Search This Blog

Saturday

百獣の王ライオンが護る貧者の銀 / Antique Pewter Round Tray with Lion

 英国アンティーク、ピューターラウンドトレイ。













ピューターとは、錫(スズ)を主成分としてアンチモン、銅などを加えた合金のこと。歴史は古く、一説には2000年前から作られていたといいます。


ヨーロッパにおいても盛んに作られてきており、ピューターのギルドは14世紀からの歴史をもちます。加工しやすく、錆びにくく(錆びますが速度が遅い)、抗菌作用があるピューターはジャグやプレートなどに最適だったため、多くのピューター容器が作られました。そして貴族が銀食器を使っていたのに対し、庶民はピューターを使っていたため、「貧者の銀」とも呼ばれます。



今回ご紹介するのはそのピューターのひとしな。形状としてお皿、というよりはトレイとしての要素が強いように思いますので、ピューターラウンド(円形)トレイ、としてご紹介させていただきます。


特徴は周囲のリーフパターン、そいてセンターのライオンの刻印。


ライオンは伝統的に勇気、高貴さ、王族、強さ、威厳、勇敢さを象徴しているといわれます。紋章学としてのライオンは、12世紀の紋章学の発展のごく初期から存在しており、英国の国章をはじめ多くの国や家の紋章につかわれていることを見ることができます。


このピュータープレートのライオンは「lion rampant/ライオン・ランパント/立ち上がるライオン」。前足を上げて直立し、片方の前足をあげた横顔を描いたもので、その上半身のみを斜めストライプの直線で区切って表現することは、伝統的にみられる表現の一つです。強弱と陰影を巧みに使い分けた表現は巧みで、作った職人の確かな腕と美意識を感じさせます。


作られた時代は古く、販売していた英国のディーラーからの情報と当店の判断により、19世紀のものとしてご紹介させていただきます。


「貧者の銀」であるピューターであるため、王侯貴族が使っていたわけではないかとは思いますが、それなりに名があり、ライオンの紋章を持つ家系で使われていたものかもしれません。


直径約20cm強の円形トレイはカード置きなどに最適。ポストカードを置いて写真を撮りましたので、ご参考になさってください。もちろんテーブルトップを守るために、グラスやカップなどを置いてご使用いただくのもよろしいかと思います。


百獣の王ライオンが護るピューターラウンドトレイ。貴方の暮らしに加えてみてはいかがでしょうか。



◆England

◆推定製造年代:c.19世紀

◆素材:ピューター

◆サイズ:直径約20.8cm 厚み約0.9cm

◆重量:398g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色等がみられます。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。 





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。




Todd Lowrey Antiques

by d+A


矩形のアラベスク/ Antique Victorian Small Frame

 英国アンティーク、スモールフレーム。
















英国のアンティークフェアで手に入れた小さく美しいフレーム。

全体の大きさはハガキよりひとまわりほど大きいくらいですが、中の窓部分は約8.7×5.3cmと名刺サイズよりも小さくなっています。つまり周囲の縁が幅4cmほどあり、大きさの割にとても重厚感あふれる縁飾りになっている、ということ。


その縁部分には、アラベスク文様の一種である、くるくるとした唐草が連続している文様が施されており、このフレームを唯一無二のものとしております。


ちなみに「アラベスク」とは、アラビア風の意味。一般にはイスラム美術の装飾模様のことで、唐草などの植物の蔓、葉、花の図案化や幾何学図形によって、左右対称で連続性を重視した模様を構成するのが特徴です。ヨーロッパにおいてはルネサンス美術の彫刻、絵画などでよく使われてきました。


このフレームのアラベスク文様はインレイでもペイントでもなく、立体的になっており、木を彫りこんで作った、もしくはこの形に削り出した木パーツを何らかの手法で張り付けたのではないかと思われます。古来よりフレームに使用されてきた石膏なども使われているかもしれません。背景は1トーンあかるい茶系で凹凸のある独特な塗装で仕上げられており、アラベスク文様を巧みに浮き立たせています。


エッジ部分などをみると、木の化粧材が少しはがれておりますので、構造体はおそらくオークかパイン、その上にローズウッドのような堅木の化粧材を貼りまわして仕上げたように思います。


背面は模様紙が貼られ、窓上部に布が残っているため、おそらくこの布で窓背面に板をつけて開閉可能とした写真立てがオリジナルの形だったのでしょう。後年背面板が失われ、壁掛け用に金具がつけられて、壁掛け用の小さなフレームとして使われてきたように思います。


作られた時代はヴィクトリア時代、中期から後期くらいかと推測いたします。


小さく美しく、重厚感のあるフレームは、英国のアンティーク市場でもなかなか珍しく貴重なもの。

このものひとつで空間の雰囲気を纏める力を持つ逸品を、貴方にお愉しみいただければ幸いです。



◆England

◆推定製造年代:c.1850-1890年代

◆素材:木、紙、他

◆サイズ(外寸):幅約13.3cm 高さ約16.8cm 厚み約2.8cm

◆重量:183g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色や材の欠けや離れ、背面紙の破れなどがみられます。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。




