英国アンティーク、マザーオブパールとシルバーのハンドルを持つルーペ。
どんな場面でも、使い始めてみるともう手放せないツールのひとつ、拡大鏡。
それがアンティークの、しかも銀製品であれば、美しさと機能、そしてクオリティのすべてを満足させるひとつの究極といえます。
今回ご紹介する拡大鏡は、シルバーのバンドを上下に従えた、マザーオブパール/Mother Of Pearl の持ち手が印象的で、お互いが白く美しい光沢を放つ、とても相性の良い組合せといえましょう。
マザーオブパールは、白蝶貝などの体内で真珠を育む母貝のことで、その母貝の内側、真珠層を削り出して使用しています。その真珠層は幾千層もの積層部分で光が乱反射し、その奥底から光がにじむような照りが生まれ、奥行きのある深い光沢と、しっとりとした"光の肌触り"が堪能できます。
英国アンティーク・シルバーにはホールマークを読み解く愉しみがつきものですが、この拡大鏡のフェルール/ferrule と呼ばれるシルバーの継ぎ手に、数個のホールマークをみることができます。
菱形の中央にRMとEHの刻印はメーカーズマークで、このマークは、マーティン・ホール・アンド・カンパニー/Martin, Hall & Co (Richard Martin & Ebenezer Hall) によって、1880年、 英国シェフィールドのアッセイオフィスに登録されました。
同社の起源は、ウィルキンソン&ロバーツ/Wilkinson & Roberts として、ヘンリー・ウィルキンソン/Henry Wilkinson とジョン・ロバーツ/John Roberts が、1820年に英国シェフィールドで交わしたパートナーシップが始まりです。その後、1836年にウィルキンソンは事業を去り、1846年にジョン・ロバーツはエベネザー・ホール/Ebenezer Hall を迎え、 ロバーツ&ホール/Roberts & Hall と名称が変更されました。
そして、エベネザー・ホールの兄弟であるジョシュア・ホール/Joshua Hall が、新たにリチャード・マーティン/Richard Martin とのパートナーシップを1854年に締結したことによって、マーティン・ホール・アンド・カンパニー/Martin, Hall & Co というスタイルとなり、1866年に株式会社となりました。
同社は、スターリングシルバーと電気メッキのアイテム、特許を取得したホワイトメタルでの生産などを加え、シェフィールド、ロンドン、シドニー、バーミンガム、グラスゴーなどで幅広く活動し、1851年の大展覧会、国際化展(1862年)、シドニー展(1879年)、メルブーネ展(1881年)、1915年の英国産業見本市に参加しましたが、第一次世界大戦後、会社は清算に入り、1936年に登録を取り消されるまでに、事業は他社へ売却されたと言われています。
メーカーズマーク隣に3つの刻印がありますが、左のクラウンのマークは、1975年まではシェフィールドのシルバーを示すもので、真ん中はスタンダードマークのライオン、そしてシンプルな大文字の「R」のデイトレターマークは、1884年にシェフィールドのアッセイオフィスで認可を受けたシルバーであることを表しています。
なお、レンズ部分は後年に付け替えられたものであると思われます。金属製のレンズ枠は太いものもありますが、このお品物はごく細いレンズ枠で仕上げられています。直径約5cm強、倍率約5倍のレンズはコンディションもよく、傷はほとんど見えませんので、十分にお使いいただけることと思います。全体長さは約15cmほどで、ハンドルはとても握りやすく、扱いやすい大きさといえます。
100年を超えても、変わらないシルバーの輝きとマザーオブパールの人肌のようなしっとりとした質感。
いつまでも変わらない価値をもつ、母なる貝の愛情が詰まった実用的な英国アンティークのひと品です。
◆England
◆推定製造年:c.1884年
◆素材:ガラス・金属・シルバー・白蝶貝
◆サイズ:全長約15.3㎝ 幅約5.1cm 持ち手部分最大幅約1.4cm
◆重量:45g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に微細な傷や汚れがみられますが、ガラス部分に目立つ傷はなく、とても良い状態です。
*レンズ部分は後年に付け替えられたものと思われます。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A