英国アンティーク、ウォーキングステッキ。
英国の大きなアンティークフェアで手にいれた、珍しいステッキのご紹介です。
何度かのおつきあいで顔見知りになったお髭のおじさまのストールは、今回は沢山のステッキが並んでいました。シルバーグリップの定番のステッキや、大曲の立派なステッキ等々。その中に混じって、ひと際異彩を放っていたのがこのステッキです。
「これは面白いですね。材はなんでしょうか?」と尋ねれば、髭の店主は肩をすくめながら「本当に珍しい。19世紀のものだと思うんだけど、材ははっきりわからない。エルムかもしれない。枝に何かの蔓が巻き付いてこんな風になったんだと思う。UNUSUAL!」
もってみれば重量はそれほどではないものの、がっしりしっかりとした印象。ところどころにある節がアクセントとなりながら、全体をとおす蔦の跡らしきねじれた凹みが、唯一無二の存在感を際立たせています。
ちなみに「エルム/Elm」とは、日本語では楡(にれ)の木の総称。エルムはかつて英国にも多く自生していました。ただ、1970年代に悪性の病気(ニレ立ち枯れ病/Dutch elm disease)が英国のエルムの木に蔓延し、大部分が壊滅。現在の主要産地はアメリカかカナダとなり、英国のニレは現代ではとても少なくなってしまったといいます。
材の特徴としては、粘りや耐水性があり、衝撃への吸収力があることから、主に家具、桶や樽、農耕用の箱類などに利用されてきました。家具では、その杢目の粗さや頑丈さから、庶民の家具として、貴族の館の中ではキッチンや使用人たちが使う実用的な家具として重宝されてきました。古代ケルトの伝説としては、エルムは「聖なる浄化」を象徴しており、水の精霊が宿る樹木とされています。
そんなエルムであろう、古く特別な形をしたウォーキングステッキ。
かつて蔦が絡まっていた軌跡をなぞるように愛でれば、生きる力そのものを愛でるような気がします。貴方のお傍に、生命の力溢れるひとふりのステッキはいかがでしょうか。
◆England
◆推定製造年代:c.19世紀
◆素材:木(エルム材の可能性)、金属
◆サイズ:全長約90.3cm 最大部分幅約6.2cm
◆在庫数:1点のみ
◆重量:270g
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色等がみられます。
*体重をかけてもしなりはほとんど感じません。がっしりとした印象です。
*石突部分は材に沿わせて作られたと思われる金属製です。現在のところしっかりと固定されています。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A