ドイツアンティーク、ネステッドカップウェイト(入れ子式カップ型重り)。
とても珍しく興味深い物を手に入れました。
掌に乗る小さな容器。本体直径約5cmあまりの姿からは、思いもかけないほどの重量を持っています。
蓋をとめる金具を外し、なかを覗けばびっしりと詰まった入れ子式のカップが現れます。1個づつ外していけば、あ、まだある、まだある!・・・と楽しくなってきてしまうこと請け合い。よくよく見れば蓋には「500g」の刻印、カップひとつひとつにもそれぞれの重量が刻まれています。
9個のカップの刻印=重さは以下の通り。
100
50
50
20
10
10
5
2
2
同じ重さのものがありますが、それは厚みを変えることによって、大きさが違っても同じ重さになるように調整されています。
9個の合計249g。
実は、オリジナルでは1gの重りがもう1個あって、完品で合計250gとなるはずでした。残念ながら1gのものは失われております。
ちなみに容器の刻印「1/2」。つまり250gであり、容器250g、内側のカップ250gで計500gの重りであることとなります。
このような入れ子式カップ型重りは「Nested Cup Weights」とよばれ、商人がコインや貴金属を量る為に使用されたといわれています。16世紀頃から見られるもので、主としてドイツ、特ににニュルンブルグの町で製造され、「ニュルンブルグウェイト/Nuremberg Weights」として総称されることもあります。一時期は容器の蓋に動物などの様々な飾りをつけたりすることも流行したようです。中世以来、イタリアとヨーロッパ北部を結ぶ貿易都市であったニュルンブルグ。金属手工業も盛んであったことから、この地でこのような物が生まれたのは納得な気がいたします。
参考:スミソニアン博物館群のひとつ「国立アメリカ歴史博物館/The National Museum of American History」のサイト
「Nested Cup Weights」の頁
https://americanhistory.si.edu/collections/search/object/nmah_994223
今回のウェイトのカップには重さの他に「12 D.R.9,」とよめるマークが刻まれており、作った職人もしくは工房を示すものと思われますが、詳細は特定できませんでした。ニュルンブルグウェイトは小さな物のため、完品は非常に珍しく、今回ご紹介しているように9個連続で揃っているものもなかなか貴重。前述の美術館のサイトで紹介している17世紀のウェイトも、すべて揃っているようには見えません。
真鍮を削り出してつくった精巧な重さのウェイト達。
ぴっちりと詰まったなかから取り出して触ってみるほどに、当時の商人たちの、僅かな重さの違いにこだわった想いが伝わってくるようです。
貴方のお手元で、ドイツの職人と商人たちのわざとこだわりを感じてみてはいかがでしょうか。
◆Germany
◆推定製造年代:c.19世紀
◆素材:真鍮
◆サイズ:幅約6.9cm 本体直径約5.2cm 高さ約4.9cm
◆重量:499g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A