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Friday

中空にスプーンの指定席をもつオーバルボウル / Antique Silver Plated Jelly Bowl with Carrier & Spoon

 英国アンティーク、シルバープレートのスプーンキャリア付ジェリーボウル。













このようなボウルはジェリーボウル、もしくはジャムボウルとよばれ、文字通りジェリーやジャムを入れて食卓に置かれてきたもの。

専用のスプーンを引っ掛けておくことが出来たため、便利で機能的、そして見た目にも食卓の良いアクセントとして重宝されてきたスタイルです。フォルムが円形ではなく、オーバル(楕円)となっており、どこか洗練された雰囲気となっています。


銀メッキには数種類ありますが、代表的なものは、銅・ニッケル・亜鉛からなる合金に、電気により銀メッキをしたもの。「洋銀」や「洋白」、「ニッケルシルバー」などと言われ、「E.P.N.S.」「E.P.」の刻印があることがあります。


この銀の電気メッキは、1840年頃に英国バーミンガムのエルキントン社が開発し、純銀製と間違われないようE.P.N.S.マークがつけられるようになりました。


英国においてスターリングシルバーはそのホールマークによって、だれが、いつ、どこのアセイオフィスで認可をうけたか、がひとめで分かるようになっていますが、銀メッキにおいてはその限りではなく、「E.P.N.S.」とあったり「SILVER PLATED」とあったり、もしくは何もなかったり、様々な状態となっています。


今回ご紹介するボウルには、底に以下の刻印がみられます。


E.P.N.S

YEOMAN PLATED

MADE IN ENGLAND



「E.P.N.S」とは前述の銀メッキのことで、「Electro Plated Nickel Silver」の頭文字。そしてYEOMAN PLATEDとは、YEOMAN OF ENGLAND COMPANYのシルバープレートをさします。

1897年、Sawbridgeworth、Hertfordshireで創業したYEOMAN OF ENGLAND COMPANY。銀製品、そしてシルバープレーテッドのテーブルウェアを多く生産し、ハロッズやリバティなどにも製品を卸していました。1972年にはDouglas Pell Silverwareとなって現在でも営業を続けています。


また、フルーツコンポートの模様が打ち出されたボンボンスプーンはSheffieldに1884-1940年の間にあったJohn Henry Potterのシルバープレート。細かな模様が賑やかで愛らしく、見ているだけで愉しくなるような一品です。


ボウルとスプーン、それぞれメーカーは異なりますが、透かし彫りのある取っ手、細かな凹凸のあるエッジをもつボウルのクラシカルな雰囲気とやはりクラシカルに装飾されたボンボンスプーンは雰囲気がよく合っており、スプーンを指定席である取手に掛けるたびに、愉しい思いを持っていただけることと思います。


英国アンティークならではの、可憐で優雅な愛すべきひとしなです。



◆England

◆YEOMAN OF ENGLAND COMPANY/John Henry Potter

◆推定製造年代:ボウルc.1930-50年代/スプーンc.1930年代

◆素材:合金にシルバープレーテッド(銀メッキ)

◆ボウルサイズ:ボウル幅約11cm 奥行き約8.6cm 高さ約13.5cm 

◆スプーンサイズ:長さ約14.5cm

◆ボウルにスプーンをセットしたサイズ:高さ約18cm

◆重量:約151g

◆在庫数:1セットのみ


【NOTE】

*古いお品物のため、小傷や汚れ、錆や変色等がございます。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上お求めください。



*このお品物は当店の姉妹店「Reminiscence」から移行してきたものです。過去に「Reminiscence」のブログで紹介されておりますので、検索時にご覧になるかもしれませんが、品物はこれ一点であり、当店で在庫しておりますのでご安心ください。




アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。



Todd Lowrey Antiques

by d+A

ヴィクトリアンのレディが愛した編み上げ靴 / Antique Victorian Ladies Shoe Pin Cushion

 英国アンティーク、靴のフォルムをしたピンクッション。















英国のマーケットで手に入れた存在感のあるピンクッション。


ヴィクトリア時代の女性の編み上げ靴を模したピューターの本体は、底のステッチまでも再現された細かさです。もともとの紐の部分は、ほとんど残っておらず、かすかな糸が引っかかっているだけでしたので、私の方で、平紐を通して靴紐のように結んでみました。ピューターの本体にしっかりと穴が開いておりますので、少し手間がかかりますが、違う紐に取り換えることも可能です。


クッション部分に詰めてあるのは馬毛。


馬毛はアンティークの椅子の詰め物にもよく使われている高級材。馬のしっぽやたてがみの毛を撚って蒸して縮れさせると、耐久性のあるクッション材となります。触ると「しゃりっ」とした感触となり、しっかりとした強度でクッション材としてヘタりにくい特徴をもっています。


その馬毛を靴に詰め込み、多色遣いのジャガード織を被せ、靴に押し込んでピンクッションとしています。生地は押し込んであるだけですが、靴の開口部に僅かに返しがあり、それに抑えられつつ、クッションの反発もありますので、安定してご使用いただくことができます。ジャガード生地はしっかりとしておりますので、後年取り換えられたものと思われます。お好みの生地に変えてもよろしいかと思います。ピンを刺せば、馬毛の「しゃりっ」とした感触を味わっていただける優れもの。


