英国アンティーク、小さなスタンド。
英国のマーケットで手に入れた、白鳥がついた小さなスタンド。
全体としてのデザインはアールヌーヴォー調。折り重なる葉の上に三羽の白鳥が放射状に配され、中心部にはミズクサ(ガマの穂)が伸びています。このミズクサはアールヌーヴォー様式において、非常に好まれたモチーフの一つです。
販売していたディーラーによれば、これはカードスタンドとなり、中心にはペンをさすことができる・・・とのこと。確かに白鳥の翼を使えば名刺大くらいのカードが差し込めますし、中心には細めのペンをさすことができますが(画像ご参照ください)、もともとの用途とは少し違う気がします。
推測ではありますが、、これはイパーンのベースかもしれません。
「Epergne/イパーン」とは、テーブルの中央に花等を活け高さを出すための器のこと。
発祥はフランス。もともとは平皿であり、テーブル中央でお菓子や果物をのせていましたが、その後英国に渡り、英国独特のスタイルをうみだしていったといわれています。基本的にベース部分が金属製で、ガラスでできた花器部分を差し込んで使用するものが多いようです。
ガラス部分のフォルムは根元は細く上部に行くと広がるトランペット型のものが多く、花器が1つ、もしくは複数枝分かれするような構造をもっていたり、花器とプレートが組み合わせられたものなどもあるようです。テーブルのセンターピースとして高さをだし、華やかなテーブルセッティングを演出するために使われてきました。
このスタンドがもともとイパーンであるならば、長い年月の間にガラス部分は失われ、ベース部分だけがうまく利用されてきた、ということかもしれません。
なお、このスタンドの底面には「Rd 12132」の文字が見られます。
英国において1884年に1番から始まったRegistration番号は、1885年には19756番から始まっており、12132番であれば、1884年のものとなります。Registration番号はスターリングシルバーのデイトレターとは異なり、個体に対しての番号ではないため、その年の製造とは限りませんが、この登録をすると似た物を作ったら3年間はかなりな罰金があったそうですので、1884年からその後数年のものの可能性が高いかと思います。
材は金属で、若干の変色がみられます。それほど固くはないので、ピューターもしくはリード(鉛合金)に銀メッキ、もしくは「亜鉛合金/スペルター/Spelter」の可能性が高いのではないかと思われます。スペルターは1830年代のベルリンにおいて建築装飾や公共の彫像に採用されたのが始まりとされており、ブロンズより安価で加工しやすく、塗装などによって表情を変えることができるため「手頃な価格の芸術品」としてヨーロッパやアメリカで普及しました。ただ、柔らかいことや、特に大きいものは耐久性に問題があり、1930-1950年代頃には彫刻材としてはあまり使用されなくなっていきました。
また「三羽の白鳥」につきましては、ドイツ系スラブ系少数民族ソルブ人に伝わる「ソルブの民話」に三羽の白鳥が登場する話がありますが、それが由来かどうかは定かではありません。また、英国のレスターシャーの中心に500年(!)の歴史を持つ「Three Swans Hotel」が現在でも営業を続けています。そんなことから、「三羽の白鳥」はドイツや英国においてなんだかゴロが良い、親和性のあるモチーフなのではないかと推測いたします。
Three Swans Hotel オフィシャルサイト
翼をやや持ち上げ、優雅に首をしならせる三羽の白鳥。長い歳月の間に本来の用途は曖昧となっているようですが、全体に漂う優雅さは少しも衰えをみせず、見る者を魅了します。
これからは貴方のお手元で、新たな役割を得て愛でていただければ幸いです。
◆England
◆推定製造年代:c.1884年からその後数年
◆素材:金属(亜鉛合金/Spelterの可能性)
◆サイズ:高さ約7.5cm 幅約6.3cm 奥行約6cm
◆重量:93g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色、歪み等がみられます。
*それほど固くない金属です。特にガマの穂部分は曲がりやすいのでご注意ください。
*写真に写っているペンは付属しません。参考までにペンの長さは13.5cmです。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A












