ベルギーアンティーク、建築意匠のカラーリトグラフ。
英国のアンティークフェアで手に入れた、建築意匠のリトグラフ。数枚をまとめて買い付けたのですが、1枚1枚に個性があり、じっくり見始めると時間を忘れて見惚れてしまいました。
今回ご紹介するのは、その中の1枚。華やかな色味と興味深いモチーフが表現された1枚です。
トップにあるタイトルは以下の通り。
La Peinture Decorative
装飾画
ボトム部分には以下の通り。
Lambris -Salle a Manger---- Lambris Salle de Bain
(Genre Renaissance)
羽目板(鏡板)-ダイニングルーム-----羽目板(鏡板)-バスルーム
(ルネサンス様式)
図案の左下にはアーティストであり彫刻家であった「H. Gruz 」(1812-1867)、右側には発刊者であった「Ch Claesen Editeur Paris Liege & Berlin」の文字をみることができます。
「Ch Claesen=Charles Claesen/チャールズ・クレセン」はベルギーのリエージュで1857年に設立された印刷業者、出版社であり、建築と芸術に関する出版物を主に製造し、1870年代には商業的に成功を収めた会社です。後にパリとベルリンに支店を盛ったため表示が「Paris Liege & Berlin」となっておりますが、もともとはリェージュの会社であるため、今回は「ベルギーアンティーク」とさせていただきました。
以上のことから、このリトグラフは「H. Gruz」のデザインで、リエージュのチャールズ・クレセンにより発刊された意匠集の1頁であるといえます。「H. Gruz 」については、生没年と職業以外の詳細は調べきることができませんでした。
さて、ここまでがこのリトグラフの身上書。
興味深いのは表現されたモチーフです。ひとつづつ見ていきましょう。
まず左側。
リズミカルに配された羽目板には、水辺の植物葦が巧みに配されています。下のほうに2匹づつ左右対称にいるのは幻獣海豚でしょう。そして上半身が人間で海蛇のような下半身をもつ男女が表現されています。どちらも壺を掲げ、そこからはよどみなく水が溢れている様子から、生命の壺であることが推測されます。
上半身が人間で海蛇のような下半身は、女性であればギリシア神話で登場する海に棲む女神たちネーレーイス、男性であればトリトン神が考えられます。全てが海、そして水に関係するモチーフであることから、こちらが「バスルームの装飾」ということかと思います。
次に右側。
一人は稲穂と鎌を持っており、ギリシア神話において豊穣神であり、穀物の栽培を人間に教えた神とされるデーメーテールだと思われます。もう一人は草で編んだ冠を掲げている男性であることから、アポローンであると考えられます。草で編んだ冠は月桂樹の葉の付いた枝をリング状に編んだ月桂冠でしょう。
こちらが「ダイニングルームの装飾」ということかと思いますが、月桂冠は勝利と栄光のシンボルでありますから、単に「ダイニングルーム」というよりは、華やかな宴を開催する宴会場の要素が強い部屋に向けた装飾なのではないでしょうか。
14世紀から16世紀にかけておこった「ルネサンス」とはフランス語で「復興」を表す言葉。古代ギリシャ・ローマ神話が絵画等の題材に多く選ばれるようになった時代でもあります。
このリトグラフのタイトル「Genre Renaissance(ルネサンス様式)」は、まさに古代ギリシアのモチーフを上手く配し、格調高い室内装飾に仕上げております。
このまま額装していただくことはもちろん、貴重なルネサンス様式の意匠として貴方の創作活動に取り入れていただいても。ひょっとして将来、こんな装飾画の在るバスルームとダイニングルームを計画してみるのもよろしいかもしれません。
古代の神話をルネサンスを通して堪能する、貴重な1枚をぜひどうぞ。
◆Belgium
◆推定製造年代:c.1870-1880年代頃
◆材:紙
◆サイズ:約50×32.5cm
◆在庫数:1点のみ
◆重量:39g
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色や折れ、わずかな破れ等がみられます。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A