英国アンティーク、銀メッキのヴェスタケース。
ヴェスタとは、マッチの一種。日本語訳では「ろうマッチ」となります。
ローマ神話に登場する女神 Vesta(ウェスタ) がその名の由来で、竈(かまど)の神をさします。火を囲うためのかまどが家々に必ず備わっていることから転じて、家庭や結婚の守護神とされています。
現在日本で一般に使われているマッチは分離型の「安全マッチ」で、1855年にスウェーデンで開発されたもの。赤燐を主体とした薬品が塗布された面でこすることにより発火し、そこ以外では発火しません。一方で、どこにでも強くこすれば発火する「摩擦マッチ」もあり、こちらのほうが歴史が古く、最初に成功した摩擦マッチは1826年に登場し、より安全な材料に改良しながらも作り続けられています。それが、「ヴェスタ/ろうマッチ」です。
古くから煙草や葉巻を点けるために使われていたのは、このタイプ。そのため、そのマッチをいれておく意匠を凝らした「ヴェスタケース」が多く製造され、ほとんどがマッチをするためのギザギザした箇所を備えていました。ヴィクトリア時代前半から使われはじめられ、特にエドワ―ディアンには大人気となり様々な形が作られました。
今回ご紹介するヴェスタケースは、英国ヴィクトリアン、銀メッキ仕上げのお品物。
小さめのフラットな躯体で、表面には手彫りの柄が施されています。本体上部にはいくつかのマークが打ち込まれています。だいぶすり減ってはおりますが「H J & Co」と読むことが出来ます。
「HJ&Co」とは「Howell, James & Co」のこと。 James Howell によって1865年から始まったシルバースミスです。ロンドン、リージェントストリートに居を構え、1911年まで続いたとされています。このヴィスタケースは19世紀後半、1880年代頃のお品物と推測いたします。銀メッキではありますが、しっかりとした作りを持ち、丁寧な装飾が施された良いものと思います。
本来の用途のとおり、ろうマッチを入れてお使いいただいたり。小さくて薄いので、ペン先などの小物を入れておくのも良いかもしれません。
そしてなによりも、1世紀以上を経てまろやかな触り心地となった銀色の躯体を、手のひらで包み込む快感を是非ご体感ください。
◆England
◆推定製造年代:c.1880年代頃
◆素材:金属に銀メッキ
◆サイズ:幅約3.7cm 高さ約5.4cm 厚み約1.1cm
◆重量:34g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色、凹み等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*開閉はスムーズです。特に安定して蓋を閉めておくためのロック機構はございませんが、蓋を閉めた状態で逆さまにしても開きません。
*現行品のろうマッチはサイズが合わない可能性がございますので、マッチの軸をカットする必要があるかもしれません。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A