米国アンティーク、真鍮製回転定規付き分度器。
英国のアンティークマーケットで手に入れた、米国製の古い製図/測量器具をご紹介します。
半円分度器と定規が合体した、ちょっと見慣れない器具ですが、よーく観察すると、分度器と定規それぞれの本来の機能である、角度や長さを測る、線を引く以外に、円や円弧が描けたり、0~180度まで任意の角度の線を引くことができるなど、その多用途・多機能性により興味が深まっていきます。
分度器の中心に、長さ6インチ(約152㎜)の定規が留められており、その定規は、分度器の中心を回転軸として、360度回転させることができます。
そしてさらに、定規には一定の間隔で20以上の小さな丸穴が開けられているので、丸穴に鉛筆などのペン先を差し込めば、円や円弧を描くことが可能となります。
ただし、丸穴の間隔は1/4インチ(約6.35㎜)刻みであることと、器具の構造上綺麗な円が描けるのは、半径2インチ(約50.8㎜)以上となります。それでも、当時としては画期的な器具であったことと想像します。
それから、分度器部分を固定し、目盛りしたがって定規を合わせれば、好きな角度の線が簡単に引けるのですが、この器具が無い状態で同様の行為を考えると、とても画期的といえます。
真鍮の器具に刻まれた「 EAGLE PENCIL CO. U.S.A. 」は、ドイツ・フランコニア/Franconia移民のダニエル・ベロルツハイマー/Daniel Berolzheimer が設立したイーグルペンシルカンパニー/Eagle Pencil Company を表します。
その名のとおり、鉛筆メーカーとして会社を設立した1856年、ニューヨーク市に鉛筆店、同じニューヨーク州のヨンカーズに製造工場をオープンしました。
1864年にロンドン事務所を開設、以後同社は事業を拡大、1900年代に入るとより大きな拠点を必要とし、新たなオフィスや工場を、メキシコやカナダなどに開設し、世界最大メーカーと紹介されたこともありました。
長年にわたり、イーグルペンシルは多くの鉛筆を生産しましたが、1958年ニューヨーク工場を閉鎖、1969年に英国のベロール/Berol Corporation に吸収されました。
ベロールは、イーグルペンシルよりも先んじて1845年に設立された英国の文房具製造会社でしたが、1995年に、ラバーメイド/Rubbermaid で有名な米国のニューウェル・ブランズ/Newell Brands の一部門であるサンフォード・L・P/Sanford L.P.に買収され、2010年に最後の工場が閉鎖されるまで子会社でした。以後、ベロールは輸入製品のブランドとして存続しています。
このような背景をもつ、イーグルペンシルの名が刻まれた製図/測量器具。
「 PAT.APPD.FOR 」 (特許出願済み)とも刻まれ、恐らく「こんな便利器具があったらいいな」から、当時のエンジニアの創意工夫によって生み出されたハイブリッド器具として、20世紀前半に開発、製造されたものと思われます。
現代においても、ステンレス製の進化した類似器具はありますが、基本的な機能は100年前から変わっていません。
使ってみたら、その実用性と便利さに感動さえ覚える、米国アンティークの傑作を是非お手元でお役立てください。
◆米国
◆推定製造年:c.1900~1920年代頃
◆素材:真鍮
◆サイズ:幅約9.55cm 全長約20.0㎝ 定規長さ約15.2cm(6インチ)
◆重量: 24g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に微細な傷や汚れ、金属部の経年変化等がみられますが、動作は正常で、とても良い状態です。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A