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Friday

修道士は何を語る / Vintage Milk Jug by Goebel West Germany

 西ドイツヴィンテージ、ミルクジャグ。














西ドイツ「Goebel /ゲーベル」社による小さなミルクジャグのご紹介です。


赤い僧服を着た、可愛らしい修道士。これは「フンメル人形」(M.I. Hummel Figure)とよばれるもののジャグバージョンです。



まずはフンメル人形について概略を少しだけ。



フンメル人形のソースは「Maria Innocentia Hummel/マリア・インノケンティア ・フンメル(本名 Berta Hummel/ベルタ・フンメル(1909-1946)」によるもの。


彼女はドイツ、バイエルン州の田舎町マッシングで生まれ、子供の頃から創作的な才能を発揮。12歳の時にロレート修道女会の寄宿学校に入学、その後ミュンヘンの芸術アカデミーに入学し、そこでさらに技術を磨きました。


敬虔なカトリック教徒であったため、卒業後はジーセンのフランシスコ会で修道女となることを選択。修道院が運営する近隣の学校で美術を教えながら余暇に主として子供をモチーフとした絵を描くと、周囲は彼女の作品に感銘を受け、宗教画専門出版社へ作品を送付。作品は絵葉書となり好評を博し、1934年には、オーストリアの作家マルガレーテ・ゼーマンによる文章を添えた彼女の絵集「Das Hummel-Buch /フンメルの本」が出版されます。



絵葉書は陶磁器会社のオーナーである「Franz Goebel/フランツ・ゲーベル」の目にとまり、修道院がフンメルの絵葉書を基にした人形の独占製造権を彼に付与。ゲーベル社により陶器で再現された「フンメル人形」は1935年のライプツィヒ見本市では大変な人気となりました。


いっぽうで1933年、ドイツではナチスが政権をとり、ヒトラーが首相に就任します。1937年フンメルは自らの絵を通してヒトラー政権を非難。それはヒトラーのような容貌の子供たちを描き、作品の一つにはダビデの星を描き入れ、迫害されるユダヤ人との連帯を示したものだったといいます。間もなく、ドイツ当局は彼女の作品の頒布を禁止しました。



1940年、ナチス政府はすべての宗教学校及び修道院を閉鎖。わずかに残ることを許された修道女たちは修道院の小さな区画に閉じ込められ、暖房もなく、自活手段もない生活を余儀なくされました。フンメルはこの時期いったん家族の元に戻りましたが、3ヶ月も経たないうちに再び修道院へと戻り、苦しい生活に身を投じたといいます。1944年彼女は結核に罹患し、その2年後37歳で亡くなりました・・・。



フンメル人形は基本的に子供がモチーフとなっており、いきいきと可愛らしいものがほとんど。そのなかでも修道士をモチーフとした人形は少々異色ですが、彼女が修道院で暮らしていたことを考えれば、ごく自然なキャラクターのような気がします。


フンメル人形の修道士は茶色の僧服をきているものが定番なのですが、今回ご紹介するお品物はなぜか赤い色。なにかの記念の限定品だったのかな、などと推測いたします。



ヒトラーの時代が終わり、東西ドイツとなった後に再び作られ始めたフンメル人形。重くつらい歴史を持ちながらも、最高にピュアで可愛らしい雰囲気は見る者の心をあたたかいもので満たしてくれるようです。


その西ドイツも今は無く。


くりっとした瞳の小さな修道士と、20世紀にあった様々なことを語り合ってみたい気がするのですが、如何でしょうか。




◆West Germany

◆Goebel 

◆推定製造年代:c.1949~1960年頃

◆素材:陶器

◆サイズ:高さ約6.3cm 幅約5cm 奥行約7.5cm

◆重量:58g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、製造時からと思われる黒点等がみられます。

*割れや欠けはみられません。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。 





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。




Todd Lowrey Antiques

by d+A


ネオクラシカルな銀はいかが/ Antique Silver Handle Magnifying Glass 1925

 英国アンティーク、シルバーハンドルの拡大鏡。
















英国アンティークのひとつの定番、拡大鏡。



機能性を求められつつも、そこには間違いなく作り手と使い手の美意識が感じられ、逸品が数多く存在します。その魅力にとらえられ、一つ持っていても、またひとつ、またひとつ・・・とコレクションする方も多いのではないでしょうか。


