郵便全盛期、英国ヴィクトリア時代の双極アーム式郵便測り。
切手発祥の地、英国。
英国において郵便システム自体は16世紀から存在し、17世紀には一般利用ができるようになりましたが、受取人が郵便料金を支払う形式であり、枚数と距離によって料金が異なり、お金がないと受け取れなかったため、庶民は気軽に手紙を出せませんでした
1840年に改革が訪れます。
グレート・ブリテンおよびアイルランド全域に宛てられた郵便(半オンス/約14g の重さまで)はすべて一律で1ペニーで、差出人が郵便料金を支払うものとされました。
その数か月後には、郵便料金が支払済みであることを証明するために、郵便物に切手を貼る制度が始まります。これが、「切手」の始まり。その時、1840年5月1日に発売されたのが、有名な切手「ブラックペニー」です。
そのころ、馬車から鉄道へと輸送手段が発達したことも相まって、郵便の量は一気に増えてゆきました。
ヴィクトリア時代後半には、都市部では1日なんと7回の集配があったとか。
人々は日々手紙をだし、また受け取り、当たり前のように使いこなしていました。
1879年には英国にも電話交換局ができ、電話も徐々に普及してはいきますが、一般に普及するようになるまでは、だいぶ時間がかかったようです。
これはきっと、郵便(電報)システムがあまりにもきちんと機能していたため、庶民としては特に不便を感じなかったせいかと思われます。
このころのポスタル・スケール、もしくはレタースケール(郵便測り)は、ばね式やPendulumとよばれる振り子式のものなど数種みられますが、今回ご紹介する測りはBilateral/バイラテラルとよばれる双極アームのもの。
Bilateral/バイラテラルとは「両側のある」「左右両側の」の意味。
その名の通り、左右両側のアームが可動し、それぞれについた目盛りでより幅広い重さを読むことが出来ます。
下側の目盛りは0から1/2オンスまで。
上側の目盛りは1/2オンスから4オンスまで。
上下の守備範囲がきちんと分担され、機能がそのまま形となった、なんとも心地よいフォルムをみせています。ベースは黒いガラスのような素材でできており、底面には滑りどめの溝が細かく彫られています。
上部の台に重みをかければ、左右のアームがゆらり、ふわりと持ち上がり、なんとも軽やかな動きを目にすることができる、優れもの。
実際のスケールとしては正確な計測は難しそうですが(単位がオンスですし)、デスクに置いて手慰みに揺らしてみるのもまた一興かと思います。
ヴィクトリア時代、郵便全盛の時代から、沢山たくさん働いてきた郵便測り。
今後はぜひ、ゆっくりと貴方のデスクで過ごさせてあげてください。
◆England
◆推定製造年代:c.1890年代
◆素材:金属・ガラス
◆サイズ:幅約9.8cm 奥行き約7cm 高さ約15cm
◆重量:約294g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*正確な計測用にはおすすめできません。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A