ピンクッションにはもちろん、ブローチやハットピン等を刺してみてもよろしいですし、この靴だけでも洒落たディスプレイとしてお愉しみいただけることでしょう。


ヴィクトリア時代、女性の足元を護っていたクラシカルな編み上げ靴を、是非お手元で愛でてみてはいかがでしょうか。





◆England

◆推定製造年代:c.1900-1930年代頃

◆素材:ピューター、馬毛、布

◆サイズ:全体長さ約13.5cm 幅約5.1cm 高さ約7.1cm(+クッションの出張りが約1cm程度)

◆重量:約242g

◆在庫数:1点のみ


【NOTE】

*古いお品物のため、小傷や汚れ、変色等がございます。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上お求めください。




*このお品物は当店の姉妹店「Reminiscence」から移行してきたものです。過去に「Reminiscence」のブログで紹介されておりますので、検索時にご覧になるかもしれませんが、品物はこれ一点であり、当店で在庫しておりますのでご安心ください。




アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

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by d+A



美しいスプーンが体現する英国銀器の記念碑 / Vintage Silver Spoon Set Hallmarks Six Different Assay Marks

 英国ヴィンテージ、全て異なるアセイオフィスのマークをもつ銀のスプーンセット。

















このスプーンセットの凄さをお伝えするために、まず英国の銀器についてご説明をしなければいけません。


英国では純銀(純度92.5%)を「スターリングシルバー/Sterling Silver」と呼び、すべて「Assay Office/アセイオフィス/検分所」の認可を受けなければなりません。このシステムは12世紀にまでさかのぼり、英国で作られた純銀製品にはすべてホールマークと呼ばれる刻印があります。(*基本的にはそうなのですが、時々検分を受けていないシルバーも流通しているようです)


ホールマークは数種類からなり、一般的には左から順にアセイオフィスのマーク、スターリングシルバーを表すライオンのマーク、製造年を表すデイトレター、そしてシルバーメーカーのマークとなっています。このマークを読み解けば、誰が、いつ、どこで認可を受けたのかがすぐわかる仕組みとなっています。


もともとは税金を徴収するために作られたシステムですが、このシステムを几帳面に守ってきた英国人気質が現在においても英国のシルバーの多くがきちんと残り、世界的に評価されている大きな要素となっています。


さて、過去から現在まで、英国(アイルランド含む)のアセイオフィスは全部で11か所。


そのなかで現在も営業を続けてるのは、英国ではLondon/ロンドン、Edinburgh/エディンバラ、Birmingham/バーミンガム、Sheffield/シェフィールドの4か所。アイルランドではDublin/ダブリンの1か所。


その他の以下6か所は、長い歴史の末にクローズしてしまいました。


York/ヨーク 16世紀から1856年まで

Exeter/エクセター16世紀から1883年まで

Newcastle/ニューカッスル 17世紀から1884年まで

Norwich/ノリッチ 1702年まで

Glasgow/グラスゴー 17世紀から1964年まで

Chester/チェスター 17世紀から1962年まで



そんな歴史をもつ英国の銀器。


もちろん、一般的にはシルバーメーカーは最寄りのアセイオフィスで認可を受けますので、普通のスプーンセットはもちろん、セット物はすべてひとつのアセイオフィスのマークが刻印されることがふつうです。


その常識に反し、このスプーンセットはなんと1本づつすべて異なるアセイオフィスのマークが刻印されています。


グラスゴーとチェスターのオフィスが閉まる直前、1962-1964年当時の英国(ここではUnited Kingdomを指します。アイルランドは含みません)全てのアセイオフィスのマークをもつスプーンセットを作るべく、1908年創業のシェフィールドのシルバースミス Travis Wilson & Co Ltd が制作したものなのです。


シルバースミスにとっては大切な仲間のようなアセイオフィスが2か所もクローズするにあたり、記念碑的なセットを作っておきたい、という気持ちが作らせたものなのではないでしょうか。


各スプーンのホールマークの内容は以下の通り。


************************************

Chester/チェスター 1962年

営業期間:17世紀から1962年まで

マーク:3束の小麦(チェスターの紋章より)


Glasgow/グラスゴー 1963年

営業期間:17世紀から1964年まで

マーク:てっぺんに小鳥がとまっている木。幹が魚。


Edinburgh/エディンバラ 1963年

営業期間:15世紀から現在まで

マーク:はじめは1本の塔。1617年より三本の塔のお城。


Birmingham/バーミンガム 1963年

営業期間:1773年から現在まで

マーク:錨


Sheffield/シェフィールド 1963年

営業期間:1327年より現在まで

マーク:1974年までは王冠。以降現在までは薔薇。


London/ロンドン 1964年

アセイオフィス営業期間:1327年より現在まで

マーク:豹の頭。時々王冠付き。1697~1720のみ横向きのライオン。

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裏ぶたには各オフィスのマークと説明書きが印刷されています。


