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Friday

温泉の町からきた白い犬 / Antique Crested China Dog "BUXTON"

 英国アンティーク、クレステッドチャイナの犬フィギュア。















「Crested China/クレステッドチャイナ」とは、各地の紋章がついている小さな陶器のことをいいます。主にヴィクトリア時代後期から1930年代頃までに多く作られました。産地は英国であったり、ヨーロッパの他国であったりしており、窯元の名前があるものもありますが、無銘のものも多くあります。


ヴィクトリア時代、英国では鉄道網が発達し、一般庶民でも旅行を楽しむことができるようになりました。そして、旅行に行った先で欲しくなるものは、お土産。沢山の物を飾り付けるヴィクトリアンの室内装飾において、お土産の小物はまさにうってつけのアイテムだったことでしょう。そして、庶民が旅行に行けるようになった、といっても、まだまだいけない人は沢山いたでしょうから、行った先が一目でわかるようなものであれば、家に来たゲストにさりげなく自慢ができるというもの。


そんな理由から、小さくて持ち運びが容易、そしてご当地の紋章が描かれているクレステッドチャイナは、たいへんな流行となりました。



今回ご紹介するのは、そのクレステッドチャイナの犬フィギュア。


背中部分にはお約束の紋章がついております。紋章はイングランド、ダービーシャー州にある「BUXTON/バクストン」という町のもの。ここは古くからの温泉地であり、湯治の町として有名です。


紋章にある8つの丸は泉を表し、中央にある杖は、ギリシャ神話に登場する医療の神アスクレピオスが持っていたとされるアスクレピオスの杖。下のリボンにあるモットーは「BENEDICITE FONTES DOMINE(すべての泉よ、主を祝福せよ)」となっております。湯治の町にぴったりの紋章と言えるでしょう。


 

また、犬のお腹の部分には窯元のスタンプが確認できます。


STOKE-ON-TRENT  A&S

ARCADIAN


これにより、1903年から1924年、陶器の町ストークオントレントにあった「Arkinstall and Son (Ltd)」が製造したものであるといえます。



当店ではこのようなタイプのクレステッドチャイナのフィギュアを何点か取り扱ったことがありますが、なぜかお顔はいつも微妙な感じで、必ずしも「可愛い」といえるような仕上がりではありませんでした。今回の犬のお顔も、正面から見ると、どこかちぐはぐ。それもまたよし、という方にお届けできたらな、と思います。



20世紀初め、イングランドの温泉の町からきた白い犬。

紋章を背負った勇ましさと、とぼけた表情の組み合わせがなんとも魅力的な、英国アンティークの佳品をぜひお手元でご堪能ください。



◆England

◆推定製造年代:c.1903-1924年

◆素材:陶器

◆サイズ:高さ約7.8cm 幅約3.2cm 全長約9.8cm

◆重量:59g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、絵付けや金彩の剥がれ等がみられます。

*ヒビや割れは確認できません。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。 





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。


Todd Lowrey Antiques

by d+A


ディケンズが愛したパブとピクウィック氏 / Antique Brass Door Knocker Mr.PICKWICK

 英国アンティーク、真鍮のドアノッカー。














英国のアンティークフェアで手に入れた、真鍮製のドアノッカー。


上部はチューダー朝の家屋が、下部には椅子の上に立つ男性の姿が表現され、以下の文字が確認できます。


THE LEATHER BOTTLE COBHAM  KENT


DICKENS in PICKWICK

LEATHER BOTTLE



まず、「THE LEATHER BOTTLE/ザ・レザーボトル」とは、イングランドケント州、コブハムに1629年に建てられたパブのこと。


英国の文豪チャールズ・ディケンズ(1812-1870)がお気に入りだったことで知られ、彼の著作「The Pickwick Papers(日本語タイトル:ピクウィッククラブ)」に登場することでも有名です。パブは現在でも営業しておりますので、よろしければオフィシャルサイトを覗いてみてください。

https://www.theleatherbottle.pub/index



また、1836年に発表された「The Pickwick Papers」は日本でも翻訳が発売されています。ちくま文庫・北川悌二訳「ピクウィッククラブ」裏表紙から少し引用させていただきます。


「実業界を引退したゆたかな紳士ピクウィック氏は、素朴な人柄で、人間愛に満ちた人である。彼は行く先々で人を助け、悪をこらしめようと力をつくす。しかし、人がよすぎて、かえって失敗ばかり……。明るく楽しい笑いの底に人間回復の願いを託す、ディケンズ最初の長篇小説。」


喜劇でありながら人情味あふれる小説は、当時大変人気となり、ディケンズの愛読者の一人であったドストエフスキーによる「白痴」に大きな影響を与えたといわれています。



ということで、ドアノッカー下部の男性は、小説の主人公ピクウィック氏です。ぷっくりとしたお腹と印象的な頭髪、眼鏡にクラシカルな衣装できめており、ボトムスのぴっちりとしたタイツが印象的。椅子の上に立っているのは、彼がクラブで演説しているシーンを表しています。


ピクウィッククラブが発表された1837年といえば、ヴィクトリア女王が即位し、大英帝国が繁栄を迎えるヴィクトリア時代の始まりの年。


まだまだ英国は「大英帝国」ではなく、庶民の生活は厳しいものでありました。そんななか、人々がこぞって読み、笑い、希望を見出した「ピクウィッククラブ」。ピクウィック氏はロイヤルドルトンによってフィギュア化されるなど、とても人気のキャラクターとして長く英国で親しまれています。



また、裏面には以下の文字がみられます。


17858

Rd

APPIIED

FOR


(おそらく本当はAPPLIED FOR)


