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Wednesday

炎に照らされる聖ダンステンの御守り / Antique Brass Candle Holder & Candle Snuffer

 英国アンティーク、キャンドルフォルダーとスナッファーセット。




















今日はちょっとこだわりのあるキャンドル周りのアンティークアイテムをご紹介いたしましょう。




真鍮製のキャンドルフォルダーとスナッファーのセット。



まず特徴的なのは、受け皿がホースシュー(蹄鉄)の形となっているキャンドルスタンドです。



蹄鉄はヨーロッパにおいては古くから幸運の御守り、魔除けとして愛されてきました。

由来は諸説ありますが、例えば後にカンタベリー大司教となった鍛冶屋の聖ダンステンが 悪魔から馬の蹄鉄を修理するよう頼まれた際、悪魔の足に蹄鉄を打ち付け、痛がる悪魔に、扉に蹄鉄が留められているときは絶対中に入らないという約束を取り付け、ようやく蹄鉄を取り外してやったことから悪魔除けとされた・・・という説がございます。

そんなことから、蹄鉄は扉の上や扉自体に取り付けたり、お部屋の梁に掛けたりと、古くから親しまれてきたラッキーアイテムなのです。


蹄鉄をかたどった受け皿の中央は窪んでいて、マッチの燃えカスを置いておくのに絶好の場所。

また、するりとしフォルムの持ち手は、売り手によれば「キツネの尻尾?」ではないか、とのことでした。


馬と狐、といえば英国貴族の愉しみ、フォックスハンティング(キツネ狩り)を連想させます。このキャンドルスタンドの隠しテーマなのかもしれません。



さて、キャンドルを立てる場所は珍しくクリップのようになっていて、以下の文字がみられます。


RANDELL'S

PATENT


「RANDELL'S」について詳細な歴史はみつけることは出来ませんでしたが、19世紀終わり、ヴィクトリア後期のキャンドルスタンドにおいて、このようなクリップつき、

そして同じ刻印をもつキャンドルスタンドが英国アンティーク市場にて散見されます。このことから、このお品物も同年代、1890年頃のものと推測いたしました。

(現代では「Randall's Candle」という会社がキャンドル用品を販売していますが、この会社とは異なるようです)





そしてもうひとつ、キャンドルスナッファー/Candle Snufferについてご説明いたします。


キャンドルスナッファーとは、ろうそくの火を消すための道具。

厳密にいえば、大きく2つの形状があります。



ひとつめは、ハサミ状で刃の部分に小さな箱がついているもの。

灯のともっているキャンドルの芯をハサミの要領でカットし消し、カットした芯は小箱に入り、次は新しい芯に火を灯すことができる、という仕掛け。

この仕掛けを考案したのは(パテントをとったのは)1776年英国にてChristopher Pinchbeckが行っています。



ふたつめが、長い柄の先にドーム状のものがついているもの。

灯のともっているキャンドルの先にぱかっとかぶせ、酸欠状態にして火を消します。こちらのほうは「candle extinguisher」「douter」などとも呼ばれます。

おそらくこちらのほうが歴史は古く、始まりははっきりしません。



息を吹きかけて消すと、煤がとんだりしがちであるところですが、このような道具を使えばそっと静かに火を消すことができます。

キャンドルが日々の暮らしに根付いている国だからこそ、ある道具といえるでしょう。



さて、今回のものは前者のタイプのキャンドルスナッファーです。

このタイプは「Candle Wick Snips」や 「Wick Trimmer」「Candle Trimmer」とも呼ばれます。(「wick」は芯、「snips」は切り取り、の意味)