真鍮製、合金製、木のハンドルと金属のコンビネーションなど、様々な拡大鏡がありますが、今回はそのなかでも王道ともいえる優雅な銀のハンドルを持つ拡大鏡のご紹介です。



どこか古代ギリシアの神殿を思わせる多面体のハンドル。端部には花のような、光条のような放射状の意匠が施され、全体を品よくまとめています。スタイルとしてはネオクラシカル様式と言ってよろしいかと思います。



さて、英国アンティークシルバーの印、ホールマークを見てみましょう。


まずはシェフィールドのアセイオフィスの印、クラウンのマークがみられます。シェフィールドのアセイオフィスは現在も続いていますが、このクラウンのマークが使われていたのは1974年まで。1975年以降はヨークローズのマークとなります。理由としては1973年から使用されるようになったゴールドのスタンダードマークにクラウンが使われるようになったので、混同を避けるためです。


そしてスターリングシルバーの証、ライオンパサント。デイトレターはシールドに小文字の「h」で、シェフィールドにおいてこの1925年のデイトレターとなります。メーカーズマークは「D&S」。シールドに囲まれた大文字が特徴です。メーカーは「James Dixon & Son/ジェームス・ディクソン&ソン」と思われます。




同社は1806年にDixon & Smith c.の社名でシェフィールドにて創業したシルバースミス。1836年に社名をJames dixon & sonsに変更、1851年のロンドン万博ではシルバーとブリタニアメタル部門で様々な賞を受賞し英国を代表するシルバースミスとなります。


有名なのは1883年にカタログに掲載されたホイッスル。スターリングシルバーをはじめドイツ銀(洋銀とも呼ばれる)、ガンメタル、ブリタニアメタル、象牙、角等でホイッスルを製造し英国をはじめアメリカなどにも広く輸出されていました。スポーツトロフィーや銀食器のクオリティも評価されており、その品質の高さから、19世紀には世界中にその名が知られるようになりました。



なお、レンズ部分は後年に付け替えられたものであると思われます。英国アンティークの拡大鏡は、このようにハンドルは活かしながらレンズ部分が付け替えられているものが多くあります。金属製のレンズ枠は太いものもありますが、このお品物はごく細いレンズ枠で仕上げられています。



全体長さ約14cm強でやや大きめ、レンズ部分は直径約5cmですので視野が広く、実用に十分ご使用いただけます。



端正な意匠と丁寧な細工。英国の好ましさを凝縮したような小さなアンティークアイテムを、ぜひお手元でお役立てください。





◆England

◆Sheffield

◆James Dixson & Son

◆推定製造年代:c.1925年

◆素材:スターリングシルバー、ガラス、金属

◆サイズ:全長約14.2㎝ レンズ部分直径約5.2cm ハンドル厚み約1.3cm

◆重量:37g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に微細な傷や汚れ、へこみ、変色等がみられます。

*レンズ部分は後年に付け替えられたものと思われます。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。




アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

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Todd Lowrey Antiques

by d+A


フリースラントの波と光/ Antique Frisian Chip Carved Wood Tray

 オランダアンティーク、木製トレイ。
















英国のアンティークフェアで手に入れた、小ぶりでスリムは木製トレイ。


郵便物や、一人から二人分のティーセットを置くのにおすすめなサイズ感で、デスクの上で細かなものを取りまとめるのにも丁度よさそうなお品物です。


出色は平らな面に施された巧みな彫刻。この独特の彫刻は「Frisian Chip Carving/フリースラントのチップカーヴィング」と呼ばれるものです。


チップカーヴィングとはナイフまたはノミを使用して平らな表面から小さなチップをひとつひとつ削っていく彫刻スタイルのこと。基本的に平らな面の一部を削ってつくるやり方です。



そして「Frisian」とは「フリースラントの」という意味。「Friesland/フリースラント」・・・あまり聞きなれない言葉だと思います。


まず、フリースラント(州)(もしくはフリースランド、フリスラントとも)とは現在のオランダ北部の州のこと。


歴史としてはローマ帝国が衰退した後、ゲルマン人がオランダに進出しフリースラント王国(650-734年)を建設。後にフランク王国に征服され、その後も様々に主権は変わっていきますが、主にここに住む人々は長くフリース人とよばれ、オランダ、ドイツ、そして北海越しに英国の影響を受けてきました。沿岸部と北海に浮かぶ島々で構成されているため漁業が盛んで、フリスク語という独特の言語と文化をもっています。



