英国アンティーク、ジョージアンの真鍮製おりたたみ望遠鏡。
英国の大きなアンティークフェア。
屋外にも沢山のディーラーが品物を並べておりますが、大きな倉庫のような場所に、ジュエリーや、お値段が高目なアイテムを扱うディーラーが軒を連ねるところもあります。
その中の1軒。
沢山の望遠鏡や双眼鏡、コンパスや機器類など「メカもの」を扱う小さなストールがあります。店主は小柄な眼鏡のお兄さん。
他の店主に比べれば、年齢的には若いものの、いざ話し出せば品物についての蘊蓄がとまらない、愛すべき、そして信頼すべき店主のようです。
上品な英国人のご夫婦との長い長い話が終わったのちに、やっと店主と話す順番が回ってきた私たち。(ご夫妻は何やら大きなメカものを買ってゆきました)
様々な説明を受けながら彼からいつくかの品物を買いましたが、「望遠鏡で一番のおすすめ」として紹介されたのが、今回ご紹介する望遠鏡。
円筒形のケース入り、真鍮製のスリードロー・カラプサブル・テレスコープです。
推定製造年代は1820年代。
1820年といえば、長い間摂政王大子(リージェント)だったジョージ4世がやっと戴冠した年で、いわゆるジョージアンの時代です。
産業革命による工業の成長、それに伴う人口の増加、都市の成熟など英国は大国への道を歩み始めたあたり。
そんな時代のリバプールで作られた、機能性と美しさを併せ持った光学機器。
構造体は真鍮と木。
木は塗りつぶしの塗装が施されておりますが、一部分解して内面をみれば、杢目からマホガニー材であることがわかります。
ドロー部分を引き出せば、ファースト・ドロー部分には流麗な文字で「 B. Wood Liverpool」と彫り込まれています。
B. Wood について詳細は不明ですが、同メーカーの望遠鏡や六分儀(RADIUS VERNIER OCTANT/航海用の計測器)などが1800年代前半のものとして市場に散見されます。
イングランド北西部の歴史ある港湾都市リバプールにおいて、このような機器類を製造していた工房、もしくは商会であったと思われます。
使い方としては、まず接眼レンズについている小さなカバーをスライドして開ける。
そして3つのドローをすべて引き出し、一番手前(接眼レンズがついている)部分を動かして、対象物にピントを合わせる・・・という仕組み。
分解もできますので、レンズの汚れや曇りなどのお手入れもしていただけることと思います。
片目だけですし、視野もそれほど広くないので、双眼鏡よりは上手くみることが難しい望遠鏡。
ただ、ドローを引き出しつつ片目をレンズにあてれば、なんだか冒険者になったような気分になれることは間違いありません。
すでに200年を過ごしてきた鈍い金色の望遠鏡は、ジョージアン、ヴィクトリアン、エドワーディアンから近世まで、英国を見続けてきた歴史の目撃者。
深い歴史が透明なレンズに込められているような気がいたします。
これからは、貴方のもとで。
さらに繋がっていく歴史を覗いてみてください。
◆England/Loverpool
◆推定製造年代:c.1820年代頃
◆素材:真鍮・マホガニー・ガラス
◆本体サイズ:望遠鏡本体直径約4cm 長さ約19.4-61.7cm
◆本体重量:369g(ケースの重量約60g/本体とケース合計約429g)
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色や歪みなどがみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*専用ケースには色あせや破れなどがみられます。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A