ドイツアンティーク、双極アーム式レタースケール。
メカニカルな構造美が小さな建造物のような郵便測りのご紹介です。
ベース部分は黒く光る天然石。そこから立ち上がる支柱を中心に、円弧を描くアームが左右ほぼ対象に設けられ、重さをかけるとくりん、と回転して重量を表示する仕組みです。50gまでは下の目盛り、それ以上だと上の目盛りへと表示が引き継がれる効率的で理にかなった構造は見飽きることがありません。
目盛り部分には「COLUMBUS」の文字、そのロゴの隣及び支柱の裏には「M」マークがみられます。これはPhilipp Jakob Maul社による「COLUMBUS」シリーズのレタースケールです。
まず「Philipp Jakob Maul/フィリップ・ヤコブ・モール」は「レタースケールの父」とも呼ばれる人物。
1874年に彼はドイツ最大の港町であるハンブルクでスケールとバロメータの会社「Philipp Jakob Maul社」を設立します。(ドイツ語の「J」は、英語の「Y」のように発音するので、Jakob はヤコブと表現します。)
18紀にドイツの聖職者であり技術者「Philipp Matthaus Hahn/フィリップ・マテウス・ハーン」が開発した「Neigungswaage/傾斜スケール」の基礎となる原理を、彼は工業規模でレタースケールとして実用化に成功します。その後同社は、1909年にレタースケールを含む多数の特許を申請。多くのモデルが製造されました。
この「COLUMBUS」シリーズもそのうちのひとつ。仕上げ素材や重さ表示によって様々なタイプがあったようです。例えばアメリカ市場に向けてはオンス表示とするなど、売り込む市場に向けて様々な工夫が凝らされていました。
参考:サイエンスミュージアム
Columbus model letter balance, Germanの頁
https://collection.sciencemuseumgroup.org.uk/objects/co434195/columbus-model-letter-balance-german
ちなみに彼の死後は息子たちが跡を継ぎますが、1989年には115年続いた会社は幕を閉じることとなります。一方で彼と働いていた甥も独立し、ヘッセン州ツェルで、ヤコブ・モール社(Jakob Maul in Zell)を設立。この会社のマークは「JMAZ」となります。
今回のお品物はグラム表記ですので、おそらくドイツ国内向けもしくはフランス向けだったのかもしれません。台座が金属製のものが多い中で、これは天然石を使用した高級タイプといえるでしょう。
動作状況をアップしましたのでよろしければご覧ください。
24gのもの、および66gのものを計測してみましたが、ほぼ近い位置に目盛りに針が止まる様子が確認できます。
ゆらりとふたつの弧が振れる独特の動きは見る者を魅了し、用の美を感じさせます。
ドイツのこだわりが仕上げた美しい道具を是非お手元でご鑑賞ください。
◆Germany
◆Philipp Jakob Maul
◆推定製造年代:c.1910-1920年代頃
◆素材:石、金属
◆サイズ:幅約10cm 奥行き約11cm 高さ約16.5cm
◆ベース部分:約9.3×9.3cm
◆重量:614g
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆や変色などがみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*精緻な計測用にはおすすめいたしません。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
アイテムのご購入はショップにてどうぞ。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A