英国ヴィンテージ、ミニチュアのキッチンチェア。
キッチンチェアとは、文字どおりキッチン等で使われてきたチェアのこと。
素材はビーチ材やエルム材などが多く、座面は木でできており、座り心地が良いように緩やかな曲面に仕上がられています。
脚は挽き物が多く、脚間にはストレッチャー(貫)が渡され、丈夫で長持ちするようなデザインのものが多いようです。
ヴィクトリアンのお屋敷には、館の主人家族が使う上質なウォールナットやマホガニーのサロンチェアもあれば、使用人が裏方で使うキッチンチェアもありました。
チェアはその姿によって、使う場所や使う人間が異なるものであったです。
今回ご紹介するのは、そのキッチンチェア。
実用的なチェアとはいえ、細部は驚くほど凝っています。
トップレイルの両端はくるりと丸くなっていて、柔らかな手触り。
木の座面は緩やかな曲面となっていて、座っていてもお尻がいたくなりません。
脚は挽き物で、ストレッチャーまで意匠が施されています。
そしてそのどれもが、ごくごく小さくできていて、小指の爪先ほどの太さもない脚をみるたび、その細工に驚嘆してしまいます。
持論ではございますが、英国アンティークのミニチュア家具は数種類に分けられます。
1:子供のおもちゃ(おままごと用)
おもちゃとしてつくられたため、作りはそれほど精巧ではなく、若干デフォルメされていることが多い。 子供が遊んできたため、状態が良いものは少ない。
2:ドールハウス用
おもちゃの一種ではあるが、大人も愉しむため、作りは精巧。芸術的なものも多い。ただし、基本的には1/12のサイズ。(1924年のメアリー女王のドールハウス以降)
3:なにかの用途として
ミニチュア家具の形をとりながら、実は小物入れだったり、ソーイングボックスだったりするもの。かなりな嗜好品の為、価格はピンキリだが、高いものは驚くほどの高額となる。
4:家具屋のサンプル
カタログとともに、サンプルとして馬車に積み、お客様の元へ売り込みに行くための物。作りは精巧で緻密。数はそれほど多くなく、良い状態で現存しているものはかなり高価。
5:作り手の試作品
可動式のものの動き方や、木組みの状態、バランス等をみるため、職人が試作品として作るもの。こちらも数はそれほど多くなく、高値がつくことが多い。
個人的にミニチュア家具が好きなこともあり、今まで様々なものをみてきました。
多くは上記の5つのカテゴリーに分けられます。
さて、今回ご紹介するキッチンチェアはどれでしょうか?
・・・私の推測としては、「5:作り手の試作品」の一種。
裏面をみれば、「W.B」という文字が彫られています。推測ではありますが、おそらくはこれは家具好き、手仕事好きなW.B氏の「趣味」のひとつとして製作されたのではないかと思われます。
ミニチュア家具好きの方にぜひ。
そして、英国アンティーク家具は好きだけど、置く場所がない・・!という方にも。
そこに在るだけで、小さなエルフの存在を信じたくなるような1脚です。
◆England
◆推定製造年代:c.1960-70年頃
◆素材:木(おそらくマホガニー材の一種)
◆サイズ:幅約7.1cm 奥行き約6cm 高さ約11.5cm
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、多少の汚れや小傷などがみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承のうえ、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A