英国ヴィンテージ、1941年発行の「ドリトル先生月へ行く」。
ドリトル先生。
誰もがその名前に聞き覚えがあるのではないでしょうか。
作者であるHUGH LOFTING/ヒュー・ロフィティング(1886-1947)は、イングランドで生まれ1904年には渡米した人物。
土木技師を目指し、マサチューセッツ工科大学に入学しますが、中退して英国へ帰国。その後またアメリカに渡り、第一次大戦には英国軍に志願し戦地へと赴きます。
この時負傷した軍用馬が治療も受けられないまま銃殺される光景に心を痛めます。
そして自分の2人の子供に宛てた手紙に、自身が創作した動物語が話せる医師の話を挿絵付きでしたためたのが、ドリトル先生シリーズの始まりです。
その後1920年にアメリカで発刊されたのが、「THE STORY OF DOCTOR DOLITTLE/ドリトル先生の物語=邦題ドリトル先生アフリカゆき」。
博物学者・医学博士であるDr.Dolittle/ドリトル先生は、もともと人間のお医者さまでしたが、ひょんなことから飼っているオウムから動物の言葉を教えてもらいます。
すっかり動物語が話せるようになったドリトル先生のもとには、沢山の動物たちが訪れるようになりました・・・。
19世紀末のイングランド南部の田舎街パドルビー(架空の場所)を舞台に繰り広げられるお話は、やがてアフリカへと広がっていきます。
1922年に英国でも発刊され世界的に人気となり、シリーズ化され、全12巻に加え番外編まで発行されていきます。
日本では「THE STORY OF DOCTOR DOLITTLE」は、1941年に井伏鱒二訳によって「ドリトル先生アフリカゆき」として発刊されました。
何度も映画化されており、直近では2020年に「Dolittle(邦題ドクター・ドリトル)」としてロバート・ダウニー・Jr主演にて公開されています。
なお「ドリトル先生」という呼び方ですが、もともとの「Dolittle」には「わずかな働き=少ししか働かない=怠け者」の意味があります。
日本において英語をカタカナで表記するならば(?)「ドゥーリトル」もしくは「ドゥーリットル」となり、そのように訳された時期もあったようですが、子供が発音しやすいようにということで訳された井伏鱒二の「ドリトル」が主流となっています。
今回ご紹介する本は、第8作目である「DOCTOR DOLITTLEIN THE MOON」。
巨大な蛾に乗せられて未知の世界である月へ連れて来られたドリトル先生が、月の低い重力により巨大化した生物をみて驚嘆し、おしゃれなユリとの会話に成功し、月の生き物たちとの交流を深めていく...という内容。
この月シリーズは3部作で、この巻はそのうちの中編となっています。
アメリカでは1928年、英国では1929年初版。この本自体は英国の第7版で、1941年に発刊されています。ちなみに日本では岩波少年文庫より井伏鱒二の訳により1955年に発刊されました。
ヒュー・ロフィティング自身によるものである味わい深いイラストが巧みに配され、アールデコの薫り漂う装丁が嬉しい、見どころが満載の一冊。
現在でももちろん新旧問わずに手に入れることができる一冊ですが、この装丁のものは古書ではないと手に入らないと思われます。
世界中で愛され続ける、ドリトル先生の物語。
浪漫溢れる1冊を、古い英国の装丁のもと、是非お手元でご鑑賞ください。
◆England
◆推定製造年代:c.1941年
◆素材:紙
◆サイズ:約14.7×20.4cm 厚み約2.7cm
◆重量:516g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、破れや変色、シワ、書き込み等がみられます。
*カバーは傷みがあるため、部分的に裏打ちされています。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A