英国アンティーク、スターリングシルバーがポイントでついた大曲ステッキ。
今回ご紹介するステッキは、シャフトがクルーク・ハンドル=大曲りとなっているステッキ。
このタイプのグリップは、持ちやすく、ちょっとした時に手に掛けておきやすい実用性で長年人気の定番となっているフォルムです。
一見すると節のある竹のようにみえるシャフト。でもよくみれば、節は飛び出しているわけではなく逆に少し凹んでおり、木目も確認できます。おそらくこれは「竹のように節を彫った」木のステッキです。
ステッキに使われる材は様々な種類がありますが、東西を問わず、竹はとても優秀な材。強く軽く、1本づつ異なる独特の節のある表情は、多くの人を魅了してきました。ただ、ヨーロッパにおいて竹は自生しておりません。東方からやってきた竹をステッキに仕立てて持つことは、多くの紳士の憧れだった事は、想像に難くありません。
ならば、木を竹のようにみせてしまえ・・・という発想が生まれるのも納得がいきます。木の種類は不明ですが、竹の様な節を削り出し、色をつけ、端正な大曲のステッキに仕立て上げております。
石突部分は英国買い付け当時からついていた真鍮と金属製のカバーが取り付けられています。釘1本でとめられており、多少カタつきますがまだとどまっておりますので、このままのご紹介とさせていただきます。
この石突部分はすぐに摩耗してしまいますので、がっちりとはとめずに、釘1本もしくは2本でとめてあることが多く、交換しながら使っていた物と思われます。実際にご使用になる際は、ゴムキャップなどを嵌めることをおすすめいたします。
また、カラー部分にはスターリングシルバーがポイントで取り付けられています。特に装飾が無いシンプルなタイプで。ホールマークが唯一の装飾ともいえます。
右端が豹、次はライオンパサント、左端はおそらくシールドのような外形に[d]の装飾小文字となっています。これは1919年にロンドンのアセイオフィスで認可をうけたスターリングシルバーであるということ。ホールマーク自体がかなりすり減っておりますので、若干の推測も混じっておりますが、まず間違いない範囲かと思います。メーカーズマークは「A」が認識できますが、その前にあるアルファベットは判読できず、名前を特定することは出来ませんでした。
このステッキが作られた1919年、英国はジョージ5世の治世下で、1918年に第一次大戦が終わったばかり。英国は戦勝国ではありましたが、戦争のために疲弊し、かなりダメージを負っていた時代となります。また一方でアフガニスタンが英国から独立したり、英国がインドの一部自治を認めるなど、ヴィクトリア時代からの「大英帝国」の繁栄は終わりを告げつつありました。
新しい時代の流れが確かに感じられる変換の時代の中、紳士はまだまだステッキを持ち、ロンドンの街を歩いていたのでしょう。期待よりも不安が大きい時代、何かに頼るようにステッキを握っていたのかもしれません。
現代にも同じことがいえるような気がいたします。
英国紳士を護ってきた誇り高い1本を、貴方のお手元で愛でてみてはいかがでしょうか。
◆England
◆London
◆推定製造年代:c.1919年
◆素材:木・スターリングシルバー
◆サイズ:長さ約86.8cm グリップ幅約11.8cm
◆重量:約113g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、塗装の剥げ、アタリや擦れ、変色等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*体重をかければ若干しなりますが、木製ステッキとしては許容範囲内と思われます。
*シルバーカラーとシャフトの間には若干の隙間があります。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A