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Saturday

生命力の象徴を掲げて / Antique Mahogany Cabinet Pediment

 ベルギーアンティーク、家具パーツ。

















今回は古い家具パーツのご紹介です。


アンティーク家具には様々な要素が詰まっています。構造体に仕上げ材、彫られたり取り付けられた様々な装飾。それぞれに歴史や由来があり、そこを紐解くだけでもワクワクする悦びで溢れています。(人によりますが)



今回ご紹介するのは、キャビネットなどの天端に取り付けられていた「Pediment/ペディメント」です。


ペディメントとは一般的には建造物の屋根部分、切妻側の三角形の部分をいいます。日本語では「破風(はふ)」部分となります。家具のパーツとしてもやはり天端に付けられたものをいい、基本的にはあくまでも飾りとなります。家具をひとつの建造物としてみた場合、やはりペディメントがあったほうが様になる、ということかもしれません。

場合によってはペディメントの後ろにフラットな台があって、その上に陶器などを飾ることもありました。その時はペディメントがまるで台座のようにも見え、装飾には欠かせないパーツであったと思います。



このペディメントのモチーフは、アカンサスリーフ。

アカンサスは「ハアザミ」の総称ですが、その強い生命力から古代ギリシアより生命力の象徴として愛されてきたモチーフです。意匠的にスクロール(渦巻)と組み合わされて表現されることが多く、このペディメントでも、まさにその意匠が展開されております。


また、下端には、よくみれば2か所のダボ穴跡がみられます。キャビネットの天板に2か所の穴が開いており、そこにダボのついたペディメントを嵌めこむのはよくあること。ネジ等で固定することもありますが、差し込みのみで固定せず、移動の際は外して運ぶのもよくあることと思います。おそらくこのたペディメントは出っ張っていたダボを切り落としたのではないかと思います。


手に入れたのはベルギーのディーラーから。おそらく19世紀のものであろうとのことですし、よいマホガニーの質感から私も同意いたしますので、推定年代はそのまま19世紀という事でご紹介させていただきます。


無垢のマホガニー材を彫り込んでつくられた、アカンサスリーフ・カーヴィングのペディメントは、かつてはどんなキャビネットのトップに据えられていたのでしょうか。


迫力ある佇まいは、パーツとなってなお失われることはありません。美しいオブジェとしてはもちろん、お部屋を効果的に演出する小道具として最高の力を発揮してくれそうです。



◆Belgium

◆推定製造年代:c.19世紀

◆素材:マホガニー

◆サイズ:幅約41.3cm 厚み約1.5cm 高さ約14.2cm

◆重量:349g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、小さな材のワレや変等色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

こちらのバナーからご来店いただけます。


Todd Lowrey Antiques

by d+A


紫煙のお供に小さな猟犬はいかが / Vintage Figural Cocker Spaniel Dog Smoking Pipe

 英国買付ヴィンテージ、犬のフォルムをしたパイプ。
















英国で手に入れた、犬のフォルムをした珍しいパイプ。


パイプは嗜好品だけに様々なフォルムをしたものがありますが、この犬の表情がなんだか可愛らしくなって手に入れてしまいました。


犬種はイングリッシュ・コッカー・スパニエルと思われます。古くから鳥用の猟犬として飼われてきた種で、短めのゆったりとした巻き毛で長いたれ耳、精力的で追跡能力は高く活発。性格は快活で愛情深く聞き分けがよく家庭犬としても愛されてきた犬種です。眼はガラスで出来ていて、やや気泡が入っているものの、みつめていると妙に愛嬌があり、段々と愛着がわくようなお顔をしております。



付け根部分には以下の文字が見られます。


REAL BRIAR FOREIGN


まず「FOREIGN」とは「外国の」という意味で、英国において販売されていた品物で、国外で作られたものにしばしばつけられている言葉です。

また「BRIAR/ブライアー(ブライヤー)」とは、和名で「栄樹/エイジュ」とよばれるツツジ科の樹木のこと。別名でホワイトヒースとも呼ばれます。


ブライアーは主に地中海沿岸などに自生し、その木の根瘤(バール)は古くから加工品として重用されており、特にパイプに加工されたものは、耐熱性に優れた材質や美しい杢目から高級品とされてきました。赤褐色の独特の色合いは万年筆やステッキのハンドルなどにも利用され、愛されてきた材となっています。


また、吸い口はエボナイトと思われます。吸い口等の状態から、おそらくほとんど使用されたことがないのではないかと思われます。



高級材ブライアーでつくられた、ちょっとおとぼけ顔のイングリッシュ・コッカー・スパニエル。その顔を手で包み込むように持てば、まるで小さな小さな犬を愛でているような気持ちになる事でしょう。


