英国ヴィンテージ、革製メソニックレガリアケースと内容物。
英国の大きなアンティークセンターで手に入れた、やや細長い革製のケース。
英国のマーケットではまれにみかける形で、以前から私も1つ持っておりました。
一般的なトランク（アタッシュケース）とは異なるフォルムのため、楽器か何か専用かな、と思っていました。
今回状態の良いものを見つけたので、手に入れてみようかと中を開けたところ、やっとこのケースの用途を知ることができました。
まず、ケースの名称は「レガリアケース/Regalia Case」。もう少し正式には「Masonic Regalia Case/メソニックレガリアケース」。
「レガリア/Regalia」とは原則としては君主や高位の人物が持つ、王権や権威を示す象徴的な装飾品や衣服のことであり、大学の卒業式で着用するガウンや帽子などもそのように呼ばれることがあります。
つまり、メソニックレガリアケースとは、フリーメイソンのための正装用ケースのこと。
そのことを前提に、内容物を見ていきましょう。
まずはメソニックエプロン。一言でいえば「フリーメイソンにおいてメンバーが正装の時につける前掛け」です。
フリーメイソンの由来が石工の組合とされていることはご存じの方も多いと思います。つまり、そのころから「エプロン＝前掛け」は彼らのシンボルであり、16世紀後半からとされる彼らの歴史のなかで、象徴として残されてきたものなのではないでしょうか。それぞれロッジごとに色や細工、文様などが異なっており、ロッジのアイデンティティでもあるようです。
さらに白い手袋。青い表紙の小冊子が1冊（THE CONSTITUTION AND LAWS)。「DORIC LODGE」の簡易な冊子が2冊。そして「United Grand Lodge of ancient. Free and accepted masons of England」がタイトルとなりサイン等が入った大判の書類。
以上となります。
ちなみに「DORIC LODGE/ドリック・ロッジ」はイングランド北東部の「Durham/ダラム」に現存しており、案内のウェブサイトもございましたのでご紹介しておきます。
大判の書類はおそらく入会時の書類と思われます。
日付はA.L.5967年12月20日。
・・・5967年！？
実はフリーメイソンでは特殊な年号を使用しており、それが「A.L.＝Anno Lucis（光の年）」。
Anno Lucis（光の年）は、紀元前4004年を天地創造の年とする年表に基づいており、伝統的に該当する年に4000を加算することで算出されます。例えば、グランドロッジが設立された西暦1717年は5717 ALとなり、2003年は6003 ALとなります。この体系はフリーメイソンに限ったものではなく、グランドロッジが設立される1717年の何年も前に、アイルランドの聖職者ジェームズ・アッシャー（1581-1656）によって考案されました。
・・・ということで、この書類の日付は1967年12月20日となります。
恐らくはこのケースの持ち主はその日にフリーメイソンに加わり、このケースやレガリアを手にいれたのでしょう。ケースはエプロンを二つ折りにしてちょうどおさまるサイズで、持ち歩きにぴったり。
ケースはとても良いコンディションですが、鍵は無く、留め具は閉めるときには両手が必要です。開閉の様子を動画にしましたので、参考までにご覧ください。
友愛団体であり、日本にもロッジがある・・・といえども、どこか秘密めいた印象を持つフリーメイソン。
その一部をコレクションしてみることは、貴方の知見をさらに深めることになると思うのですが、いかがでしょうか。
◆England
◆推定製造年代:c.1960代
◆素材：革、布、金属、紙
◆ケースサイズ(外寸）：幅45cm 高さ約20.2cm（＋取手）奥行約7.2cm
◆ケースサイズ(内寸）：約42.2cm×18.5cm 深さ約6.3cm
◆総重量：1644g ケースのみ1127g
◆在庫数：1セットのみ（レザーケースと内容物がセットになっています）
【NOTE】
＊古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色がみられます。
＊エプロンには折れ癖がございます。
＊ケース金具は閉めるときは片手でできますが、開けるときは両手が必要です。
＊ケースの鍵は付属しません。
＊詳細は画像にてご確認ください。
＊画像の備品（本や植物）は付属しません。
＊上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d＋A
