ベルギーアンティーク、建築意匠のカラーリトグラフ。
英国のアンティークフェアで手に入れた、建築意匠のリトグラフ。
数枚をまとめて買い付けたのですが、1枚1枚に個性があり、じっくり見始めると時間を忘れて見惚れてしまいました。
今回ご紹介するのは、その中の1枚。見るからに華やかで優雅なデザインと色合いに、思わず頬が緩みます。
トップにあるタイトルは以下の通り。
LA PEINTURE DECORATIVE
装飾画
ボトム部分には以下の通り。
PANNEAUX - ARABESQUES
( GENRE LOUIS XV )
羽目板(鏡板)--アラベスク装飾
(ルイ15世様式)
つまり、ルイ15世様式の羽目板、アラベスク装飾のお手本、というようなことかと思います。
ルイ15世様式とは、それまでの重厚なバロック様式から一転して、曲線を多用する繊細で優美、軽やかな装飾のデザイン様式のこと。ロココ様式とも呼ばれ、ポンパドゥール夫人を中心にしたルイ15世の宮廷で花開きました。
確かにこのリトグラフはまさに可憐で優美なルイ15世様式を表現しています。
まず向かって右側には17-18世紀フランス宮廷で流行した楽器、バグパイプの一種「ミュゼット」を中心に華やかな装飾が施されています。向かって左側には小さな竪琴を掲げた女性と幼児のモチーフ。ギリシア神話に登場する女神(精霊)で「エラトー」がいますが、彼女の持ち物(アトリビュート)が竪琴であり、幼児(クピド)とともに描かれることが多いことから、この女性は女神エラトーかもしれません。全体的にバランスはとれているものの、よく見れば子細は完璧に対象ではなく、微妙に崩されているところにロココの粋を感じることが出来ます。
図案の左下にはアーティストであり彫刻家であった「H. Gruz 」(1812-1867)、右側には発刊者であった「Ch Claesen Editeur Paris Liege & Berlin」の文字をみることができます。
「Ch Claesen=Charles Claesen/チャールズ・クレセン」はベルギーのリエージュで1857年に設立された印刷業者、出版社であり、建築と芸術に関する出版物を主に製造し、1870年代には商業的に成功を収めた会社です。後にパリとベルリンに支店を盛ったため表示が「Paris Liege & Berlin」となっておりますが、もともとはリェージュの会社であるため、今回は「ベルギーアンティーク」とさせていただきました。
以上のことから、このリトグラフは「H. Gruz」のデザインで、リエージュのチャールズ・クレセンにより発刊された意匠集の1頁であるといえます。「H. Gruz 」については、生没年と職業以外の詳細は調べきることができませんでした。
18世紀以来、長く愛され続けてきたルイ15世様式=ロココ様式。
フランスを代表する優美で可憐な装飾様式を継承すべく残されたリトグラフは、1枚のアートワークのような完成度です。
女神、クピド、楽器に鳩。
様々なモチーフが一体となって奏でるロココの調べを、是非ご堪能ください。
◆Belgium
◆推定製造年代:c.1870-1880年代頃
◆材:紙
◆サイズ:約32.5×49.9cm
◆在庫数:1点のみ
◆重量:42g
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色やわずかな破れ等がみられます。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A