英国アンティーク、フレーム入り天使のプリント。
英国のアンティークフェアで手に入れた、こぶりでスリムなフレームのご紹介です。
まず、フレーム自体はギルドフレーム。
ギルドフレームとは、基本的には木をベースに、石膏などの素材で型どりをしたものを乗せて装飾する方法で、古くから額縁等で使われている伝統技法です。その上に金箔や銀箔、ブロンズなどで仕上げたものを「gilt/ギルト/ギルド」とよび、様々なバリエーションがみられます。材質的に経年変化でひび割れることが多く、衝撃によって剥落することも多々ある仕上げではありますが、樹脂などではあり得ない、歳月と人の手を経て傷んだ景色もまたお愉しみいただける、アンティークならではの雰囲気を持っています。
今回のお品物も、古いギルドフレームにありがちな、飾りの欠損が少々みられます。
中に納められているのは、三人の天使・・・いえ、羽を持っているのは後ろの二人で、中心の刃部値は羽は無く、光輪のみなので、ひょっとして天使ではないのかもしてません。それでも、すらりと美しいたたずまいとはっきりとした光輪が聖なる存在として表現されていることを感じさせます。
そして広げているのは以下のように書かれた書。
ET VERBVM CARO FACTVM EST ET HABITAVIT IN NOBIS
これはラテン語で「そして、言(ことば)は肉となり、私たちの間に宿られた」という意味です。
出所はヨハネ福音書1章14節の一節。
クリスマスの際に読まれることも多い言葉で、「言」とは、ここでは天地創造の前からいたキリスト自身を指しています。「肉」という言葉は「肉体をもった人」という意味です。つまり「キリスト(神)は肉体をもった人となり、私たちの間に共に住まわれた」という意味となります。すなわち、キリストは「神が人となった」存在であり、「人が神となった」のではない、ということを説いています。
背面には以下の文字のラベルが貼られています。
From MOWBRAY'S
Ecclesiastical Warehouse
OXFORD
この「MOWBRAY'S」とは「A. R. Mowbray & Co」のことと思われます。
「Alfred Richard Mowbray/アルフレッド・リチャード・モウブレー (1824-1875)」によって1858年に設立されたオックスフォードに拠点を置く教会家具および宗教書籍販売会社で、1873年にロンドン支店を開設しています。教会家具の製造は1969年にJ.ウィッペル社に引き継がれたようですが、書籍販売はその後も続いていたようです。
今回のお品物はおそらくヴィクトリアンの後半、1870から1890年くらいのものではないかと推測いたします。
背面の紙には破れが見られ、斜めから見ると向こう側が見えてしまうときもありますが、後ろの材は釘で止めてありますので、今のところ外れる心配はなさそうです。背面の雰囲気もとても良い感じなので、このままのご紹介とさせていただきます。吊り金具はしっかりとしていますが、紐はだいぶ古くなっておりますので、吊る場合は紐だけ変えていただいたほうがよろしいかもしれません。
こぶりでスリムなフレームは、お部屋のワンポイントに最適。
そしてそれがヴィクトリア時代から来たものであれば、さらに得難い空気を纏い、唯一無二の空間を作り出してくれることは間違いございません。
どこか清冽な雰囲気を持つ小さく古いアートを、コレクションしてみてはいかがでしょうか。
◆England
◆推定製造年代:c.1870-1890年代頃
◆素材:木、ガラス、紙、石膏、他
◆サイズ:高さ約24.8cm 幅約11.6cm 厚み約2.8cm
◆重量:306g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、材の欠けや紙の破れ、シール跡などがみられます。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A