英国アンティーク、折りたたみ式リネン検査器。
当店で何回かご紹介しているリネン検査器。
それは、リネン織物の糸の密度や状態などを検査、検定するための顕微鏡(拡大鏡)のこと。
この機能を有するものは「Linen Tester/リネンテスター」あるいは「Thread Counter/スレッドカウンター」という呼び名の折りたたみ式置き型ルーペとして現代でも活用されています。拡げるとコの字型になり、生地の上に直接置いて、1インチ角の正方形の開口から見える生地の状態を、円型のレンズから覗き込むかたちが最も一般的です。
このリネンテスターの原形は19世紀初頭まで遡ります。初期のリネン検定器/検査器は「Pillar Type Linen Prover」と称する、2本の小さな柱で支える最もシンプルな形状で、標準化された開口部ではなく小さな丸穴が開いているだけでした。ただ、折りたたみ式モデルも1840年代には登場しており、紳士のウエストポケットに仕舞えるように、折りたためるように作られたと言われています。
さて、今回のモデルをよく見てみましょう。
構造体である無垢の真鍮は、しっかりと重量感があり、3枚を繋ぐヒンジもいまだ堅牢で、品質の高さがうかがえます。表面は、パーツごとに経年変化がさまざまですが、それは真鍮独特の味わいといえるでしょう。ボトムパーツの開口部は半インチ×1/4インチ。つまり倍、そして4倍にすれば1インチ間の糸数がカウントできるということになります。非常にシンプルかつ小型化された、機能に即した形状と言えます。
亜麻植物から作られたリネンは、何世紀にもわたってテーブルクロス、ベッドカバー、衣類等に使用されてきました。亜麻糸は弾性がないため、糸を壊さずに織り込む困難さが綿よりも製造に大幅なコストを要すといいます。
そのような操作の難しい亜麻糸の監理や、高価な敷物のシビアな取引などで活躍したであろう、ヴィクトリア朝の後半に作られた実用的な折りたたみ式リネン検査器。古代から続くリネン織物へのこだわりに思いを馳せつつ、丸穴から覗く世界を愉しまれてはいかがでしょうか。
◆England
◆推定製造年:c.1870-1890年代頃
◆素材:真鍮、ガラス
◆サイズ:(ひろげた状態)幅約1.6cm 奥行約約2.4cm 高さ約2.6cm
◆レンズ直径約6-7mm
◆たたんだときの厚み:約7mm
◆重量:19g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に微細な傷や汚れ、金属部の経年変化等がみられますが、レンズに目立つ傷はなく、とても良い状態です。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A













