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Friday

波斯国の斧は神聖な力を纏う/ Antique Brass Sugar Cane Axes

 ペルシアンアンティーク、真鍮の儀式用斧。














英国の田舎町で行われていた小さなアンティークフェア。そこの小さなストールで手に入れた真鍮製の斧のご紹介です。


一見して「少々変わっている」という印象はありました。販売していた英国人のおじさまに由来を聞いてみても、よくわからない、と肩をすくめるばかり。なんだか妙に気になって、いつのまにか手に入れてしまいました。


よくよく調べてこれば、これは砂糖用の斧、しかも飾りがついた儀式用、そして製造されたのはおそらくペルシアではないかと思われます。



「ペルシア/Persia」は現在のイランを中心とする地域のこと。西欧諸国が使った古い呼び方で、古代アケメネス朝の発祥地である「パールサ」という地域名に由来するとされます。

1935年に「アーリア」に由来する「イラン」に改めるよう当時の政権が諸外国に要請し、日本の外務省もそれに従い「イラン」と呼ぶようになりました。ただ、イランの主要民族・主要言語は現在もペルシア人・ペルシア語と呼ばれていますし、文化や特産物(ペルシア絨毯など)に対する呼び名もペルシアとなっています。



そして砂糖。


古くから貴重な材であった砂糖は、保管用・移動用として棒砂糖(コーン状、円錐状のもの)に固められることが多くありました。かなり固くなっているため、砕くときには専用の斧(sugar cane axes)やハンマーが使われ、さらに細かくするときには砂糖挟みが必要とされていました。ヨーロッパの古い砂糖用の斧ももちろん存在しますが、比較的実用的な意匠と材のものが多いようです。



今回のお品物は凝った装飾をしており、ポイントで鳥がついていたり、斧の刃のあたりに丸い凹みがあって、なにか嵌まっていたような跡もあります。珊瑚や石などがかつてはめ込まれていたのかもしれません。ペルシアでは婚礼の儀式のときや、新年のお祭りのときに砂糖をつかう習慣がありますので、ひょっとしてそのような時に使っていたのではないでしょうか。




実用としては難しいですが、纏う雰囲気は唯一無二。

持てばずしりと重い真鍮製の斧は、どこかに神聖な力を秘めているような気がいたします。


貴方のコレクションに加えてみてはいかがでしょうか。






◆英国買付/おそらくペルシア

◆推定製造年代:c.19世紀末から20世紀初め頃

◆素材:真鍮

◆サイズ:全長約26.5cm(他は画像参照)

◆重量:404g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色等がみられます。

*刃は鋭利ではありませんが、お取り扱いにはご注意ください。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。 





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

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Todd Lowrey Antiques

by d+A


リネンを管理する小さな働き者/ Antique Brass Folding Linen Prover Magnifying Glass

 英国アンティーク、折りたたみ式リネン検査器。

















当店で何回かご紹介しているリネン検査器。



それは、リネン織物の糸の密度や状態などを検査、検定するための顕微鏡(拡大鏡)のこと。


この機能を有するものは「Linen Tester/リネンテスター」あるいは「Thread Counter/スレッドカウンター」という呼び名の折りたたみ式置き型ルーペとして現代でも活用されています。拡げるとコの字型になり、生地の上に直接置いて、1インチ角の正方形の開口から見える生地の状態を、円型のレンズから覗き込むかたちが最も一般的です。



このリネンテスターの原形は19世紀初頭まで遡ります。初期のリネン検定器/検査器は「Pillar Type Linen Prover」と称する、2本の小さな柱で支える最もシンプルな形状で、標準化された開口部ではなく小さな丸穴が開いているだけでした。ただ、折りたたみ式モデルも1840年代には登場しており、紳士のウエストポケットに仕舞えるように、折りたためるように作られたと言われています。




さて、今回のモデルをよく見てみましょう。


構造体である無垢の真鍮は、しっかりと重量感があり、3枚を繋ぐヒンジもいまだ堅牢で、品質の高さがうかがえます。表面は、パーツごとに経年変化がさまざまですが、それは真鍮独特の味わいといえるでしょう。ボトムパーツの開口部は半インチ×1/4インチ。つまり倍、そして4倍にすれば1インチ間の糸数がカウントできるということになります。非常にシンプルかつ小型化された、機能に即した形状と言えます。



亜麻植物から作られたリネンは、何世紀にもわたってテーブルクロス、ベッドカバー、衣類等に使用されてきました。亜麻糸は弾性がないため、糸を壊さずに織り込む困難さが綿よりも製造に大幅なコストを要すといいます。



そのような操作の難しい亜麻糸の監理や、高価な敷物のシビアな取引などで活躍したであろう、ヴィクトリア朝の後半に作られた実用的な折りたたみ式リネン検査器。古代から続くリネン織物へのこだわりに思いを馳せつつ、丸穴から覗く世界を愉しまれてはいかがでしょうか。





◆England

◆推定製造年:c.1870-1890年代頃

◆素材:真鍮、ガラス

◆サイズ:(ひろげた状態)幅約1.6cm 奥行約約2.4cm 高さ約2.6cm

◆レンズ直径約6-7mm

◆たたんだときの厚み:約7mm

◆重量:19g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に微細な傷や汚れ、金属部の経年変化等がみられますが、レンズに目立つ傷はなく、とても良い状態です。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

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Todd Lowrey Antiques

by d+A


誠実な材と手で作られた小道具 /Antique Oak Letter Rack

 英国アンティーク、レターラック。


















ややこぶりなサイズのレターラックは、英国家具伝統の素材、オークでできています。


英国に自生していたオークは、イングリッシュ・オークとよばれ、古くから家具や生活の道具をつくるのに欠かせない木でした。世界の海を制した大英帝国が、南洋のマホガニーやローズウッド等の銘木を手に入れることができるようになった後にも、オークはずっと愛され、様々な物に姿を変えて人々の生活とともにありました。

