英国アンティーク、スターリングシルバーがポイントでついた大曲ステッキ。
今回ご紹介するステッキは、シャフトがクルーク・ハンドル=大曲りとなっているステッキ。
このタイプのグリップは、持ちやすく、ちょっとした時に手に掛けておきやすい実用性で長年人気の定番となっているフォルムです。
シャフト部分は木製ですが、黒に近い色味に塗装されています。
遠目にはほとんど黒、よくよく目を凝らせばわずかに杢目が見て取れる絶妙な質感。杢目は素直で全体的に軽めなため、材はビーチと思われます。
石突部分には金属がかぶせられており、やはり黒く塗られておりますが、先端部分は金属の地肌がみえており、材は真鍮であると思われます。
現在のところは安定してついておりますが、使い方によっては滑り止め用のゴムキャップをかぶせていただいたほうがよろしいかもしれません。
また、グリップ先端のカバー、そしてカラー部分にはスターリングシルバーがポイントで取り付けられています。特にパターンなどはなく、そっけないほどのシンプルさ。カラーの鋲打ちが硬派なアクセントといえるかもしれません。
カラーにはホールマークが確認でき、左端が錨、次はライオン、右端はUの文字となっています。これで1919年にバーミンガムのアセイオフィスで認可をうけたスターリングシルバーであることがわかります。
さて、バーミンガムのアセイオフィスの印が錨であること、ちょっと疑問に思いませんか?「あれ、バーミンガムって港町だっけ・・?」英国の地理をご存知の方はそう思われたはず。バーミンガムは内陸で、小さな河は流れておりますが、とても港町ではございません。
その由来はこんなお話がございます。
1773年、ロンドン、ストランド。
「Crown and Anchor Tavern」というパブで行われたバーミンガム、そしてシェフィールドのアセイオフィス開始の会合。そこでコイントスが行われ、勝ったバーミンガムが「Anchor/アンカー/錨」のマーク、負けたシェフィールドが「Crownクラウン/王冠」のマークとなった・・・。というもの。
本当かな・・・とも思いますが、パブの名前からマークを決めるというのも、どこか英国らしいような気がします。
このステッキが作られた1919年と言えば、1918年に第一次大戦が終わり、英国は戦勝国となったものの、アイルランドとの戦争が持ち上がるなど不安定な時期でありました。
ジョージ5世の治世下ではありますが、数年後の1924年には労働党内閣ができるなど国際事情、政治状況にも変換の時代だったといえるでしょう。
テレビドラマ「ダウントン・アビー」の時代でもあります。恐らく、紳士が日常的にステッキを持ち歩いていた最後の時代といえるかもしれません。
そんな時代につくられた、黒系のシャフトに、ワンポイントで取り付けられたスターリングシルバーをもつステッキ。
クールでお洒落な英国紳士が、クルークハンドルを腕にかけ、時代の波を乗りこなそうと、颯爽とロンドンの街並みを歩く様が目に浮かびます。
価値観がせめぎあう時代を生きる紳士の「よすが」となっていたであろう硬派なステッキ。
今の時代にも、貴方を支える力となってくれるのではないでしょうか。
◆England
◆Birmingham
◆推定製造年代:c.1919年
◆素材:木・スターリングシルバー・真鍮(石突)
◆サイズ:長さ約91.6cm グリップ幅約12.2cm
◆重量:約187g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、アタリや擦れ、変色等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*体重をかければ若干しなりますが、木製ステッキとしては許容範囲内と思われます。
*シェフトには画像ではご説明するのが難しい程度の歪みがございます。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A