「英国王立陸軍航空隊/Royal Flying Corps/ロイヤルフライングコープス」。
その名前を知る人は多くないのではないかと思います。ライト兄弟が有人飛行を行ったのが1903年。
飛行機は、第一次大戦(1914-1918)初期頃まではあまり能力や信頼性が低く、実際には主として偵察機として使用されていたといいます。
戦争は飛行機の能力を飛躍的に高め、双葉機から単葉機へ、木製の骨組に羽布張りから金属の機体へかわっていったのも第一次大戦中のことでした。
第一次大戦前夜、1912年4月に英国王立陸軍の一組織として組織されたロイヤルフライングコープス。
時代の流れとともにその役割は増大し、第一次大戦が終わった1918年には、「ロイヤルエアフォース/Royal Air Force/英国王立空軍」が誕生。
ロイヤルフライングコープスは、ロイヤルエアフォースへと名前を変えることとなったのです。
つまり、ロイヤルフライングコープスという名称があったのは1912年から1918年の6年間のみ。
まさに時代の先駆け、一瞬の蕾のような存在だったといえるでしょう。
ちなみにロイヤルフライングコープスのモットーは「 Per Ardua ad Astra」。
英語では「Through Adversity to the Stars」「逆境に打ち勝って栄光の星へ 」・・・でした。
Royal Flying Corps Recruiting poster |
今回ご紹介するステッキには、そのロイヤルフライングコープスの紋章が刻まれています。
バンドには翼と月桂樹に囲まれた王冠のエンブレム。
唐草文様が施されたグリップのトップには「RFC」の文字をみることができます。
軍隊には「Swagger Stick」とよばれる将校などが鞭代わりにもつ短いステッキがありますが、このステッキはしっかりと長いウォーキングステッキ。
従軍中ではなく、日常生活で使用するためのものです。
想像ではありますが、ロイヤルフライングコープス退役後の軍人が、その当時の記念に造らせた・・・
もしくは、退役記念の品物として後輩たちから贈られたものかもしれません。
英国スターリングシルバーに刻印されるホールマークは見当たりませんが、バンド部分には「STARLING」の文字が刻印されています。
ホールマークはその印がないと市場に出荷できない、という決まりのもとに刻印されていましたので、オーダーメイド品はその決まりに沿っていないものもあったようです。
シャフトの木はその杢目からしてウォールナットと思われます。
世界三大銘木のひとつともいわれるウォールナットは、強く加工しやすく、その美しい杢目から高級家具にも使われてきた最高級の木材です。
グリップは小さめですが握りやすく、美しい唐草文様が絶好の滑りどめとなっています。
トップのロイヤルフライングコープス刻印は、エッジがかなり緩やかになっており、実際に使われてきた歳月を感じさせます。
そして、石突(先端)部分の金属が比較的きれいなのは、大切にメンテナンスされてきた証のように思えます。
かつて飛行機乗りだった英国の退役将校が生涯大切に手元に置いていたであろう、1本のステッキ。
そこには彼の誇りと想い出が詰まっていたのかもしれません。
時代を映し出す、とても貴重なアンティーク・ステッキ。
ぜひこの機会に手に入れてください。
◆England
◆推定製造年代:c.1912-1920年代頃
◆素材:スターリングシルバー、木(おそらくウォールナット)
◆サイズ:全体長さ約82cm グリップ直径約3.2cm
◆重量:約159g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A