フランス・アンティーク、鳥を頂いた小さなスタンドミラー。
イングランドのアンティークフェア、白いテントの下。
フランス・アンティークを扱う上品なマダムの手元にこの鏡はありました。
一目見て欲しくなり、手にとればもう買わずにはいられない・・・そんな魅力的な逸品。
「素敵でしょう。19世紀後半のものですよ。」
フランス語なまりの英語で話すマダム。
「本当ですね・・・ベストプライスをお願いします!」
と口走っておりました。
手に入れてゆっくり見れば、トップの鳥は鷲等の猛禽類かとも思いましたが、それにしては尾が長いのです。
おそらく、これは鵲/カササギ。
英語では「Magpie」、フランス語では「Pie」。
カササギの生息域ははとても広く、北米の一部から日本、アジアから大陸を横断してヨーロッパ、英国まで幅広く確認されています。
とても賢い鳥であることから、イソップ寓話「孔雀とカササギ」では、鳥の王に名乗り出た孔雀を慇懃無礼に言い負かす様が表現されています。
ヨーロッパにおいてカササギから連想されるイメージを並べてみました。
Social 社交的
Flashy 派手
Willful わがまま
Refined 洗練された
Illusion 幻影
Expressive 表現に富む
姿が美しく、よく囀り、賢いことから生まれたイメージでしょうか。
一方でカササギにはこんな伝説もごさいます。
幸田露伴の「金鵲鏡」より、中国の古い伝説で、鏡が化して鵲となり夫のもとに飛び去ったというものがあり、これに由来し、鏡の裏にカササギを彫るという習慣があったそうです。また、「鵲の鏡」は「月」の異称としても知られています。
中国の古い伝説であれば、大陸を渡ってヨーロッパに渡った可能性は十分に考えられます。どこかでそんな話を耳に挟んだ人間が、ヨーロッパにおいてのイメージ「社交的で派手」から「鏡を見ることが好き」、そしてカササギへとつなげ、鏡の意匠としたのかもしれません。
そんなカササギの鏡。足先はライオンの脚先をモチーフとしたパウフィートです。
これは18世紀頃から家具などで人気だった意匠で、交通が発達しヨーロッパの富裕層がアフリカやアジアへ旅行に行けるようになり、ライオンなどを狩る愉しみが始まったことから、人気になったといわれています。
異国の生態の珍しさ、百獣の王の力強さなどが相まって、憧れの象徴のようになったのではないでしょうか。
力強いパウフィートで立ち上がったスタンドの上には、月の光を思わせる鵲の鏡。
たっぷりと厚いガラスに面取りを施し、トップには羽を広げ、誇らしげに羽を広げたカササギがとまっております。
東洋と西洋、そして南洋までの人の流れと伝説でつながった細い糸。
その上に立つように、すらりと佇む鵲の鏡は、今何を映すのでしょうか。
どうぞ貴方ご自身でお確かめください。
◆France
◆推定製造年代:c.1880年代頃
◆素材:ブロンズ・鏡・紙
◆サイズ:幅約12.6cm 奥行き約7cm 高さ約16.8cm
◆重量:155g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色がみられます。
*ミラー背面の紙には少し破れがみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*ミラーの角度は変わりません。折りたたみは出来ません。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A