英国の意匠登録であるレジストレーション番号は1884年から始まっており、もしこの「17858」がその番号であるならば、1884年のものとなります。「APPLIED FOR」は申請中、という意味かと思いますが、申請中に番号がとれるかどうかはよくわからないので、ひょっとして他の品番なのかもしれません。


ただ、真鍮の雰囲気からして十分に古いものかと思いますので、推定製造年代はざっくりと19世紀末から20世紀初めとさせていただきました。



ディケンズが愛したパブとピクウィック氏が表現されたドアノッカーは、おそらくコブハムの町のお土産物だったのではないでしょうか。



ディケンズ・ファンの方、英国文学を愛する方に是非。書斎のドアに取り付ければ、触るたびに英国の文豪と心が通い合うような気がするのですが・・・いかがでしょうか。



◆England

◆推定製造年代:c.19世紀末から20世紀初め

◆素材:真鍮

◆サイズ:高さ約9.2cm 幅約6.7cm 厚み約2.3cm

◆重量:123g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色がみられます。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。 





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Todd Lowrey Antiques

by d+A


コンパスを持ってどこまでも歩こう/ Vintage German Liquid Walking Compass

 ドイツヴィンテージ、リキッドウォーキングコンパス。



















英国のアンティークフェアで手に入れたドイツ製コンパスのご紹介です。


シンプルな四角い黒い箱。薄い金属の蓋を開けば、ゆったりと動く磁針が現れます。つまりこれは針を含むケース内を液体で満たしたリキッドコンパスです。


リキッドコンパスは、針が動く際に液体の抵抗を受けるためブレがなくスムーズに動作し動作収束も早いため、扱いやすいのが特徴ですが、この液体についてはその製造元、年代によって種類は様々です。

無色透明の鉱物油という理解が一般的ですが、初期の1860年代のものはアルコールと水の混合液が使われていて、いわゆる専用のコンパスオイルは、1940年代まで一般的に使用されなかったようです。

アルコールと水の混合液は1960年頃にはほぼ使われなくなり、代わって、無臭のミネラルスピリッツ(100%パラフィンベース)や、同様の特性を持つイソパールLと呼ばれる液体などが使用されるのですが、製造メーカーによって充填液は様々、その詳細は企業秘密といわれています。

漏れてしまった液体を再充填するため、市販の無香料ベビーオイルで代用することも可能ですが、元の液体と混ぜることはNGだとか。


今回の品物も、無色透明な液体で満たされたドームの中は、気泡がまったく無いので、見ただけではそこに液体の存在は感じられません。ただ、何度も何度も傾けたり回転させても、円板はゆったりと水平を保とうとしながら的確に北を指し、そして安定する様こそが、磁気コンパスを理想的に動作させるため先人たちが追及してきた成果なのだと実感します。



さて、もう少しお品物をみてみましょう。


メーカー名の明記はなく表示されているのは「Germany」の文字だけではありますが、おそらくこれはWILKIE (Wilhelm Kienzler /ヴィルヘルム・キーンツラー)による「Model M」と思われます。

ヴィルヘルム・キーンツラー社は、1954年、ニュルンベルク近郊のフュルトで設立された企業で、ドイツで有数のコンパスメーカーの一つでした。「Model M 」は、ブラックプラスティックのケース、メタル蓋は任意の位置で止めることができ、蓋の内側はミラーとしての使用も可能。ウォーキングコンパスとして、世界へ向けて輸出も行っていたようです。


第二次大戦が終わり、平和へと動き出した世界。大戦時に培った技術を応用し、仕事や楽しみのために作られたコンパスのひとつが、この「Model M」かもしれません。

平和へと歩む世界の道標として、貴方のコレクションに加えてみてはいかがでしょうか。




◆Germany
◆推定製造年代:c.1960年代頃
◆素材:樹脂、金属、他
◆サイズ:高さ約13.1cm 幅約4.1cm 厚み約2cm
◆重量:48g
◆在庫数:1点のみ


【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色がみられます。
*リングをつけていたであろう部位が欠損しています。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。 




アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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by d+A

アナログなゲームをとことん愉しむ/ Antique Leather Shaker & Dice

 フランスアンティーク、革製シェイカーとダイスのセット。













今回ご紹介するのは、英国のアンティークフェアで手に入れたシェイカーとダイス(サイコロ)のセット。


シェイカーの材は分厚い革製で、すらりと洒落たシェイプが印象的。販売していたディーラーによれば、フランスの古いものとのこと。ステッチが程よいポイントで、底面にはクラブのマークが刻印されおり、濃いブラウンが味わいある質感を際立たせています。他のスペードやハートのシェイカーもあったのかな、と推測いたします。


買い付け当初から入っていたダイスはおそらく石製。ズシリと重く、角がとれた立方体はいつまででも手の中に入れておきたくなる可愛らしさです。


試しにダイスをいれて振ってみれば、からからと気持ち良い音を立てて転がります。ダイスを使うゲームは意外と多いもの。アナログなゲームを楽しむのであれば、手に触れる物にとことんこだわるのも一興なのではないでしょうか。


使用状況を動画としましたので、よろしければご覧ください。





フランスからきたシックなレザーシェイカーが、お愉しみを何倍にもしてくれることでしょう。




◆France

◆推定製造年代:c.1900-1930年代頃

◆シェイカー素材:革

◆シェイカーサイズ:口直径5.9cm 底面直径約3.7cm 高さ約11.2cm

◆ダイス素材:おそらく石

◆ダイスサイズ:約1.8cm角

◆在庫数:1点のみ(シェイカーにダイス1個がセットされています)

◆重量:63g(シェイカー51g ダイス12g)



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ等がみられます。

*ダイスの正確性については保証しかねます。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。



アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

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