サイクリスト・ツーリング・クラブ監修、ノーフォーク州の折りたたみ地図。
イングランドの空がよほど機嫌が良いときの青色の表紙をもつ、古い折りたたみ地図。
表紙にはおおきく「NORFOLK」とあります。
ノーフォークはイングランド東部の州で、州都はNORWICH /ノーウィッチ(ノリッチまたはノリッジ)となります。
ノーウィッチは古い歴史を持つ街で(英国の街は大抵そうですが)中世には羊毛の取引が盛んで多くの教会が建てられました。
また、地図の製造は「JOHN BARTHOLOMEW & Co」によるもの。
エディンバラで1820年から2002年まで存在した地図メーカーであり、印刷を行っていた老舗です。
さて、ぱたぱたと地図を広げれば、普通の紙だけではない造りに気づきます。
寒冷紗のようなクロスの上に紙が貼りつけられており、折り曲げる部分はクロスのみ、という仕組み。
そのため、何度折り畳みを繰り返しても、紙へのダメージは極力少ないような構造となっています。
地図の一番下には丸いマークと共に、以下の文がみられます。
「ROAD REVISED BY THE CYCLISTS'TOURING CLUB」
道路はサイクリスト・ツーリング・クラブが監修、という意味と思われます。
象徴的な丸いマークは、C.T.Cの文字が配され、中心から羽が生えた自転車の車輪。「the Winged Wheel」とよばれるサイクリスト・ツーリング・クラブの紋章です。
よくみれば、地図上の道路の多くが赤い線、赤い点線で塗り分けられており、良い道(ファーストクラス)か、どうにか通れる(Passable/パッサブル)か、などがわかるようになっています。
さて、「サイクリスト・ツーリング・クラブ」とは、1883年に英国で結成された自転車に関しての市民グループのこと。
(前身は1878年発祥のThe Bicycle Touring Club)
今回ご紹介する地図は、その「サイクリスト・ツーリング・クラブ」お墨付きの地図、ということになります。
自転車の歴史をざっとご説明すると・・・
1818年、ドイツのドライス男爵が自転車を発明し、特許を取得しました。
1885年には、イングランドのスターレーが前輪と後輪の大きさが同じ「ローバー」を発明。現在の自転車の元祖となりました。
安全で乗りやすくなった自転車は大量生産され、多くの人が自転車を使うようになっていきます。
しかし、その後の車社会の到来とともに自転車は排除される運命が待っていました・・。
「サイクリスト・ツーリング・クラブ」は、自転車排除の波に抵抗しようと、サイクリストの権利を主張し、車優先の社会へ抵抗を試みていたともいわれます。
このような地図の発刊に協力し、英国のサイクリスト達の安全と権利を守ろうとがんばっていたのかもしれません。
ちなみに「サイクリスト・ツーリング・クラブ」の名称は2009年までで、現在は「Cycling UK」となっています。
ご参考までに、「Cycling UK」オフィシャルサイト(英語版)Cycling UKの歴史ページのURLをご紹介しておきます。
https://www.cyclinguk.org/about/history/ctc-history-timeline
もちろん現在はかなり道路事情は異なるかと思いますが、古い地図がもつ独特の郷愁はなんとも雰囲気に溢れ、つい見入ってしまう魅力に満ちています。
この地図はサイクリストのための情報も満載。
緩やかな起伏が続く、北海へ続く道を自転車で走る気持ちになって、眺めてみるのはいかがでしょうか。
◆Scotland
◆推定製造年代:c.1930年代頃
◆素材:紙・繊維
◆たたんだ時サイズ:幅約10cm 厚み約0.8cm 高さ約19.6cm
◆広げた時サイズ:幅約78.5cm 高さ約54cm
◆重量:126g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、破れや変色、書き込みがみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A