キャンドルスタンドと同素材の真鍮でできており、セットとして使われてきたものと思われます。

開閉部分が完璧には閉まらなくなっておりますが、それでも十分にキャンドルの炎を消すことができます。

実際に試してみましたが、正直「キャンドルの芯を切る」というよりは、「挟み込んで消す」という使い勝手でありましたので、どうかご了承をお願いいたします。




実際に使ってみた動画をアップしましたのでご確認ください。




電気の光に溢れた現代だからこそ、特別な時に灯したいキャンドルの炎。

そのために、特別なアイテムを揃えることは至極当然なことのように思えます。



お手元にセットで置けば、味わい深いフォルムと古びた真鍮の色合いが相まって、まるでヴィクトリア時代の1シーンを見ているかのような心持になることでしょう。




◆England

◆推定製造年代:c.1890年代頃

◆素材:真鍮

◆キャンドルスタンドサイズ:幅約14cm 奥行き(持ち手含む)約20cm 高さ約7.5cm

◆キャンドルスナッファーサイズ:全長約15.5cm 幅約5.8cm 高さ約2.8cm

◆キャンドルスタンドサイズ重量:193g

◆キャンドルスナッファー重量:79g

◆在庫数:1セットのみ



【NOTE】

*キャンドル(蝋燭)は付属しません。

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色、歪み等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。

*説明にありますようにキャンドルスナッファーの開閉部は完璧には閉まりません。

*キャンドルフォルダーの持ち手は少しだけ左右に振ることができます。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。



Todd Lowrey Antiques

by d+A


19世紀パリのカフェ生まれのチェスメン/ Antique Regency Style Chessmen with the Box

 英国アンティーク、リージェンシースタイルのチェスメン。


















今回ご紹介するのは古びた木箱に入ったリージェンシースタイルのチェスメン。





チェス駒のデザインには色々な種類があります。


代表的なのはスタントン式。

第1回ロンドン国際大会・1851年から使われているもので、当時世界最強プレイヤーといわれていた英国人Howard Staunton/ハワード・スタントン(1810-1874)が、大会で使用する駒をこの形に決めたといわれています。


また、英国でよくみかけるのがセントジョージスタイル。

ロンドンのセントジョージ・チェスクラブで1840年頃から使われていた駒のデザインであったことから名づけられたと言われています。



そして、今回ご紹介するリージェンシースタイル。

1800年代初頭、チェスゲームで人気があったパリのカフェ・デ・ラ・リージェンス/Cafe de la Regenceにちなんで名づけられたといわれています。

フランスやドイツでよくみられ、スペインや英国でも定番のうちのひとつ。



駒の緻密な杢目は、おそらくボックスウッドでしょう。


箱はスライドタイプではなく、丁番で開くタイプ。歳月を経た飴色の杢目がよい雰囲気を作り出しています。

木の雰囲気や作りからみて、エドワーディアン以降、1900年から1930年くらいのお品物と推測いたします。





すべて揃いのチェスメンは、ボードさえあれば頭脳のスポーツ、チェスをお愉しみいただけます。

丁寧につくられた駒は雰囲気も抜群ですので、飾っておくだけでも絵になることは請け合い。



19世紀の花の都、パリのカフェで生まれた小粋なスタイルを、どうぞご堪能ください。



◆England

◆推定製造年代:c.1900~1930年代頃

◆素材:木

◆外箱サイズ:幅約21cm 奥行き約11.2cm 高さ約5cm

◆キング:高さ約6.9~7.2cm 直径約2.3~2.5cm ポーン:高さ約3.4~3.6cm 直径約1.3~1.5cm

◆総重量:408g(箱と駒合わせて)

◆在庫数:1セットのみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、欠けや変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。

*ナイトの上部は他と若干仕上げが異なっています。後年に差し替えられたものかもしれません。

*駒の大きさは若干不揃いです。

*木箱の留め金具は緩めです。駒の他に緩衝材等を入れ、ぎゅっと閉めると安定して留まります。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。






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by d+A


英国紳士のポケット筆記具 / Antique Edwardian Portable Inkwell Glass Bottle in Metal Case

 英国アンティーク、携帯用インク壺。













長く私たちと共にある筆記具の歴史。


昔はつけペン、近年になれば万年筆がその代表格でしょうか。



万年筆自体は古くから色々なタイプが試みられてきたようですが、1883年世界で初めて毛細管現象を応用した万年筆を発明したウォーターマンが「万年筆の祖」と称されています。

