英国アンティーク、ウェールズの旗。
今回は英国の旗の話からさせてください。
現在認識されている英国の国旗はユニオンジャックです。
これは、イングランドの白地に赤の十字(聖ジョージの旗)、アイルランドの赤の斜め十字(聖パトリックの旗)、そしてスコットランドの青字に白の斜め十字(聖アンドリューの旗)、この3つ意匠を組み合わせたものとなります。
このユニオンジャックは1801年の「大ブリテンおよびアイルランド連合王国」成立に伴って制定されました。
歴史としてはまずは1277年にイングランド王国の国旗となった聖ジョージの旗に、1603年スコットランド王国からジェームズ1世を迎えたときに、聖アンドリューの旗を組み合わせます。さらに1801年のアイルランド併合の時、聖パトリックの旗を加えて、今日のユニオン・ジャックになったということになります。
さて、今回ご紹介するのは、この「ユニオン・ジャック」に唯一参加できていない、ウェールズの旗。理由としては、ウェールズは1282年にイングランドに占領されてしまっていましたので、あまりに昔過ぎてユニオンジャックには加えられなかった、というのが通説の様です。
まず目を惹くのが、中央の赤い竜(ドラゴン)。背景は上部が白、下部が薄茶色となっています。
ちなみに現在のウェールズの旗は中央に赤い竜、そして背景は上半分が白色、下半分が緑色。この形として承認されたのは1959年ですが、そのはるか前から赤い竜はウェールズの象徴とされてきました。
今回ご紹介する旗は下半分が薄茶色となっていますので、想像ではありますが1959年より前、とにかく赤い竜を真ん中にして、後ろはその場に合うような色を配したのかもしれません。
では何故、赤い竜がウェールズの象徴となったのでしょうか。
もともとは2世紀にローマ軍が持ち込んだ蛇のような旗印(ローマ人はこれをドラコ(draco)と呼んだ)が始まりと言われています。その後ローマ軍がブリテン島から撤退して以降、ブリトン人がこれを軍旗として使用したことからケルトの象徴として用いられた、といわれています。ローマ軍撤退後にブリトン人とサクソン人の戦いが始まり、赤い竜はブリトン人=ウェールズ、白い竜がサクソン人=イングランドの象徴として用いられるようになりました。
現在のウェールズでは土地も国民も「我々は赤い竜である」としており、赤い竜は国や民族の象徴・化身とされています。
またラグビーウェールズ代表は愛称は「レッド・ドラゴン」であり、強豪チームとして恐れられてきました。
そんなことから、ウェールズは「ドラゴン=ハートの国」として知られています。
恐らくはウェールズで、お祝い事などがあるときに使われてきたであろうドラゴンの小旗。周囲はほつれ、だいぶ傷んではおりますが、まだまだ竜の鮮やかな赤は死んではおりません。
赤い竜を掲げたドラゴンハートの国から、今貴方にお届けいたします。
◆England(Wales)
◆推定製造年代:c.1900-1930年代頃
◆素材:木、布
◆サイズ:長さ約88cm
◆重量:51g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、材のワレ、ホツレや変色、布の破れ等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A