英国アンティーク、クレステッドチャイナの小さなジャグ。
このように都市の紋章がついた小さな焼き物は「Crested China/クレステッドチャイナ」とよばれます。主にヴィクトリア時代後期から1930年代頃までに多く作られました。
ヴィクトリア時代、英国では鉄道網が発達し、一般庶民でも旅行を楽しむことができるようになりました。
そして、旅行に行った先で欲しくなるものは、お土産。沢山の物を飾り付けるヴィクトリアンの室内装飾において、お土産の装飾小物はまさにうってつけのアイテムだったことでしょう。
そして、庶民が旅行に行けるようになった、といっても、まだまだいけない人は沢山いたでしょうから、行った先が一目でわかるようなものであれば、家に来たゲストにさりげなく自慢ができるというもの。
そんな理由から、小さくて持ち運びが容易、そしてご当地の紋章が描かれているクレステッドチャイナは、たいへんな流行となりました。
窯元は無名なところが多く、英国内でも作られていましたが、大陸の方、例えば東ヨーロッパの方でも作られ、英国に輸入されていたようです。
今回ご紹介するクレステッドチャイナは、小さめのジャグ。
クレステッドチャイナはミニチュアのおもちゃのようなものが多いのですが、このジャグは小さめとはいっても十分実用に足る大きさ。口周りには金彩が施されおり、食器としての実用性、意匠性を意識してつくられているような気がします。
紋章は白い馬が立ち上がっているもので「KENT」の文字がある事から、イングランド南部の州、ケント州のものとなります。
白い馬は現在でもケント州の紋章にみられるモチーフ。イングランド七王国時代、5世紀から9世紀にかけて存在したケント王国の古いシンボルとされています。
また、リボンに書かれたモットーは「INVICTA」。ラテン語で「不屈の」「征服されない」という意味です。
この由来は1066-1067年にあった「ノルマン=コンクェスト(ノルマン征服)」に遡ります。ノルマンディー公ウィリアムはドーバー海峡を超えてイングランド王国に侵入し、イングランド王として即位、ノルマン朝を開いたのがノルマン=コンクェスト。その際に、ケンティッシュマンの分遣隊が活躍し、結果ケント王国だけが征服をまぬがれた・・・という伝説から、このモットーを掲げるようになった、といわれています。
おそらくはケント州のお土産物であった小さなジャグ。
不屈の白馬をもつ陶器と共に、ひとときのティータイムを過ごしてみてはいかがでしょうか。
◆England買付
◆推定製造年代:c.1900-1930年代頃
◆素材:陶器
◆サイズ:幅約11cm 奥行き約9.5cm 高さ約8cm
◆重量:112g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色、金彩の剥がれ等がみられます。
*製造時からと思われる染料のトビ、凹みなどがみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*ワレ、欠けはございません。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
こちらのバナーからご来店いただけます。
Todd Lowrey Antiques
by d+A