英国アンティーク、顕微鏡用スライド(プレパラート)用木箱。
英国南部の町にある、一階の暖炉がいつも燃えているアンティークセンター。
迷路のような部屋を抜けてたどり着いた一番奥の小部屋には、観測機器やコンパス、顕微鏡や地球儀など私たちの大好物が詰まった部屋となっていました。
品物1点1点も素敵ですが、その部屋にいるだけで幸福を感じるような空間。大喜びで(手が届く範囲のものを)いくつか手に入れたのですが、今回そのうちのひとつをご紹介いたしましょう。
マホガニーの無垢材を組み合わせて作った平たい木箱。上部の蓋をスライドさせると、中には細かい溝が切られた側板で仕切られた部屋がふたつ。どうやら、小さな平たい物を立てて収納できるようになっているようです。
そう、これは顕微鏡のスライド(プレパラート)用ケースです。
まず、「プレパラート/Praparat」とはドイツ語で、観察対象(試料)を検鏡可能な状態に処理したものをいいます。つまりガラスだけではプレパラートとは呼びません。そして英国ではプレパラートのことは単に「slide/スライド」とよびます。
英国において顕微鏡用のスライドは1839年以降、ほぼ3×1もしくは3×1.5インチとなっており(特別なものは除く)現在でもこれは変わらないようです。ちなみに現在日本で一般的に手に入るスライド(プレパラート)は7.6×2.6cmですが、これはもともと3×1インチからきています。(3インチ=7.62cm 1インチ=2.54cm)
また、今回は参考までに在庫の携帯用顕微鏡とスライドを一緒に撮影しましたが、このスライドは特別に小さなもののため、この木箱では立てることが出来ませんでした。
このスライド用ボックスの仕切りは、ちょうどこの3×1インチのスライドが収納できるようにつくられています。ただ、かなり古いため木が反ってきており、ひょっとして数か所は狭い場所があるかもしれません。その際はどうかご容赦ください。
材は前述のとおり、緑の黄金と呼ばれた木材、マホガニー。マホガニーならではのゴールドを秘めた杢目が浮き出ている箇所もあり、杢目の深みを鑑賞するお愉しみもございます。作られた時代は古く、ヴィクトリア時代半ばから後半と推測いたします。
かつてどんな紳士がこの木箱を使っていたのでしょうか。沢山の試料を集め分析し、スライドに仕立ててコレクションする。日がな一日、顕微鏡を眺めることに悦びを覚えるタイプだったのかもしれません。
そんな風に顕微鏡やプレパラートを愛するコレクターの方にはもちろん、文具や工具用の入れ物としても最適。試しに写真では定規を入れてみました。厚紙や板で仕切りを立て、小物を収納するのもよろしいかもしれません。
確かな材と浪漫溢れるストーリーを感じる、英国アンティークの逸品です。
◆England
◆推定製造年代:c.1860-1890年代頃
◆素材:マホガニー材
◆サイズ(外寸):幅約35cm 奥行き約20.2cm 高さ約3.5cm
◆サイズ(内寸):「約7×33.7cm 深さ2.6cm」が2部屋
◆重量:576g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、割れや反り、アタリや変色等がみられます。
*2枚ある蓋のうち1枚は割れた物を補修してあります。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A