コンベックスミラーとは凸面鏡のこと。
その歴史は古く、少なくとも15世紀にはヨーロッパにおいて使用されていました。
初期フランドル派の画家、Jan van Eyck/ヤン・ファン・エイクによるArnolfini Portrait/アルノルフィーニ夫妻像(1434年)にこのようなコンベックスミラーが描かれており、これが絵画に描かれたもっとも古いコンベックスミラーであるといわれています。
夫妻の間、画面中央にあるコンベックスミラーは結婚の誓いを見届ける神の目であり、同時に曇りない鏡は聖母マリアの処女懐胎と純潔、「Purity」を象徴しているといわれています。
不思議な映り方をするせいでしょうか、コンベックスミラーにはいろいろな名前で呼ばれています。
Fish Eye Mirror「魚眼ミラー」。
Banker's Eye「銀行家の眼」。
そしてフランスでは”oeil de sorciere”「魔女の眼」。
また、リージェンシー(Regency)スタイルとは、ジョージ4世の摂政(Regent)時代、および在位時代の建築や家具の様式のこと。時代としては1811-1830年頃、19世紀前半となります。
華やかなヴィクトリア様式の前段としてのスタイルで、家具においてはクラシック・リバイバルの要素が強く古代ギリシア、ローマの意匠を強く意識した、重厚で品格のあるデザインが主体でした。
今回ご紹介するコンベックスミラーは、英国で買い付けたもの。
製作は19世紀後半頃と思われます。
リージェンシーの時代より後に作られたものではありますが、重厚で品格のあるデザインはまさにリージェンシースタイル。
周囲のフレームは木のベースに、石膏で象ったディテール、そして金彩を施した伝統的な手法の物。
ミラーの周囲は黒く、エボナイズド(黒檀風の仕上げ)されており、ミラーに映る世界をより怪しく引きてているよう。
さらに周囲にはリーフパターン、球形のデコレーションが施されており、リージェンシースタイルの品格溢れる佇まいを引き立てています。
お部屋の壁にかければ、そこには不思議な世界が広がり、単なる鏡以上の効果をもたらしてくれます。
もちろん、廊下や玄関など狭い空間においても、その効果ははかり知れません。
人間の眼を超えた、不思議な世界。
映しだされたものは純潔なのか、魔性なのか。
是非ご自身の眼でお確かめください。
◆England
◆推定製造年代:1890年代
◆素材:木、石膏、ガラス、他
◆サイズ:直径約42cm 奥行き約4.8cm
◆重量:約3kg
◆在庫数:1点のみ
【NOTE】
*背面の吊り金具や吊りチェーンは、英国買い付け当時のままです。現在のところ、問題なく吊ることができます。
*背面吊り金具は過去に異なる場所につけられていた跡が残っています。
*金彩に多少のハガレ、飾りには多少のワレなどがみられます。
*古いお品物ですので、上記のような事象がみられますが、全体としてはとてもよいコンディションと思います。ご了承の上、お求めください。
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Todd Lowrey Antiques
by d+A