英国アンティーク、ボックスウッドと真鍮の比例コンパス=ガンター尺。
美しきツール、19世紀の比例コンパス。
当店でご紹介するのは2度目となります。
英国の大きなアンティークフェアで手に入れた木製の定規は、始めはどんなものかよくわかりませんでした。緻密なボックスウッドに刻まれた細線。精密な真鍮金具。ここまでは良いアンティーク定規にある要素なのですが、表面に刻まれた斜めの線と、アルファベットの表示が全く理解できないものだったのです。
経験上、古くからある英国の定規メーカーは、生き残った場合、コンピューター関連の業種にすすんでいくところが多いので、これはなんだか難しい物だ、と直感いたしました。販売していた親爺殿がなにか説明してくれた気がしましたが、それも全く理解できず、それでも品物自体の美しさにやられて手に入れてしまいました。
そして、やっと探し当てたほぼそっくりな品物が、ウィキペディアコモンズで公開されておりましたので、よろしければご覧ください。アメリカ、マサチューセッツ工科大学内にあるMITミュージアムの展示品です。
「Gunter's Scale Sector」
まず、「Gunter」とは英国の数学者、天文学者である「Edmund Gunter/エドマンド・ガンター(1581-1626)」のこと。
1581年、イングランドのハートフォードシャーに生まれ、数学と天文学に長じ、1620年から1624年にかけて計算尺を発明したことで有名です。この計算尺が「ガンター尺」とよばれるもの。目盛りを使って平方根や立方根、三角比、金属の配合などの計算を行ったとされるもので、19世紀までは航海において船上で計算をするときに利用された計算器具の一部でもありました。比例コンパス、セクターとも呼ばれます。
比例コンパスにご興味のある方は、筑波大学の研究室のサイトで詳しい説明がされておりますのでご覧ください。
https://math-info.criced.tsukuba.ac.jp/museum/Mathematics_tools/sector/sector.htm
私もこのサイト及び動画をみましたが、数学と物理が滅法苦手な美術系学校出身としては、ほぼ呪文を聞きながら魔術を見ているようで、全く理解できませんでした。申し訳ございません。
ちなみに、調べたところ、今回ご紹介しているセクターは「POLタイプ」であり、表示されているアルファベットの意味は以下となります。
線(L)、割線(S)、弦(C)、および多角形(POL)。
反対面には正弦線(S)と接線(T)、及び数値(N)、正弦(S)、および接線(T)。
すみません、内容の詳細はご説明できません・・・。
斜めの線を活用するのは無理としても、エッジの目盛りはインチ表示ですので、インチ定規としてのご利用は可能かと思います。艶やかなボックスウッドに刻まれた細線と、緻密な作りの真鍮金具は見ているだけでもため息モノ。ピシッと納まる真鍮のピンも、ツール愛好家としてはたまらないのではないでしょうか。
現代のコンピューターの源の一部ともいえる比例コンパス。デスクに忍ばせて、インチ定規として使用しつつ、17世紀の数学者へ想いを馳せてみるのはいかがでしょうか。
◆England
◆推定製造年代:c.19世紀
◆素材:木(ボックスウッド)、真鍮
◆サイズ(たたんだ時):全体長さ15.9cm 幅約3.6cm 厚み約0.3cm
◆サイズ(広げた時):木部分長さ30.48cm(=12inch)
◆重量:22g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、アタリ等がみられます。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A