英国アンティーク、真鍮のレタークリップ。
1840年に世界初の切手ペニーブラックが作られて以降、手紙量が爆発的に増えたヴィクトリア時代。
それらを効率的に仕分けるため、レタークリップは大いに役立ちました。手の形をしたレタークリップは今でも人気で、アンティーク・ヴィンテージ市場でよくみかけることがありますが、今回ご紹介するクリップは一味違うデザインです。
指で押す部分と手紙を挟む部分が大きめで、間はしゅっとスリムな、レタークリップとしては使い勝手の良いシェイプ。
デザインは伝統的なアカンサスリーフが効果的にあしらわれており、エッジ部分は細かな凹凸できれいなシェイプをより強調しているようです。
クリップ部分を開いてみると、中には以下の刻印が見られます。
WHI ... & SON
REGISTERED
OCTr 15th 1845 No566
この「...」の部分は、残念ながらパーツが被ってしまって読むことができません。ベースの真鍮も分厚いため裏面まで刻印が影響しておらず、全く読めないのが残念ですが、おそらく製作した会社名と思われます。
そして「REGISTERED OCTr 15th 1845」は、1845年10月15日にこの品物が登録された、という意味だと思います。
英国においてこのような登録番号については、1842年から始まるカイトマーク(registration kitemark system)、1884年から始まるレジストレーテッドナンバー(Registered Number)が有名。
今回のお品物は既にカイトマークが始まっている年ではありますが、まだ一般的ではないため、自分たちのやり方で登録されていることを表現したのかもしれません。
なお、このような登録番号は個体につけられるわけではなく、意匠登録として初めに取る番号ですので、必ずしもこのクリップが製作された時を表しているわけではございません。ただ、これをとっておくとその後三年間は同じものを作って販売してしまうとかなりな罰金が科せられたそうですので、おそらく1845年以降の数年程度のお品物であるかとは思います。
1845年と言えば、1837年にヴィクトリアン女王が18歳で戴冠してから8年目。1840年にはアルバート公と結婚し、すでに4人の子供を設けていますが(最終的には子供は9人)、1900年まで63年間続く彼女の治世のなかでほんの序盤といってよい頃。ちょうどアイルランドのジャガイモ飢饉が始まり、これをきっかけに多くの移民がアメリカやカナダへと渡っていきました。
そんな時代に作られたレタークリップ。いまだクリップのばねはしっかりとしており、ポストカード1枚でもきちんと保持しますので、まだまだ実用に十分ご使用いただけます。
遥かなアーリーヴィクトリアンから届いた、作業する人をお手伝いする小さなアンティークアイテム。
貴方のデスクトップでお役立ていただけましたら幸いです。
◆England
◆推定製造年代:c.1845年以降の数年程度
◆素材:真鍮
◆サイズ:幅約5.9cm 奥行約9.5cm 厚み約3cm
◆重量:92g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色がみられます。
*挟む部分の向かって右側、下側が少し欠けています。正面からは気づきません。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A