1889年にはパーカーも万年筆を発売しており、19世紀末から20世紀にかけてどんどん万年筆の性能は改良されていくことになります。



ただ、20世紀初頭、万年筆はまだまだ高価。

多くの人たちは従来の「インク+つけペン」を使用していたことは想像に難くありません。




今回ご紹介するのは、その時代に活躍していた「Portable Inkwell/携帯用インク壺」です。


一見すればライターのようなフォルム。

側面の掛金を外し、ボタンをぎゅっと押せば、蓋がぱかりと開きます。

そして中に納められているのは、小さな小さなガラスのインク瓶。


よく見れば蓋の裏側にはゴムが仕込まれていて、インク瓶の蓋となり液漏れを防いでいる、という仕組み。

ボタンでの開閉のみならず、掛金までもつけるところに、液漏れをしっかり防ごうという心意気が感じられます。


ディーラーの言葉と私の経験と合わせまして、製造年代は1900年から1910年代頃、英国エドワーディアンと推測いたします。



試しに液体をいれて振ったり逆さまにしたりしてみましたが、今のところは液漏れは確認できませんでした。

現代日本ではインク壺としてのご使用はもちろん素敵ですが、アロマオイルなど入れてみても良いかと思います。



古き良き最後の時代といわれるエドワーディアン。

英国紳士がポケットに忍ばせていたであろう、手のひらに納まる小粋なケース。


そんなケースから取り出す液体は、それだけで何か特別な力を持っているような気になってしまいますが、いかがでしょうか。



◆England

◆推定製造年代:c.1900-1910年代頃

◆素材:金属、ガラス、ゴム

◆サイズ:高さ約4cm

◆重量:42g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色、歪み等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。

*現在のところ液漏れは致しませんが、ゴムの経年劣化が予想されますので、将来にわたっての保証の限りではございません。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。





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by d+A


ハイランドのクラン紋章を胸元に / Vintage Sterling Silver Macleod Clan Kilt Brooch

 英国ヴィンテージ、マクラウド・クランのキルトブローチ。














「Clan/クラン」という言葉、ご存じでしょうか。



日本語訳では氏族(しぞく)。

共通の祖先をもつ、あるいは、もつという意識による連帯感のもとに構成された血縁集団のこと。

父系もしくは母系のどちらか一方の血縁関係によって結ばれているものをいうことが多いようです。



このような集団は世界中にみられますが、スコットランド、特にハイランドにおいては中世から現代まで続く社会的・文化的伝統であるといえます。

有名なシンボルとしては「タータンチェック」でしょうか。(英国では「タータン」のみで呼ばれます)

それぞれのクランに固有のタータンがあり、一族の行事などの際、揃いのクラン・タータンを身に纏って結束感を高めたり、戦のときは味方を見分ける意味で使うなど、場面によっては旗印のような意味も持っていました。



今回ご紹介するのは、そんな背景をもつクランのうちのひとつ、Macleod Clan/マクラウド・クランの紋章をもつ銀のブローチです。



Macleod Clan/マクラウド・クラン(マクラウド氏族)。

スコットランド東部にあるスカイ島を源とし、13世紀頃からの歴史をもつ氏族です。



その紋章は2つの旗の間に牡牛の頭部が配されたもの。

モットーは「HOLD FAST」。日本語訳では「しっかりと掴む」となります。

紋章の下部にはケルトの伝統ギローシュ(組み紐文様)をモチーフにしたものが配され、ケルトピンのように使えるようになっています。



べースとなる材はスターリングシルバー。

英国においてスターリングシルバー(銀の純度92.5%)はホールマークによって管理されておりますが、ジュエリーなどの小さなものにおいては必ずしもホールマークは刻印されておらず、銀の純度を示す「925」もしくは「SILVER」「STERLING」などのみの場合もございます。

今回ご紹介するリングも裏面に小さく「STERLING SILVER」の刻印を見ることが出来ます。




製造年代はそれほど古いものではございませんが、スコットランドの古い歴史と文化を感じるには十分な存在感を持っています。




ジャケットの襟元にワンポイントとして。

もちろん、キルトのようにストールを巻いて、このブローチで留めてみるものよろしいかと思います。





ハイランドの厳しい自然の中、他国に翻弄されつつも結束を高めて生き抜いてきたクランのシンボルを、身に着けてみるのはいかがでしょうか。




◆England

◆推定製造年代:c.1950-1970年代頃

◆素材:スターリングシルバー

◆サイズ:全長約7.5cm 幅約1.8cm

◆重量:8g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。

*ブローチ留め金具は、ご使用可能と判断してご紹介しておりますが現代の物に比べればわずかに操作性に劣ります。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

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