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Sunday

リンドウと葡萄に囲まれて / Antique Brass Letter Opener

フランス・アンティーク、見事な持ち手のレターオープナー。














英国中部のアンティークフェア。

古い歴史ある街の中央には美しい川が流れており、そこにかかる石造りの橋が街の名物になっています。
その河川敷の芝生で年に数回行われるフェアは、それほど規模は大きくないものの、こだわりのディーラーが軒を並べるフェアとして
スケジュールが合えば必ず訪れる場所となっています。


そこに来ていた、フランスから来たという髭面が印象的な親爺殿。
一見怖いけど、話出せばどんどん話題が広がっていくタイプでした。
「日本から来たのか?俺の母親は日本で教師をしていたんだ!」

そんな親爺殿か譲り受けた、沢山のフランス・アンティークのなかのひとつが、今回ご紹介するレターオープナーです。

「これは古い。古いよ。19世紀、1880年代頃かなあ。英国ではヴィクトリアンだけどね。」


まず初めの印象は「大きい」でした。
長さは25cm弱。レターオープナーとしてはかなり大きい部類でしょう。

その大きさだけに、存在感が際立ちます。
持てばその重みと、長年使われてきた金属がもつ、固い中にもどこか柔らかく手になじむ質感に驚きます。


そして、なによりもその美しい意匠。
トップにあしらわれた可憐な花はリンドウのように見えます。

リンドウというと日本の花、というイメージがありますが、リンドウにも沢山の種類があり、例えば「チャボリンドウ/Gentiana acaulis」は
アルペンローゼ、エーデルワイスと並び「アルプス三大名花」と言われております。

また、リンドウの英名「Gentiana(フランス語Gentiane)」は、紀元前180-67年、イリュリア(古代ギリシア・ローマ時代に現バルカン半島の西部にあった王国)の王であったジェンテウスの名前が由来。当時、領民がペストに苦しめられた時、王は山野にわけ入り神に祈りました。「どうか特効薬をお教えください」そう言って矢を放つと、リンドウの根にささり、それ以来薬用に用いられたといいます。



また、下のほうにあるのは、葉からして葡萄でしょう。
葡萄はワインづくりに無くてはならない果実であり、また沢山の実がつくことから、古代から豊穣の象徴でもありました。


そして、中心には、ドーム状に中央が少し盛り上がった、神秘的なオーバル・シェイプ。


ヨーロッパの伝統的な文様に「エッグ&ダーツ」というものがあります。
卵型(時にオーバル)が連なり、その間にダーツ(矢じり)をあしらった連続文様です。
古代ローマ時代から見られ、エッグは女性、ダーツは男性を意味し、繁栄や発展を意味するモチーフとして建築や家具などに用いられてきました。


このレターオープナーのオーバルは、そのエッグ&ダーツの卵をイメージしたのか、はたまたカルトゥーシュのようにモノグラムを刻むための舞台として設置されたものなのか。鈍い金色を反射させるオーバルは、リンドウと葡萄に囲まれ、なにを映し出しているのでしょうか。


ヨーロッパの歴史あるモチーフを優雅に納めた逸品を、140年近く前のフランスから、今貴方にお届けいたします。


◆France
◆推定製造年代:c.1880年代頃
◆素材:真鍮
◆サイズ:長さ約24.8cm 幅約4.5cm 厚み約0.7cm
◆重量:168g
◆在庫数:1点のみ


【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。


アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
こちらのバナーからご来店いただけます。

https://toddlowrey.com/?pid=143998029


Todd Lowrey Antiques
by d+A