英国アンティーク、リネンテスター(拡大鏡)。
英国の大きなアンティークフェアで手に入れた、真鍮製の小さな折りたたみ式ルーペ。
ぱたぱたと開いて逆方向に折ればコの字となり、安定して立ちつつ、ちょうど接地面にピントが合うように作られています。このタイプは「リネンテスター」として作られているものが多く、現代でも繊維関係の業界では必須アイテムと言えるでしょう。
基本的にリネンは1インチ四方に経糸、緯糸が何本入っているのか(打ち込まれているのか)が規格であり、基準となることが多いようです。
ただ、このテスターは珍しく、測るための窓が5mm×10mm角となっており、その範囲で調べることに適したデザインとなっています。
19世紀英国はインチ単位が使われていますが(現在も多いですが)、フランスでは1837年以降メートル法を使わないと罰金が科されれたため、メートル法を使用していました。ドイツではメートル法適応は1870年からといわれています。このことから、おそらく英国国内向けではなく、海外向け(主としてヨーロッパ)の製品のためのテスター、もしくは海外向けのテスターであったかと思います。
ちなみに刻まれている文字は以下の通り。
BRITISH MADE
JOHN NESBITT
MARKET STREET
MANCHESTER
この「JOHN NESBITT」がこのテスターをつくったメーカーであると思われます。「JOHN NESBITT」についての情報は多くありません。ただ、インターネットアーカイヴ(アメリカ図書館協会 /ALAを中心とした多くのメンバーで運営されているサイト)、1888年発行 「Manchester of today 」の頁にその名前を見つけることが出来ました。
ご興味ある方はご覧になってみてください。
真ん中やや上「John Nesbitt」の項
それには、「John Nesbitt」は1784年にFrancis P. Walkerによって設立され、1888年現在はJohn Nesbitt氏によって運営されている、布や糸等の試験器具製造会社。製品は世界的な評価をうけており、時代の要求に応えた品物である・・・というような説明書きがあります。住所は MANCHESTER MARKET STREET 42番地。
他にも、英国ナショナルトラストのコレクションとして、「John Nesbitt」の「Yarn Testing Quadrant」(=糸番手測定器)が掲載されています。
それによれば、その年代は1930年。
https://www.nationaltrustcollections.org.uk/object/1453771
以上の事から、今回ご紹介するリネンテスターは「John Nesbitt」による19世紀ヴィクトリアン後半から、20世紀初頭1930年代頃までの品物なのではないかと推測いたします。
倍率はかなり高いので、文字を読むというよりは、もっと細かい物・・・例えば糸やそのレベルの小さな物の観察におすすめ。
産業革命をきっかけに、織物の一大産地として発展したイングランド・マンチェスター。その一端を担ったメーカーが作った、真鍮のリネンテスターは、駆けるように行き過ぎた時代をみてきた証人のような気がします。
小さくてもずっしりと重い確かなツールを、貴方のお手元でお確かめください。
◆England
◆John Nesbitt
◆推定製造年代:c.19世紀後半から20世紀初頭
◆素材:真鍮、ガラス
◆サイズ(コの字に立てた時):幅約2.2cm 奥行き約3.4cm 高さ約3.2cm
◆レンズ直径約1.2cm
◆重量:45g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や変色等がみられますが、稼働はスムーズです。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A