英国アンティーク、ヴィクトリア時代の携帯用ビーカー。
アンティークの実験器具や医療器具には何とも言えない魅力があります。
測りやビーカー、顕微鏡や薬瓶。
器具そのものの造形もさることながら、そのものを通して見えてくる真摯な探求心に心惹かれるのかもしれません。
今回ご紹介するのは、まさにそんなもののうちの一つ。
高さ約7cm弱の円筒形。
紙製ではありますが、表面には細かなエンボスが施されており、高級感を感じさせます。
蓋の表面には以下のエンボス。
MEDICINE GLASS
MINIM MEASURE
*「MINIM/ミニム」とは液量の最小単位のこと。
ぴったりはまった蓋をそっと外せば、ガラスビーカーが現れます。目盛りや文字は手彫り。内張の紫の布は恐らくシルクでしょう。
そしてそのガラスビーカーを外せば、中心にさらに小さい円筒形があります。
中蓋には以下の文字がマークと共に金彩のエンボスで施されています。
S.MAW.SON & THOMPSON LONDON TRADE MARK
その中蓋を外すと、小指くらいの小さなビーカーがまた登場する・・・という驚きの仕組み。
さて、「S.MAW.SON & THOMPSON」とは、1828年ロンドンにて創業した商会のこと。
ボトルやビーカーなど医療用・実験用器具を作っていた商会の様です。
英国のサイエンスミュージアムのサイトに同社の頁がありましたのでご紹介しておきます。
Son & Sons S Maw(英語版)
https://collection.sciencemuseumgroup.org.uk/people/cp85004/s-maw-son-sons
このサイトによれば、この商会は数度名前を変えていますが「S.MAW.SON & THOMPSON」という名前であったのは1870年から1901年まで。
そのため、この携帯用ビーカーが作られたのはその期間といってよいと思います。
2つのビーカーが触れ合わないように注意深く収められた小さな紙筒。
どんな紳士がこれを持っていたのでしょうか。
例えばヴィクトリアンのジキル博士よろしく、家には実験器具が溢れ、夜な夜な顕微鏡を覗き込み、薬品を混ぜていた・・・。
そして外出の時にはこんな携帯用実験器具が詰まった鞄を持っていたりしたのでしょうか。
もしくはこれを持っていたのはお医者様で、往診先で薬品を混ぜていたのかもしれません。
さて、次にこれを所有する貴方はどんな方なのでしょうか。
世紀を超えてきたヴィクトリアンの小品が雄弁に語る物語を手にしてみてください。
◆England
◆推定製造年代:c.1870-1901年
◆素材:紙、布、ガラス
◆外箱サイズ:直径約6.3cm 高さ約6.8cm
◆総重量:125g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、外箱には小傷や汚れ、変色、擦れや剥がれ、歪み等がみられます。
*ガラスビーカーにも小傷や汚れがございますが、大きな欠けやヒビはございません。
*小さいガラスビーカーの底面エッジに極小のチップがございますが、ほぼ肉眼では判別不可能なレベルです。
*外箱底面は平滑ではなく少したわんでいますが、きちんと自立します。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A