴの木の中の蛇、梨の木の中の鳩、等々全部で9種類。それぞれの組み合わせの意味を考えながら眺めるとまた格別の趣があります。


ちなみに今回ご紹介している「CAUGHT FISHING」とはどんな意味なのでしょう。単に「魚を釣った(捕まえた)」なら「CAUGHT FISH」でよいはずです。「CAUGHT FISHING」は「魚釣りを捕まえた」・・・という意味になるのでしょうか?その考え方で言えば、魚を捕まえた猫を、さらに魚が囲って捕まえている・・・という状況を表現したものかもしれません。



2013年からアダム・バインダーはブロンズ彫刻を主体とする活動をしており、このような作品はほとんど作らなくなりました。ブロンズ彫刻はとてもとても素晴らしいものですが、それはまさに「芸術」としての存在となっているため、彼独特の造形センスが活かされた小さな作品を多く揃える悦びは、年々難しくなっていくのは間違いありません。



アダム・バインダーの希少な傑作小品は、手に入れるともう手放せなくなる、蠱惑的な魅力を秘めています。

今もし貴方が手に入れることが出来るなら、手に入れておくべきひとしなといえるでしょう。




◆England

◆製造年代:2003年

◆素材:石材・樹脂等

◆サイズ:球体の外形直径約4.5cm

◆専用箱サイズ:15.5×9.5×7.8cm

◆本体重量:75g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*新品ではございませんが、とても良いコンディションです。

*専用箱が付属しています。

*箱には保存時についたと思われる若干の擦れやつぶれ、歪み、汚れなどがみられます。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

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Todd Lowrey Antiques

by d+A


Saturday

聖ジョージとドラゴンの伝説 / Antique Brass Door Knocker ST.GEORGE AND THE DRAGON

 英国アンティーク、真鍮のドアノッカー。















聖ゲオルギオス=聖ジョージの伝説をモチーフとしたドアノッカーのご紹介です。


聖ジョージとは、キリスト教の聖人の一人。3世紀後半にパレスチナのリュッダでギリシャ系貴族のキリスト教徒の家庭に生まれたという説があります。彼については様々な伝説がありますが、最も有名なのはドラゴン退治の伝説。


伝説は以下のようなものです。


カッパドキアのセルビオス王の首府ラシアに 巨大な悪竜(ドラゴン)がいました。毎日2匹ずつの羊を生け贄としていましたが、ついに羊が尽き、人を生贄にしようとくじを行います。くじに当たったのは、なんと王の娘。王は城中の宝石を差し出すことで逃れようとしますが、もちろんそんなものでは許されず、なんとか8日間の猶予を得ました。


その間に聖ジョージが通りかかり、助けを申し出て見事に竜を捕まえます。村に竜を連れてきて「キリスト教徒になると約束すれば、竜を殺そう」といいます。こうして、異教の村はキリスト教の教えを受け入れました・・・というもの。(諸説あります)


なかなかに興味深い話の流れですが、ここに登場する「馬に乗りドラゴンを槍で突く聖ジョージ」は非常に有名なシーンです。中世からギリシア、ロシア、西ヨーロッパを中心にみられ、ルネサンス美術においても数多くの作品のモチーフとなってきました。英国でも過去に数回紙幣や硬貨のデザインに登場しています。


今回ご紹介するドアノッカーのシーンは、聖ジョージが裸体であり、槍ではなく剣を持っているのが特徴的です。これはイタリアの宝石彫刻家、貨幣彫刻家であった「Benedetto Pistrucc/iベネデット・ピストルッチ(1783-1855)」によるソブリン金貨のデザインととてもよく似ています。このデザインの金貨はなんどか少しづつデザインを変えながら発行されており、英国においての人気の高さをうかがわせます。



また、見逃せないのがこのドアノッカーにはレジストレーション(レジスタード)番号が刻まれていること。1884年からダイヤモンドコードの代わりに付けられた意匠登録番号のことで、例えば1884年のRD Numberは「RDNO1」から「RDNO19755」までとなります(「D」及び「O」は上寄せで小さな文字)。


このドアノッカーにつけられた番号はRDNO586232。これは1921年の番号となります。個体ごとにつけられるシルバーのオールマークと異なり、あくまで意匠登録番号なので、この個体が作られた年とは断言はできません。ただ、番号が登録されてから3年間は他の物が似た物を作って販売するとかなりな罰金があったそうなので、製造は恐らく1921年から数年以内の可能性が高いと思われます。


1921年、英国はジョージ5世の治世下。人気だったソブリン金貨の聖ジョージをモチーフとしたドアノッカーは、なかなかに喜ばれたのではないでしょうか。第一次大戦後のつらい時期、王と同じ名前の聖ジョージがドラゴンを倒す姿に、人々は強い英国を夢見たのかもしれません。


聖ジョージの姿が浮き彫りにされたドアノッカーは、古い真鍮が持つ味わいを存分に感じさせてくれます。


実際にドアノッカーとしてお使いいただくのはもちろん、壁にとめてウォールフック代わりにするのもおすすめ。長い長い歴史をもつ伝説に、想いを馳せてみるのはいかがでしょうか。




◆England

◆推定製造年代:c.1921年以降その後数年程度

◆素材:真鍮

◆サイズ:長さ約7cm 幅約4.6cm 厚み約1.2cm

◆重量:83g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色がみられます。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。 





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

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by d+A