犬好きの方はもちろん、パイプ愛好者の方にもおすすめな、英国ヴィンテージの珍しいひとしなです。




◆England買付

◆推定製造年代:c.1950-1960年代

◆素材:ブライアー、エボナイト、他

◆サイズ:全長約12.5cm 幅約3.5cm 高さ約4.5cm

◆重量:41g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

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Todd Lowrey Antiques

by d+A


矩形から展開される方位と時間 / Antique Victorian Sundial & Compass by J.CASARTELLI

 英国アンティーク、携帯用日時計兼方位磁針。























日時計。


時を伝えるモノは数あれど、原点ともいえる日時計に心惹かれる人は多いのではないでしょうか。当店では今まで数点の日時計をご紹介して参りました。ボディが真鍮のもの、木製ベースのもの、ドーム型のもの等々。



今回ご紹介するのは、緻密なボックスウッドのケースに収められた美しい真鍮製の日時計です。

まず大きさは約5.6×7.5cmという、名刺よりやや小さいサイズの矩形。艶やかな表面にはかろうじて以下の刻印が確認できます。


J.CASARTELLI

43 MARKET STREET MANCHESTER



「J.CASARTELLI」は「Giuseppe Luigi Casartelli/ジュセッペ・ルイジ・カサルテッリ」によって創業されました。彼は1834年、11歳で家族と共にイタリアから英国リバプールに移住し、バロメーターと温度計を製造する工房で働き始めます。

後に「Joseph Louis Casartelli/ジョセフ・ルイ・カサルテッリ」と改名、1851年にマンチェスターへ移り住み、義理の兄弟から精密機器の製造事業を購入すると、望遠鏡や顕微鏡、カメラに至る光学機器など様々な機器の設計を改善し事業を拡大しました。

次男の Joseph Henry/ジョセフ・ヘンリー が、1882年頃から父親のもとで働くようになり、1892年には会社名を「J. Casartelli and Son」とします。1900年に父親が他界した後も、ジョセフ・ヘンリーによって事業は継続されます。1929年にはリバプールのルイ・カサルテッリの事業も引き継ぎましたが、1933年の大恐慌の間に清算され、残りの会社は、1966年までカサルテッリの名前で測量とテキスタイル試験装置を製造、販売し続けました。



以上のことから、このお品物はマンチェスターに移った1851年から、会社名が「J. Casartelli and Son」に変わる1892年までの間の品物であると思われます。



小さな引っかけ金具を外し、蓋を開けば糸が張られた日時計が現れます。この糸は日時計で時間を指し示す「ノーモン」の役割を果たしています。蓋を開いたままにしておくアームもあり、十分かつ美しい姿で安定します。

また、文字盤の外に極小の真鍮ボタン(ストッパー)があり、そこを指でぎゅっと押さえれば方位磁針の針が固定される仕組みがついておりますので方位磁針としての役割も果たすようになっています。蓋側には日時計の説明書きが残っており、ロケーションによって差が生じることを示しています。



かなり長くなりますので、今回は日時計の歴史や説明は省かせていただきます。ただ、機械式時計も初期は日時計で狂いを直していたほどに時計の原点であること、地球のどこにいるかで時間に差が生じること、本来は水平ではなく緯度により傾けて使用するべきでること、などを申し添えておきます。



そんな状況ですが、試しに日の当たる場所において時間を測ってみました。参考までに写真をご覧ください。

撮影した時刻は12時50分です。ノーモン代わりの糸の影は13時30分あたりを指しています。よって40分ほどの誤差があります。

本来であれば16分足した後に時間補正の方程式も考慮する必要があるのですが、それにしても30分弱ほど進みすぎているようです。

何らかのことで糸や蓋の角度が変わったのか、もしくは150年前後の時を超えたために起きたのかは不明ですが、ご使用になる際はどうかご了承いただきますようお願いいたします。




しっとりと滑らか、緻密ゆえにほとんど杢目もみえないほどのボックスウッドの矩形から展開される方位と時間。それは陽の光を浴び、貴方の掌の上でゆらゆらと揺れながらその本領を発揮します。


機能美という言葉さえどこか陳腐に感じてしまうほどの、英国ヴィクトリアンの美しい装置を、是非貴方の手でご体感ください。



◆England

◆J.CASARTELLI

◆推定製造年代:c.1851-1892年

◆素材:木(ボックスウッド)、ガラス、真鍮、他

◆サイズ(蓋を閉じた時):約5.6×7.5cm 厚み約1.95cm

◆重量:76g

◆在庫数:1点のみ




【NOTE】


*古いお品物ですので、小傷や汚れ、変色や錆等がみられます。

*季節によりますが、直射日光下に放置すると、ガラス内部が結露します。

結露しても機能に影響はありませんが、内部が見えずらくなりますので、日陰で冷ますか、ドライヤーなどの冷風をあてると元に戻ります。

*コンパスは電磁波などに影響を受けやすいのでご注意ください。狂ってしまった場合は、簡単な直し方がネットなどで紹介されていますのでお試しください。

*表示される時刻は現時点で少し進みすぎていることを確認しております。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。





アイテムのご購入はショップにてどうぞ。

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Todd Lowrey Antiques

by d+A