英国アンティーク、真鍮のドアノッカー。
聖ゲオルギオス=聖ジョージの伝説をモチーフとしたドアノッカーのご紹介です。
聖ジョージとは、キリスト教の聖人の一人。3世紀後半にパレスチナのリュッダでギリシャ系貴族のキリスト教徒の家庭に生まれたという説があります。彼については様々な伝説がありますが、最も有名なのはドラゴン退治の伝説。
伝説は以下のようなものです。
カッパドキアのセルビオス王の首府ラシアに 巨大な悪竜(ドラゴン)がいました。毎日2匹ずつの羊を生け贄としていましたが、ついに羊が尽き、人を生贄にしようとくじを行います。くじに当たったのは、なんと王の娘。王は城中の宝石を差し出すことで逃れようとしますが、もちろんそんなものでは許されず、なんとか8日間の猶予を得ました。
その間に聖ジョージが通りかかり、助けを申し出て見事に竜を捕まえます。村に竜を連れてきて「キリスト教徒になると約束すれば、竜を殺そう」といいます。こうして、異教の村はキリスト教の教えを受け入れました・・・というもの。(諸説あります)
なかなかに興味深い話の流れですが、ここに登場する「馬に乗りドラゴンを槍で突く聖ジョージ」は非常に有名なシーンです。中世からギリシア、ロシア、西ヨーロッパを中心にみられ、ルネサンス美術においても数多くの作品のモチーフとなってきました。英国でも過去に数回紙幣や硬貨のデザインに登場しています。
今回ご紹介するドアノッカーのシーンは、聖ジョージが裸体であり、槍ではなく剣を持っているのが特徴的です。これはイタリアの宝石彫刻家、貨幣彫刻家であった「Benedetto Pistrucc/iベネデット・ピストルッチ(1783-1855)」によるソブリン金貨のデザインととてもよく似ています。このデザインの金貨はなんどか少しづつデザインを変えながら発行されており、英国においての人気の高さをうかがわせます。
また、見逃せないのがこのドアノッカーにはレジストレーション(レジスタード)番号が刻まれていること。1884年からダイヤモンドコードの代わりに付けられた意匠登録番号のことで、例えば1884年のRD Numberは「RDNO1」から「RDNO19755」までとなります(「D」及び「O」は上寄せで小さな文字)。
このドアノッカーにつけられた番号はRDNO586232。これは1921年の番号となります。個体ごとにつけられるシルバーのオールマークと異なり、あくまで意匠登録番号なので、この個体が作られた年とは断言はできません。ただ、番号が登録されてから3年間は他の物が似た物を作って販売するとかなりな罰金があったそうなので、製造は恐らく1921年から数年以内の可能性が高いと思われます。
1921年、英国はジョージ5世の治世下。人気だったソブリン金貨の聖ジョージをモチーフとしたドアノッカーは、なかなかに喜ばれたのではないでしょうか。第一次大戦後のつらい時期、王と同じ名前の聖ジョージがドラゴンを倒す姿に、人々は強い英国を夢見たのかもしれません。
聖ジョージの姿が浮き彫りにされたドアノッカーは、古い真鍮が持つ味わいを存分に感じさせてくれます。
実際にドアノッカーとしてお使いいただくのはもちろん、壁にとめてウォールフック代わりにするのもおすすめ。長い長い歴史をもつ伝説に、想いを馳せてみるのはいかがでしょうか。
◆England
◆推定製造年代:c.1921年以降その後数年程度
◆素材:真鍮
◆サイズ:長さ約7cm 幅約4.6cm 厚み約1.2cm
◆重量:83g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色がみられます。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A