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Monday

小さなパティとブラウニーの物語/ Antique Book "PATTY AND BROWNIE"


可愛らしい装丁の、英国ヴィクトリア時代の古書。




















イングランド北部の街のアンティーク・フェアで手に入れた小さな1冊の本。


タイトルは「PATTY AND BROWNIE」。
パティという女の子と、ブラウニーという名の子猫の物語です。
(表紙の絵は何故か女の子と子犬なのですが・・・)


まず、表紙を開くと、「LITTLE DOT SERIES」「SIX PENCE EACH」という文言が目に入ります。「リトルドット・シリーズ」という文庫本シリーズのようなものがあり、それらはみな1冊6ペンスです、という内容。出版社の宣伝の一環のようです。

ヴィクトリア時代中期、「1冊6ペンス」って、どのくらいなのでしょうか?

ちょっと例をあげてみましょう。

1842年発刊の「ザ・イラストレイテッド・ロンドンニュース」という挿絵入りの週刊新聞が当時1部6ペンス。
1886年コナン・ドイル執筆、シャーロックホームズ「緋色の研究」に登場するジョン・ランス巡査は「4ペンスのジン・ホット」が大好物。

今回の本は1891年頃ですが、ヴィクトリア時代の物価変動はたいそう緩やかでしたので、例としてあげた2点とそう変わらないと思われます。
なので、ちょっと贅沢めの新聞と同じくらい、そしてお酒の入った温かい飲み物よりは高価・・・ということで、現代日本の感覚でいえば500円以上、1000円以下、といったところなのではないでしょうか?


さらに頁をめくれば、インクの跡も鮮やかに文字が書かれています。

Presented to
Jane Ann Braithwark(?)
by the
United Methodist Free
Church Sunday School
Sandford May 3rd 1891


1891年3月3日、サンドフォードのメソジスト教会(プロテスタントの一派)サンデースクールにて
ジェーン・アン・ブライスワーク(?)へ贈られた・・・という意味。


サンデースクール(日曜学校)とは、子供の信仰教育を目的として教会で日曜日に開く学校の事。
英国で18世紀に始まったといわれています。


また、Sandford/サンドフォードは、イングランドのサマセット州、そしてブリテン島南部のワイト島にもある地名。
ただ、「United Methodist Church」があったのは、どうやらワイト島のようです。
Shanklin Roadに同名の教会と思われる古い建物があるようですが、現在機能しているかどうかは不明でした。


ヴィクトリア時代後期、ワイト島の小さな教会で行われていたサンデースクール。
そこに通っていたジェーンに贈られた1冊の本。
それが、この「PATTY AND BROWNIE」。



多くの子供たちが読み、そしてジェーンが自分の家で更に何度も手に取ったであろう小さな本は、一部ページが破れ製本も少し傷んでおります。
それでも、可愛らしい表紙や巻末につけられた様々な本の広告絵は美しく、当時の子供たちの胸を躍らせるのに十分な華やかさに満ちています。


今度は、ぜひ貴方の手元に。
ヴィクトリア時代の子供達のわくわくした気持ちを、小さな本から感じてください。



◆England
◆推定製造年代:c.1890年代頃
◆素材:紙
◆サイズ:幅約10.7cm 高さ約15.2cm 厚み約1cm
◆重量:110g
◆在庫数:1点のみ


【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、書き込み、ページの破れや変色、製本の傷みがみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。



アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
こちらのバナーからご来店いただけます。




Todd Lowrey Antiques
by d+A