Todd Lowrey Antiques

by d+A


アスコットモーニングに身を包んで / Vintage Figure "THE CITY GENT CATKINS" by WADE

 英国ヴィンテージ、WADE社による猫紳士。














シックなグレーのモーニングコートに身を包んだ猫紳士。シルクハットを手に持ってなにかを一心に見つめる深いグリーンの瞳が印象的です。


底面には以下の文字が見られます。



THE CITY GENT CATKINS

1 OF 1,500 EXCLUSIVE LIMITED EDITION

FOR THE TRENTHAM GARDENS WADE FAIR 1998



UK FAIRS LTD & WADE CERAMICS LTD




まず、「ウェイド/WADE」とは1810年に源をもつ、老舗の陶器メーカー。テーブルウェア、インテリア用品、お酒の容器など様々なものを生産していますが、アンティーク・ヴィンテージ業界で有名なのは、可愛らしい陶器のフィギュア。


例えば、1980年代に大きなブームとなった、National Westminster Bank の「PIGGY BANK 」プロモーション。貯金をすると可愛らしい豚の貯金箱をもらうことができる、ということで大成功をおさめました。その豚の貯金箱を制作していたのが、ウェイド社です。

他にも「不思議の国のアリス」シリーズなども製作しており、いきいきと表情豊かなフィギュア達はコレクタブル・アイテムとなっています。

これらはそれぞれ限定品として製作され、基本的に同じものは製作されないことが大きな特徴。そのためにコレクターが多くあらわれ、現在でも世界中で愛されています。


なお、ストークオントレントで長く営業してきた同社ですが、2022年には全従業員を解雇してしまっているようです。倒産したかどうかは不明。


参考:BBC サイト

Stoke-on-Trent's Wade Ceramics sheds 130 staff

https://www.bbc.com/news/uk-england-stoke-staffordshire-63865204



この猫は、そんなWADE社の製品。


底面の文字から、1998年、スタッフォードシャーにある、THE TRENTHAM GARDENSにて行われたWADE社フェア用に1500体限定で制作されたもの、ということがわかります。


モーニングコート、シルクハット、そして首にアスコットタイを絞めるコーディネートは、「アスコット・モーニング」と呼ばれアスコット競馬場で女王が臨席するレースの際に紳士が着用するスタイルです。足元が緑色のことからも、この猫は女王陛下のもと、エバーグリーンの芝の上、アスコット競馬を観戦中のネコ紳士なのかもしれません。足の間の黒い棒状のものはきっとステッキなのでしょう。


由緒正しい英国紳士を体現した小さな猫紳士。緑色の瞳を輝かせつつ、すっくと立つ小さな姿をぜひ愛でてあげてください。



◆England

◆WADE

◆推定製造年代:c.1998年

◆素材:陶器

◆サイズ:高さ約11.5cm 

◆重量:120g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れなどがみられます。

*割れや欠けはございません。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。 





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。



Todd Lowrey Antiques

by d+A



1881年から大切にされてきた一冊/ Antique Victorian Common Prayer with Book Clasp

 英国アンティーク、ヴィクトリア時代の祈祷書。





















英国のアンティークフェアで手に入れた古い本。


この本で特に秀逸なのが背表紙と金具。背バンドといわれるこぶのように突起した部分をもつ綴じ方で、革に施された金の箔押しタイトルと共に重厚感漂う仕上がりとなっています。


小口天地はぐるりと金箔が施され「Book Clasp/ブッククラスプ」という本を閉じておくための金具がついています。とても便利なものですが、往々にして古い本では壊れていたり失われていたりすることが多く、きちんと動作する物がついているのは貴重であるといえます。


背表紙のタイトルは「Common Prayer-Hymns」。英国国教会の祈祷書と讃美歌集となっております。発刊はオックスフォード・ユニバーシティ・プレス。


発行年は記載されておりませんが、見返しに書き込みがあり文の末尾に「1881」の文字をみることができます。文の内容は達筆すぎてとても読み取ることはできませんが、本の見返しに手に入れた日を書き込んだり、誰かに贈るときなどにメッセージや日付を書き込むことはよく行われておりましたので、1881年に誰かが書き込んだのだろうな、と思われます。


オックスフォード・ユニバーシティ・プレスは1675年からの歴史をもちますが、今回の品物の発刊は1881年より前のヴィクトリア時代と推測されますので、そのようにご紹介させていただきます。


しっとりとした革の表紙はそっけないほどにシンプル。

一方で重厚感あふれる背表紙とブッククラスプをもつ小口は華やかで、相反する意匠が持つ者の心をくすぐります。

少なくても1881年から大切にされてきた一冊を、貴方の書棚のマスコットとして並べてみるのはいかがでしょうか。



◆England

◆推定製造年代:c.1881年より前のヴィクトリア時代

◆素材:紙、革、真鍮

◆サイズ:約9×13cm 厚み約3cm

◆重量:299g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、書き込みや変色、頁の傷み等がみられます。

*ブッククラスプは正常に動作しますが、ぎゅっと本を圧縮すると外れることがあります。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。



アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。




Todd Lowrey Antiques

by d+A