固く、重いークは精霊が宿る木ともいわれ、ケルトのドルイド(祭司)はオークに寄生するミスルトゥ(宿り木)を神聖視しているといいます。そもそも「ドルイド/Druid/dru-vid-s」の語源が「オークの木を知っている人々」とされる説もあるほど。



そんなオーク材でつくられたレターラックは、シンプルなフォルムがらも、側板と背板には波状のカーブが施され、回りの空気と緩やかに溶け合うような印象をもっています。


色味は明るめで、内部はやや暗い色が残っている状態。ひょっとして、もともとは暗い色で仕上げられており、ある時期にニスを落として明るめに変えられたものかもしれません。


立ち上がり部分は全てオーク、底板はパイン材で、このような小さめの木製品においてはよくある作りとなっています。仕切り板は外れるようになっており、現時点では奥の1枚が比較的外しやすく、手前の板はややきつめですが外すことができました。季節や湿度によってはかなりきついかもしれません。やや小さめのため、A4サイズは入れることができません。A5サイズの紙をいれてみましたので、ご参考になさってください。



実用に十分に耐えながら、材の良さを感じさせてくれる、英国アンティークの佳品。
ぜひ貴方のお手元でお役立てください。




◆England
◆推定製造年代:c.1900-1930年代頃
◆素材:オーク、パイン
◆サイズ(外寸):幅約32.2cm 奥行き約8.1cm 高さ約21.3cm
◆内寸幅約29.4cm
◆重量:593g
◆在庫数:1点のみ


【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、材のワレや変色等がみられます。
*底板部分のエッジには傷みがみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。



アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A


銀色の矩形は実用的 /Antique Old Sheffield Plate Candle Snuffer Tray

 英国アンティーク、銀メッキのスナッファートレイ。

















「Candle Snuffer/キャンドルスナッファー」とは蝋燭火消しのこと。



キャンドルスナッファーには大きく2種類あります。


ひとつは細い棒の先に釣り鐘状のものがついており、炎にカパッとかぶせて火を消すもの。


もうひとつはハサミ型のもの。片刃で片側は箱のようになっており、中には短い刃があり、キャンドル上部を削りながら閉じて火を消すしくみ。こちらのほうが仕組みが複雑ですが、次に使うときの見た目が良い状態で保てるという利点があるようです。


さて、当然ですが使用したスナッファーには煤や蝋が付着し熱くなるもの。それを置いておくためのトレイがスナッファートレイです。材は金属が主体で、高級品は銀、やや普及品は銀メッキ、そして庶民向けには真鍮やピューターなどがありました。




今回ご紹介するスナッファートレイはこの中でも銀メッキのもの。


そして、銀メッキの中でも「Old Sheffield Plate/オールドシェフィールドプレート」と呼ばれるものです。オールドシェフィールドプレートとは、1742年にイングランドのシェフィールドにおいて発明された銀メッキの技法のこと。地金は銅で、そこに薄い銀の板を熱しながら圧着するもので、高価である銀無垢の品物に対し安価に提供されたことから、当時の中産階級が大いに喜び大流行したといいます。そして、シェフィールドを金属加工の町へと変貌させていく大きな力となった加工でもあります。


なお、のちの1840年代には電気による銀メッキ(Electro Plate Nickel Silver/EPNS)が発明され、さらに銀メッキは安価なものとなってゆきます。ただし、EPNSの銀メッキは地金がニッケルを中心とした合金ですので、銀部分が剥げていくと黒ずんだ地肌がでてくることとなります。一方でオールドシェフィールドプレートは地金が銅ですので、銀部分が剥がれれば、見えてくるのは銅の色。



もう少しお品物をみてみましょう。


まず目に入るのはロココ風の可憐なエングレーヴィング。アカンサスの葉とホタテ貝をイメージさせる意匠はスクロールで纏められ、小花を配して可憐で格調高い雰囲気をもっています。エングレーヴィングからは銅の色が覗き、裏面には部分的に緑青もみられ、経てきた歳月を雄弁に語るようです。エッジにポイントで施された小花も可愛らしく、使うたびに嬉しくなるような造形といえるでしょう。



作られた時代はおそらく19世紀ヴィクトリア時代。最高級の銀無垢のトレイはちょっと手が出ないけど、シェフィールドの銀メッキなら手に入れられる・・という中産階級のお宅で使われてきたのではないでしょうか。持てばずっしりと重く、材の良さを感じることができるしっかりとした造りです。



現代の生活で日々蝋燭を灯す方は少ないかと思いますが、ペントレイや時計などの小物置きにご使用いただければ、日々の暮らしを豊かに彩ってくれそう。


ショップでのマネートレイとしてもおすすめですし、もちろん画像のようにペンを置いていただくのもおすすめです。



英国ヴィクトリア時代から届いたスナッファートレイ。貴方のお役に立てていただければ幸いです。





◆England

◆推定製造年代:c.19世紀

◆素材:銅・銀メッキ

◆サイズ:幅約22.8cm 奥行き約10.4cm 高さ約2cm

◆中央フラット部分サイズ:約17×6.5cm

◆重量:316g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、アタリや歪み、錆や変色、銀メッキの剥がれ等がみられます。

*平滑面におくとごくわずかにカタつきますが、重いためそれほど気になりません。気になる方は布などを敷くことをおすすめいたします。

*詳細は画像にてご確認ください。

*現代日本の一般的なボールペン(全長約14.7cm)は問題なくおさまります。画像をご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。




アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

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