英国アンティーク、スターリングシルバーがポイントでついた大曲ステッキ。
マンチェスター近郊で行われていたアンティークフェア。
初めて訪れたフェアは、車のGPSに従っていけば、Aロードからかなり入った田舎道の先にありました。
駐車場は一面の草地で、申し訳程度のひも状の柵の向こうには、羊の群れがじっとこちらを見つめていました。普段はきっと彼らの場所なのでしょう、草地にはたくさんの彼らの落し物が転がっていました(苦笑)。それらをよけつつゲートまでたどり着き、広い広いグラウンドで始まったアンティークフェアへ入場です。
その中で、品の良い紳士が営む広めのストールで見つけたステッキのご紹介です。
シャフト部分は木製ですが、ほぼ黒といえる色味に塗装されています。石突近くにわずかに塗装の剥げがみられますが全体としては非常に良いコンディションといえるでしょう。重さは約335gとステッキとしてはかなり重め。ずっしり、しっかりとした手ごたえです。
ポイントはクラウンとカラーに取り付けられたスターリングシルバー。唐草と無地が交互に配されたお洒落なデザインで、ライオンパサント、ロンドンの豹、デイトレターの「O」が確認できます。これで1929年にロンドンのアセイオフィスで認可をうけたスターリングシルバーであることがわかります。
メーカーズマークはやや読みにくいですが「K & S Ld」そして「KENDAL」の文字が確認できます。これは「Kendall & Sons Ltd」のこと。1870年 Leicesterにて創業、その後事業を拡大し、傘やレインウェア等を中心に製造していました。特にケンダルの傘は高い評価を受けており、その技術を使って第二次大戦中はパラシュートの製造に係わります。やがて1977年には他社に買収され、最終的には服飾ブランド「NEXT」に吸収されたようです。
最後に石突(フェルール)。
一般的に英国アンティークのステッキの石突は金属製カバーのものが多いのですが、今回のものはややすり減ってはいるものの水牛の角が使われています。水牛角石突は、ステッキの高級仕様として好まれてきた仕上げのひとつ。現代のステッキ専門店でも、スペシャルな品物や高級オプションとして、選べるようになっているところもあるようです。
使用していれば当然すり減ってきますので、交換しながら使う、という贅沢が許される人だけのお愉しみ、といえるかもしれません。持ち主がいかにこのステッキを大切にしてきたかが、伝わってくるようです。
このステッキが作られた1929年と言えば、1918年に第一次大戦がおわり、主戦場であったヨーロッパ各国が苦しんでいた時代。そしてアメリカで始まった世界恐慌がヨーロッパにも大いに影響を与えた年でもあります。
そんな時代につくられた、黒系のシャフトに、スターリングシルバーをもつステッキ。政治経済の荒波が押し寄せるロンドンで、町を歩く英国紳士が手元に置き、大いに頼りにしていたであろう様が目に浮かびます。
今の時代にも、きっと貴方を支える力となってくれる端正で硬派なひとふりを、お届けいたします。
◆England
◆London/KENDALL
◆推定製造年代:c.1929年
◆素材:木・スターリングシルバー
◆サイズ:長さ約89cm グリップ幅約11.8cm
◆重量:335g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、塗装の剥げ、アタリや擦れ、変色等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*やや重めでがっしりとしています。体重をかけてもほとんどしなりません。
*ご使用時には滑りどめのゴムキャップ等を嵌めることをお勧めします。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A