アンティークのコーヒー用小鍋、イブリック。
英国のアンティークフェアで手に入れた、古く小さな小鍋。
深く小型で上が小さめのちょっと変わった形をしています。
「なんの為の鍋ですか?」
思わずディーラーに尋ねれば
「コーヒー?たぶんね。」
・・・そんな答えが返ってきました。
確証もないまま、古びた真鍮の質感と趣あるフォルムに魅かれて手に入れてしまいました。
その後調べれば、やはりこれはコーヒー用の鍋。
それも、トルコ式コーヒー(ターキッシュコーヒー)をいれるときの専用鍋で、「イブリック」もしくは「ジャズベ」とも呼ばれるものであることがわかりました。
英国といえば紅茶ですが、実は紅茶が定着するよりも前にコーヒーが大流行した時期があるのですが、ご存じでしょうか?
コーヒーハウスの始まりは諸説ありますが、1650年にユダヤ人のジェイコブズという人物が、オックスフォードに開店したことが始まりといわれています。
ジェイコブズは、開店後数年でロンドンにも開店。
当時1ペニーを払えば誰でも(男性だけですが)気軽にコーヒーを飲めるコーヒーハウスは大人気となり、17世紀末にはロンドンだけで3000店以上、1714年には約8000店も誕生したといわれています。
このころの抽出方法はトルコ式。ただ、その後の風紀の乱れからコーヒーハウスは人気がなくなり、衰退してゆきました。
ちょっと長くなりますが、トルコ式コーヒーの作り方をご説明しておきましょう。
・イブリックに微粉状に挽いたコーヒーの粉と水を入れる(砂糖を入れる場合はここで加えておく)
・ごく弱火にかけて、スプーンで混ぜながら温める。
・泡が吹きたってきたら、火から降ろす。
・スプーンで軽くかき混ぜてから、再び火にかける。これを3回ほど繰り返し、コーヒーを煮出していく。
・煮出したコーヒーを小ぶりのカップに注ぎ、少しそのままにして、コーヒーの粉が沈んでから、上澄みを飲む。
このスタイルでコーヒーを淹れると、飲んだあとにカップの底にコーヒーの粉が残ります。その様子をなにかの形に見立てて占うのが「コーヒー占い」です。
そんな背景のある、コーヒー用の小鍋、イブリック。
真鍮の本体に長めの木の柄がついて、絶妙なバランスをたのっております。
底には、何やら刻印がみられます。アルファベットではないと思われますので、なにかの絵柄か、ひょっとして中東の言葉かもしれません。
真鍮の具合や全体の作りから、かなり古いものであることが推測されます。
買い付けたのは英国ですが、はるかな昔、トルコあたりから英国へ輸入されたのかもしれません。
しっかりと自立しますので、例えば植物を飾ったりするのはいかがでしょう。
柄の先にフックもついているので、壁に掛けてもインテリアの良いアクセントとなりそう。
トルコ、英国、コーヒーハウスにコーヒー占い。
小さな鍋から紡ぎだされる物語が、コーヒーの香りのように漂う、アンティークの小さな佳品です。
◆England買付
◆推定製造年代:c.1890-1900年代頃
◆素材:真鍮・木
◆サイズ:持手含む全長約19cm 高さ約11cm 鍋部分底直径約6.2cm 口直径約3.4-3.8cm高さ約7.5cm
◆重量:104g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆や変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
こちらのバナーからご来店いただけます。
Todd Lowrey Antiques
by d+A