スプーン自体のデザインはシンプルで上品。


特に凝った彫や透かしがあるわけではありませんが、ちょっと珍しい先端がとがったフォルムには、記念碑的な作品とするにふさわしい普遍的な美しさが内在しているかのようです。



一見なにげないふりを装いながらも、実は希少で、二度と手に入らないもの。



製造後まだ60年余りのヴィンテージ品ではありますが、間違いなく英国アンティークの粋を極めていくにちがいないひと品です。





◆Sheffield England

◆Travis Wilson & Co Ltd

◆推定製造年代:1962-64年

◆素材:スプーン/スターリングシルバー

◆サイズ:外箱約20×15.5×3cm スプーン長さ:約11cm

◆在庫数:1セットのみ(スプーン6本と外箱のセットです)



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷などがみられます。詳細は画像にてご確認ください。

*Londonのスプーンには、肉眼では非常に気づきにくい大きさですが、ホールマークの下にごくごく小さな書き込みがございます。

*外箱には多少の汚れや擦れがみられます。また、2か所ある留め金のうち1か所には受けの金具がございません。

*全体としては通常のご使用に十分耐える、よいコンディションだと思います。ご了承の上、お求めください。

*画像の小物は付属しません。


*このお品物は当店の姉妹店「Reminiscence」から移行してきたものです。過去に「Reminiscence」のブログで紹介されておりますので、検索時にご覧になるかもしれませんが、品物はこれ一点であり、当店で在庫しておりますのでご安心ください。



アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

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by d+A

透明な漆黒を透かしてみえる180年の歳月/Antique Biedermeier Glass Vase

 オーストリアアンティーク、ビーダーマイヤー様式の優美な花瓶。














「ビーダーマイヤー/Biedermeier」とは、19世紀前半のドイツ、オーストリアを中心に生まれた様式のこと。


1815年のウィーン会議後から1848年の3月革命までの間、主に中産階級が好んだ生活を、後に総括して名づけたものとなります。「ビーダーマイヤー」の名称はドイツの判事ルートヴィヒ・アイヒロットによって書かれた、1850-1857年、南ドイツの風刺週刊誌「フリーゲンデ・ブレッター/Fliegende Blatter」の中に登場する、架空の小学校教員「ゴットリープ・ビーダーマイヤー」に由来しています。


つまり、様式としてのビーダーマイヤーとは、この小説中に描写された当時の小市民的な生活スタイルのこと。同じ時代のヨーロッパの中で、英国の「ジョージアン」や、フランスの「ナポレオン三世様式」など統治者の名前が建築様式、デザイン様式の名称となることが多い中、非常に珍しいパターンといえます。


それだけその小説のなかの生活スタイルが、当時の人々に強く影響を与えた、ということでしょうか。ビーダーマイヤー様式の特徴は、当時の時代背景を受け反貴族趣味ながら優美さがまだ残されているところ。


完璧にモダンなわけではなく、優美な装飾を残しつつも、どこか簡素で、華美になりすぎない、幾何学的な要素があるデザイン。ちょうど、ちょっと良い暮らしをおくっている、もしくはおくりたいと思っている善良な市民が、安心して「きれい、すてき」といえるようなテイスト、といったもののように思えます。



この小さな花瓶は、まさにそのビーダーマイヤーのオリジナル。手に入れたのは、世界遺産の街、アルプス湖畔、オーストリアのハルシュタット。その美しい街にある小さなアンティークショップの棚の中から、背の高いオーストリア紳士の店主が取り出したのがこの花瓶。


「Biedermeier , Original」。


大切そうに、そしてちょっと自慢気にみせてくれました。


漆黒のガラスに描かれた、可憐な花々とエレガントさが残された幾何学性をもったフォルムはビーダーマイヤーらしい、どこか簡素でありながらも、優美な印象をもっています。すすらんの花弁のような口には、凹み部分にわずかに金彩がのこっています。当初は、エッジにぐるりと金彩が施されていたのかもしれませんが、長い歳月のうちに、落ちてしまった可能性がございます。ただ、それがかえって全体の黒さを引き立て、とても素敵なたたずまいとなっているのは、アンティークならではの味わいといえるでしょう。



とてもめずらしい、類まれな逸品は、数度の戦争や動乱の大きな流れから取り残されたように、この100年以上を湖畔の街で過ごしてきたのかもしれません。


それがいまここにある、小さな奇跡。


透明な漆黒のなかに刻まれた、歴史と人々の想いを、ぜひ感じてください。





◆Austria

◆推定製造年代:c.1840年代頃

◆サイズ:直径約5.5cm 高さ14cm

◆重量:149g

◆在庫:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に製造時の凹み、ガラスのスジ、エナメル彩のむら等がみられます。

*ヒビや欠けなどはみられません。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。 



アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

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*このお品物は当店の姉妹店「Reminiscence」から移行してきたものです。過去に「Reminiscence」のブログで紹介されておりますので、検索時にご覧になるかもしれませんが、品物はこれ一点であり、当店で在庫しておりますのでご安心ください。


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