英国アンティーク、鍵付木箱入り製図セット。
格別に美しいヴィクトリア時代の製図セットのご紹介です。
まずは艶めく木箱から見てみましょう。表の材は銘木ローズウッド、内張は緑の黄金と呼ばれたマホガニー材。蓋の「ヴェイカントカルトゥーシュ/Vacant Cartouche」と鍵回りの飾りはシックな真鍮製です。
蓋を開けば蓋裏は紫色のシルク張りで、中には真鍮色が美しい製図セットがおさめられています。箱は2重底になっており、下には真鍮の分度器、木製の三角定規が1セット、そして黒檀と真鍮で出来た平行定規、そして説明書が入っています。
製図道具は基本的に真鍮製、一部には銀色の部分もございますので、必要に応じて合金と組み合わされていると思います。烏口の白い柄はボーン(骨)でしょう。細い鉛筆が入っている部分もありますが、凹み部分は全て埋まっており、英国買い付けそのままの状態でご紹介しております。
残念ながら箱や製図道具自体にメーカー名はみられませんが、二重底に納められていた分度器の説明書きに、こんな名前をみつけました。
EYRE & SPOTTISWOOD LONDON
「エア&スポティスウッド」は1739年に設立された印刷業者及び出版社のこと。
当初はWilliam Strahanウィリアム・ストラハンとCharles Eyreチャールズ・エアの合弁事業(Eyre & Strahan)でしたが、後にウィリアム・ストラハンの息子アンドリューの甥であるアンドリューとRobert Spottiswoode,ロバート・スポティスウッドが提携した後、エア&スポティスウッドとして知られるようになったとされています。
参考:ブリティッシュミュージアムのサイト
Eyre & Spottiswoode Ltdの頁
https://www.britishmuseum.org/collection/term/BIOG184767
長い歴史をもつ同社は、1767年から「キングスプリンター/King's Printer」として特許状をもち、公認版聖書および共通祈祷書を印刷、出版、輸入するほぼ独占的な権利を有していたほどの「特別な印刷業者」だったのです。
エア&スポティスウッドが製図道具を製作していた訳ではないと思いますが、老舗の由緒正しい同社が製作した説明書きを入れるほどに、クオリティの高い製図セットである、と言えるかと思います。
また、今回ご紹介するような黒檀と真鍮で出来た平行定規は「Parallel Naval Ruler」ともよばれます。「Naval」は「海軍」の意味で、海図を読むときに、このタイプの平行定規を使っていたことからの名前とされています。
真鍮のコンパスは手を触れれば切れそうなほど(比喩です)エッジが立っており、使う者の気持ちを正すような威厳に満ちています。
以前当店が製図機器をご紹介するときに「描くための楽器」とご紹介したことがありました。(「Drawing instrument」の「instrument」は日本語に訳すと第一候補は「楽器」となるため)その意味では、今回はまさに「描くためのフルオーケストラ」といえるのではないかと思います。
「図面を描く」ことの大切さを知っている方へ。
英国ヴィクトリアンの技術者が使っていたであろう当時最高級ともいえる美しいセットは、貴方の力強い守護神となってくれると思うのですが、いかがでしょうか。
◆England
◆推定製造年代:c.1850-1890年代頃
◆素材:木(ローズウッド、マホガニー、黒檀)、紙、真鍮、他
◆箱外形サイズ:幅約18.2cm 奥行き約11.6cm 高さ約4.6cm
◆総重量:492g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、材の欠け、変色等がみられます。
*箱前面にはインクのトビ、および底面にはインクの染みがみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*鍵は施錠可能ですが、古いお品物なので頻繁な施錠はお勧めいたしません。
*三角定規は2枚ありますが。1枚は端が欠けています。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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by d+A