英国アンティーク、最高級素材マラッカ藤とスターリングシルバーのステッキ。
17世紀から18世紀は、ステッキは男性のワードローブの重要なアイテムであり、社会的地位の指標でもありました。武器、アクセサリー、ステータスシンボルであり、定番の木製を始め、世界中から集められたあらゆる素材で作られてきた贅沢な嗜好品でもありました。
その頃から、「象牙のグリップにマラッカ藤のシャフト」が高級ステッキの定番素材だったといいます。マラッカ藤(マラッカケイン)とは、マレーシア、マライ半島西岸のマラッカ海峡に面した港湾都市から出荷される周辺地域特産の藤の茎のことです。
もともとの材に斑(フラワー)が入っており、使えば使うほどそれが濃くなり、全体に艶がでてきて、しっとりと飴色になるのが特徴。
その艶具合や斑などは個体差があり、その表情を愉しむのがマラッカケイン愛好者の愉しみであるといっても過言ではありません。
軽く丈夫で表情豊か、そしてエイジングもたのしめるマラッカケインは、杖はもちろん、傘の柄にも使われており、現代においても英国紳士が大好きな素材。英国王室御用達、老舗の傘メーカーFOXも、傘の柄の定番素材としてマラッカ藤を取り揃えています。
今回ご紹介するステッキは、シャフトがそのマラッカ藤、そしてグリップがスターリングシルバーでできている逸品。
出色なのはその太さ。マラッカ藤が自然素材であることから、当然1本づつ太さは異なるのですが、この1本は今まで見た中でも一番に太いクラスとなります。
斑模様はあまりありませんが、濃い目の飴色がこっくりと豊かな表情をもっています。断面が円形ではなく、一部がとがった(大げさに言えば雫状)形であることも、マラッカ藤の特徴。太く存在感のあるシェフトの邪魔にならないように、シンプルに整えられたスターリングシルバーのグリップは、唯一の装飾がホールマークという潔さです。
さて、その英国アンティークシルバーの印、ホールマークを見てみましょう。まず左端はメーカーズマーク。次にスターリングシルバーの証、ライオンパサント。次はロンドンの豹。右端がデイトレターで、シールドに小文字の飾り文字「g」ですので、ロンドンにおいては1922年の印となります。
メーカーズマークは菱形に「J H」。メーカーは「Jonathan Howell/ジョナサン・ハウエル」となります。同社の情報はあまりありませんが、BBCのサイトにジョナサン・ハウエルの玄孫の杖コレクションが紹介されていました。記事によればジョナサン・ハウエルは1893年には年間150万本の杖を生産していましたが、1930年代に倒産してしまったとのこと。写真は1枚だけですが、興味深いデザインのステッキもありますので、よろしければご覧になってみてください。
参考:BBC ONE のサイト ANTIQUES ROADSHOW Walking stick collectionの記事
https://www.bbc.co.uk/programmes/articles/4s0tp1Zf4t0KTwt727Qll6s/walking-stick-collection
長い歳月を経てきた飴色の杖。品格溢れ、戦えそうにタフなその姿は凛として、泰然とした長身のいかつい英国紳士を思わせます。
これからは、貴方のお傍に。頼りがいのある相棒としてお持ちいただければ幸いです。
◆England
◆London
◆Jonathan Howell
◆推定製造年代:c.1922年
◆素材:マラッカ藤、スターリングシルバー、真鍮、金属
◆サイズ:全体長さ約90.5cm グリップ直径約3.2cm
◆重量:約242g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、歪みや変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*マラッカ藤としては非常に太い部類で、しっかりとした使い心地です。
*石突き部分の金属は良いコンディションですが、実際にご使用の際は滑り止めにゴムキャップなどの装着をおすすめいたします。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A