そんな地で育まれてきたもののひとつが、「Frisian Chip Carving/フリースラントのチップカーヴィング」。


おそらく木材はドイツからのものでしょう。そして漁にでられないときの内職として、チップカーヴィングは大切な副業として続いてきたのではないでしょうか。


どこかケルトの組み紐文様のようでもあり、ブルターニュのブルトンスタイルのようでもある文様は、海とともに暮らす人々が生み出す波や光の抽象化なのかもしれません。




どこまでも続くフラットな土地、浅い干潟、海との共存。

織りなす光と空気が、きっと日本とはまるで異なる風土で育くまれた民芸品。

それでも何故か心惹かれるのは、日本も海で囲まれた国だからでしょうか。



是非貴方のお手元でお役立ていただきたい、雰囲気溢れるアンティークアイテムです。




◆Holand(Friesland)

◆推定製造年代:c.1900-1930年代頃

◆素材:木、真鍮

◆全体サイズ:幅約34.8cm 奥行約14.2cn 高さ約4.9cm

◆中央の平らな部分:約30.1×11.2cm

◆重量:244g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色等がみられます。

*濡れたものや熱いものを直接置くと跡がつく可能性があります。布などを敷くことをおすすめいたします。

*画像で参考のために置いたソーサーの直径は14.3cmです。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。 





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by d+A


18世紀のロココに囲まれたレディ / Antique Louis XV Rococo Style Picture Photo Frame

 フランスアンティーク、ピクチャーフォトフレーム。






















麗しい装飾をまとったフランスのフォトフレームのご紹介です。



まず目を惹くのは優雅で可憐なフレーム装飾。このように幾重にも連続する葉や花など、躍動感ある自然の要素をモチーフとしたスクロールワークは「ロココ様式/Rococo Style」の代表的なものであり、「ルイ15世/Louis XV」治世中(1715~1774年)のフランス宮廷で生まれました。


ロココ様式は、16世紀末~18世紀前半にヨーロッパで流行した壮麗厳格な古典主義様式とされる「バロック様式/Baroque」の最後の進化とされ、1730年代にフランスから広がり、ヨーロッパ全土で発展し、その後も長く愛され続けるスタイルへと定着しました。


このお品物の推定製造年代は1850~1870年代頃。19世紀にフランス第二帝政の皇帝(1852~1870年)となった「ナポレオン3世/Napoleon III」の時代に作られたと思われます。



また、納められている写真(カルト・ド・ヴィジット/Carte de Visite)背面には、以下の文字が見られます。


PHOTOGRAPHER

ABBLY HOUSE

ARBROAH



まず「ARBROAH(アーブロースまたはアバーブロソック」はスコットランド北海沿岸の町。「ABBLY HOUSE」について詳細はわかりませんでしたが、アーブロースに存在した写真館かと思われます。カルト・ド・ヴィジットは小さな写真の肖像画をカードに貼り付けたもので、19世紀中期から作られ、1860年代には大層人気だったようです。



フランスからの写真立てに、スコットランドの写真館で製作したカルト・ド・ヴィジットをいれる・・・。飾られていたのはスコットランドかイングランドの富裕層のお屋敷だったのかもしれません。



写真の出し入れは、オープンになっているケース上部から簡単に行うことができます。ただ、ガラスよりわずかに現在入っているカルト・ド・ヴィジットのほうが大きいため、よくよく見ると上部がごくわずかに見えていますが、あまり気づかないレベルかと思います。もちろん、他の写真やアートワークなどをお好みで入れていただくとよろしいかと思います。



優雅で可憐なロココの装飾を持つフランスアンティークの逸品。薄くセピア色となったカルト・ド・ヴィジットのレディと共にお届けいたします。




◆France(Scotland)

◆推定製造年:c.1850~1870年代頃

◆素材:真鍮、ガラス、紙、他

◆サイズ:(畳んだ状態)幅約7.8cm 高さ約12cm 厚さ約1cm

◆ガラスサイズ:約6.2×9.5cm

◆カルト・ド・ヴィジットのサイズ:約6.2×10.1cm

◆重量:77g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に傷や汚れ、変色などがみられます。

*ガラスエッジにはわずかなカケやざらつきが見られます。欠けはフレームに納めると見えません。

*写真交換の際はガラスエッジにご注意ください。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

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Todd Lowrey Antiques

by d+A