優雅なフォルムをみせる双極アーム式郵便測り。
英国で手に入れた、古い古い郵便測り。
英国をはじめとするヨーロッパのポスタル・スケール、もしくはレタースケール(郵便測り)は、ばね式やPendulumとよばれる振り子式のものなど数種みられますが、今回ご紹介する測りはBilateral/バイラテラルとよばれる双極アームのもの。
Bilateral/バイラテラルとは「両側のある」「左右両側の」の意味。
その名の通り、左右両側のアームが可動し、それぞれについた目盛りでより幅広い重さを読むことが出来ます。
下側の目盛りは0から1/2オンスまで。
上側の目盛りは1/2オンスから4オンスまで。
上下の守備範囲がきちんと分担され、機能がそのまま形となった、なんとも心地よいフォルムをみせています。実際のスケールとしては正確な計測は難しそうですが(単位がオンスですし)、デスクに置いて手慰みに揺らしてみるのもまた一興かと思います。
出色はベースのラシカルなパターンと、受け皿の花のような透かし彫り。
全体の丸みを帯びたフォルムと共に、機能性の中にも優雅さを感じさせます。
上部の台に重みをかければ、左右のアームがゆらり、ふわりと持ち上がり、なんとも軽やかな動きを目にすることができる、優れもの。背面の支持柱には以下の文字がみられます。
OEST P 1766
UNG.P. 16742
D.R.P. 112860.121631
調べてみると、一行目の「OEST.P. 1766.」とは「Oesterreichisches Patent= Austrian patent」の意味。これは、チェコスロバキア、テプリツェにある「Balduin Heller's Sohne」という会社が、1899年にオーストリアへ出願、1900年に許可を経たパテントナンバー。
また二行目の「UNG.P. 16742」とは「Hungarian patent」、三行目の「D.R.P. 112860.121631」とはドイツのパテントナンバー。刻まれた大陸3国のパテントは1899-1900年頃であり、この秤が1900年頃の物であることが推測されます。
そう、これはチェコスロバキアの会社がデザイン・製作し、ヨーロッパ各国へ販売してた郵便測りでした。
英国でも多くの測りが製造されていたでしょうから、チェコスロバキアから来た測りは、ちょっと珍しい物だったかもしれません。
世紀末にアールヌーヴォーが花開いた地でデザインされた、機能性のなかにもどこかエレガントな空気を纏う郵便測り。
そのフォルムと動きを愛でる時、心の奥のどこかかから中欧の風がふいてくるような気がします。
◆Czechoslovakia/England買い付け
◆推定製造年代:c.1900年代
◆素材:金属
◆サイズ:幅約9.5cm 奥行き約6.8cm 高さ約15.2cm
◆重量:約156g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*正確な計測用にはおすすめできません。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A