英国アンティーク、スターリングシルバーのカラーを持つ漆黒のステッキ。
1887年から1927年にかけて60作品が発表されたコナン・ドイルのシャーロックホームズシリーズ。その挿絵にも、多くのステッキを持つ紳士が登場しています。お洒落用に、そしてもちろん護身用に。
さて、今回ご紹介するのは、今から約100年ほど前、そのシャーロック・ホームズ最後の方の時代のステッキ。漆黒のシャフトにスターリングシルバーのカラー、そして珍しい形のグリップがついています。
まずはスターリングシルバーから見てみましょう。
唐草文様とヴァ―カントカルトゥーシュが彫り込まれており、ホールマークも確認できます。ややすり減ってはおりますが、ロンドンの豹、ライオンパサント、そしてシールドに飾り小文字の「k」がみえます。これはロンドンのアセイオフィスで1925年に認可されたスターリングシルバーであるということ。
メーカーズマークは「E.L」。これは時代的なものと作っているものを考えると、おそらく製作は「Ernest Lory」と思われます。1903年から登録があるシルバースミスで、ロンドン中心部、大英博物館のやや東側の地区「クラーケンウェル/Clerkenwell」で事業を行っていました。詳細は不明ですが主としてステッキ周りのシルバーパーツを作っていたようです。
シャフト部分は木製ですが、黒く塗装されており、家具の仕上げなどでもよく見られる「エボナイズド」仕上げとなっています。エボニーとは黒檀のことで、黒檀のように仕上げることをエボナイズドとよびます。遥か東洋からやってきた黒檀の装飾品に驚嘆した、かつての富裕層やキャビネットメーカーが生み出した仕上げのひとつです。エボナイズド仕上げに黄金色のオルモルを合わせたり、セーブルの陶板をはめ込んだりしたキャビネットは、最高級品として英国やフランスの王侯貴族たちに愛されてきました。
ぽってりと丸い球体がわずかに垂れてるようなノブ型のグリップは、水牛の角。淡くくすんだ黄味がかった乳白のなかに、複雑に褐色や黒が混じりあい、独特の風合いを醸し出しています。握ってみればすべすべと滑らかで、どこかあたたかみを感じさせる質感です。
シャフトの材は固めで、体重をかけてもほとんどしならず、しっかりとした印象。石突部分には真鍮と金属製のキャップがついており、現在のところしっかりとしております。ただ実際にご使用になる際は、滑り止めとしてゴムキャップ等をかぶせていただいたほうがよろしいかもしれません。
シンプルながらもどこか王笏のようなフォルムで、高貴な印象を放つひと振り。矜持と誇りを秘めた品格溢れる英国アンティークの逸品を、どうぞお手元でご鑑賞ください。
◆England
◆London
◆推定製造年代:c.1925年
◆素材:木、角、スターリングシルバー、真鍮、他
◆サイズ:長さ約86.5cm グリップ直径約3.3cm
◆重量:334g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、アタリや変色、塗装の剥げ等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A