英国アンティーク、ヴィクトリア時代のケース入りアブニー水準器。
英国のアンティークセンターで手に入れた、ヴィクトリアンの計測機器のご紹介です。
長さ約12cm強の金属製の黒く四角い筒はおそらく真鍮を黒く仕上げたもの。真鍮製の金色の分度器が取り付けられており、中心にはレベル(水平器)が連動する小さなリングが取り付けられています。筒内の内蔵ミラーにより、遠くの目標物を視認しながら水準器の気泡を確認することができます。
なかなか文字の説明ではなんだかわからないと思いますが、つまりこれは測量に用いる機器。詳細な使い方説明は私の手に余りますので、ご興味ある方は是非お調べいただければと思います・・・。
発明したのは英国の天文学者であり化学者であった「 Sir William de Wiveleslie Abney /ウィリアム・ド・ウィヴェルズリー・アブニー卿(1843-1920)」。
彼は1870年代後半に、ケント州「Chatham/チャタム」にある軍事工学学校に教師として勤めていた時にこの器具を発明したとされています。
アブニー水準器は使いやすく、小型で、比較的安価であり、正しく使用すれば正確な測量ツールだったため、かなり普及しました。現代においても使用している材は違いますが、ほぼ同じ機構のものが「アブニー水準器」として販売されています。
1871年頃までに、英国の王立地理学会は探検家が携行すべき計器の長いリストを発表しました。それには時計、コンパス、六分儀、そして大量の紙といった必須の道具に加え、「必須ではないが便利な追加計器」のリストに「ポケット水準器(アブニー製)」を含めたとされています。
さて、もう少しお品物を見てみましょう。
外箱の裏側、そして水準器本体には以下の文字がみられます。
A.G.THORNTON & Co.
DEANSGATE
MANCHESTER
これは、英国で製図用具や測量器具を正装販売していた「A.G.ソーントン社」のもの。英国のサイトで同社の簡単な履歴が紹介されておりましたので、よろしければご覧ください。
Grace's Guide to British Industrial History
A. G. Thorntonの頁
https://www.gracesguide.co.uk/A._G._Thornton
これによれば、1883年には製図用具や測量器具の広告をだしておりますので、創業はそれより前であることが推測されます。
1892年、1895年にはディーンゲート109番地のアドレスでの広告。
1899年にはセントメアリーズ通り4番地のアドレスでの広告となっておりますので、この時点で移転していたのではないかと思われます。
1945年までは広告の出稿が確認されますが、それ以降は不明となっています。
つまり「A.G.ソーントン社」がディーンゲート109番地で事業を行っていたのは1899年より前。よって今回ご紹介するアブニー水準器は、1880年から1890年代のお品物である、と推測いたします。
多くの測量技師が、そして探検家たちの役に立ってきたアブニー水準器。そのうちのひとつが、120年以上の間、オリジナルの箱で護られながら、今ここに在ります。
貴方のお手元で、ヴィクトリアンの機器を堪能してみてはいかがでしょうか。
◆England
◆A.G.THORNTON & Co.
◆推定製造年代:c.1880年から1890年代頃
◆素材(本体):真鍮、金属、ガラス、他
◆本体サイズ:幅約12.2cm 奥行約2.7cm 高さ約5.4cm
◆箱サイズ:約13.5×6.5×3.7cm
◆総重量:183g(本体のみ122g)
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色がみられます。
*外箱にも傷みがみられますが、留め具は正常に動作します。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A