英国アンティーク、スターリングシルバーのグリップを持つステッキ。
英国のアンティークフェアで手に入れた、球体状のグリップが目を惹く小ぶりなステッキ。
シャフトも独特の表情をしており、唯一無二の存在感を放っています。
まず、グリップ部分を見ていきましょう。最大直径約3.3cmの球体で、つるりと丸い潔いフォルムをしています。
ホールマークを見てみましょう。
一番左にはかすかではありますがバーミンガムの錨のマークが確認できます。次はライオンパサント。そして次にデイトレター・・・のはずなのですが、ほぼ切れてしまっており読むことができません。推測ではありますが、過去のある時点でシャフトから外れるなどの事態が起き、付け直した際に切れてしまったのではないかと思われます。
上部にはメーカーズマーク「G.L」が確認できます。バーミンガムでこのメーカーズマークは「G. Loveridge & Co」の可能性が高いと思われます。
19世紀末からの歴史を持つシルバースミスで、バーミンガムのSpencer Streetにあり、小箱やシガレットケース、ナプキンリングやステッキのパーツなどを製作していました。このマークは1908年から1919年頃のものと思われます。
よって、デイトレターは読み取れませんが、推定製造年代は1908年から1919年頃としてご紹介させていただきます。
次にシャフト部分を見てみましょう。
全長は77cm弱と、英国のウォーキングステッキとしてはかなり短め。小柄な紳士用か、ひょっとして女性用だったのかもしれません。色は濃く、よくみれば細かな線状のものがみえます。英国のディーラーによれば、これは「partridge wood/パートリッジ・ウッド」です。
「partridge/パートリッジ」とは、日本語に訳すと鳥の「ヤマウズラ」のこと。「パートリッジ・ウッド」はそのまま訳せば「ヤマウズラの木」となります。杢目と材の取り方によっては、ヤマウズラの羽のような斑模様がでることからの名前のようです。
また「partridge wood」は主として英国での呼び方であり、学名はAndira inermi、マメ科、アンディラ属、代表和名「アンゲリン」、代表英名「Angelin/アンジェリン」となります。主として中央アメリカ、西インド諸島、南米北部に分布。
重さは全体的に重めで、加工は大変ですが耐久力が非常に高く、原産国では車輪のスポークなどにも使われていたとか。大きな木で、日向と日陰でかなり明確に色味が異なり、大きくとれる部分は希少な材として家具などにも使われてきました。また英国では傘の柄や撞球用キューの柄、そしてウォーキングステッキなども人気があったようです。
当店では何度かこのパートリッジ・ウッドのステッキを紹介してきており、どれもが細い筋状の目を持ち、独特の「節」を持っていました。
私ははじめはこの節はわざと作られたものかと思っていたのですが、いろいろと見た結果、もとからこのような節があるのかもしれない、と思うようになりました。もしくはもともと多少の節があり、それに揃えるように加工された節もあり、全体の姿を整えた可能性もございます。
今回のシャフトは節のような、単なる枝の凹凸のような野趣あふれる表情をもっており、もともとの枝の形状を活かしながら作られたもののような気がします。パートリッジ・ウッドについては今後とも心に留めつつ、調査していきたいと思いますが、とりあえず今回のステッキは「パートリッジ・ウッド」としてご紹介させていただきます。
ズシリと重く、硬いシャフトをもつコンパクトなウォーキングステッキ。
100年を超えてきたスターリングシルバーの鈍い輝きが、ダークなシャフトによく映えて得も言われぬ品格を作り出しています。
他にはない何かをお求めの貴方へ、唯一無二の相棒をお届けいたします。
◆England
◆Birmingham
◆推定製造年代:c.1908年～1919年頃
◆素材：スターリングシルバー、木（おそらくパートリッジウッド）、金属
◆サイズ：長さ約76.8cm 持ち手直径約3.3cm
◆重量：140g
◆在庫数：1点のみ
【NOTE】
＊古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、凹みや変色、歪み等がみられます。
＊石付の下端は金属がなくなり、シャフトの材がむき出しになっています。
＊ご使用時にはゴムキャップなどをつけることをお勧めいたします。
＊シャフトは固く、体重をかけてもほとんどしなりません。
＊詳細は画像にてご確認ください。
＊画像の備品は付属しません。
＊上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
こちらのバナーからご来店いただけます。
Todd Lowrey Antiques
by d＋A
