英国アンティーク・ケース入りのパンスネ(鼻眼鏡)。
耳にかけるツルが無く、鼻に挟んで装着する鼻眼鏡を「パンスネ/pince-nez」といいます。語源はフランス語で、まさに「鼻を挟む」の意味。
ヨーロッパでは15世紀から17世紀の間に一般庶民に徐々に浸透し、1840年代に現代的な鼻眼鏡が登場し、1880年から1900年にかけて大流行したといいます。
もちろん普通の眼鏡もあったのですが、手軽さとお洒落なイメージでパンスネを好む人は多かったようです。ただ、どうしても落ちる危険性があったため、フレームの片側にチェーンなどをつけて、服や女性の髪などに留めておくこともよくありました。
アメリカのルーズベルト大統領(1858-1919)、吉田茂(1878-1967)などもパンスネの愛好者でした。
さて、今回ご紹介するパンスネはイングランド東部の町、小さなホテルのホールで行われたアンティーク・フェアで手に入れた物。
まずは年季の入った立体的なケースに興味をもった我々に、白髪の品の良いおばさまはそっとケースを開けてパンスネをとりだし、茶目っ気たっぷりに自身の鼻に挟んで見せてくれました。彼女によれば、1900年代のものだろう、とのことでした。
ガラス面を左右に引けば、中央のバネのような部分から伸縮し、手を離せばもとにもどる力がかかるので、その力によって鼻を挟むような仕組みとなっています。このようなタイプはスプリング・ブリッジとよびます。
鼻あて部分はコルク。レンズ部分はほとんど度がないように思えますので、古いレンズからファッション用に交換したものかもしれません。
実際に鼻にかける様子の動画をアップしたので、よろしけれご覧ください。
ケースの底面には以下の文字がみられます。
Luking
Birmingham
(かなり消えかけているので「Luking」はひょっとして違うかもしれません)
Lukingの詳細は不明ですが、バーミンガムはイングランドきっての工業都市であり金属加工も盛んであった街。眼鏡屋も沢山あったことは想像にかたくありません。
正直、視力矯正の実用としてはなかなか難しいとは思いますが、それだけに嗜好品としての存在感は抜群。ちょっとした仮装気分で装着してみるもの愉しいかもしれません。
そしてなによりも、100年前に敢えてパンスネを選んでいた洒落者たちのエスプリを、堪能してみてはいかがでしょうか。
◆England
◆推定製造年代:c.1900年代頃
◆素材:金属・ガラス・コルク・他
◆本体サイズ:幅約10.2cm 高さ約3.7cm
◆本体重量:15g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色がみられます。
*付属ケースには小傷やホツレ、レザーの剥がれ等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*お顔立ちによってはご使用が難しい場合もございます。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A